父に朝の5時に起こされ、新幹線に乗り、軽井沢の丸山珈琲にコーヒーを飲みに行ったという、お嬢様の話を聞いたことがある。
丸山珈琲とはそんな風にわざわざ行くコーヒーショップなのかもしれない。
世界の独特な風味をもつ豆が買い付けられ、ベストコンディションを定めたローストがなされ、その豆の個性が最大限に引き出される。
スタッフ育成にも余念がない。
さらにQグレーダー資格を持つ全国のショップとカップオブエクセレンスの豆を共同購入している。
美味しい豆を買える場所は実はそんなに多くない。
今回、リゾナーレ八ヶ岳で、丸山珈琲のスタッフとお話をして感じることがあった。
明らかに丸山珈琲は、なにか別次元に突入しようとしている。
店に入り、メニューを見ながら、珍しい味わいのコーヒーが飲みたいと思っていた。
そこで、リストを見ると、「エル・ソコロ(2015年グアテマラCOE3位)」が目に止まったのでそれを注文した。
その時、カウンターのメニューを写真にとっていたら、こちらをご覧になりますか、とメニューを渡された。
お願いしますと、それを受け取り、席に戻りページをめくっていたら、「エル・ソコロ ペアリングセット」というページが出てきた。
説明にはこうある。
「2015年グアテマラCOE3位エル・ソコロはピーチ、シトラス、チェリー、フローラルなどの複雑な風味をもったコーヒーです。食材と食べ合わせるとエル・ソコロの複雑な風味と食材が共鳴し、様々な風味の特徴を楽しんでいただけます。」
食材は、メロン(ドライフルーツ)と、キスミッシュ(ウズベキスタン産)となる。(メニューでは、タイ産のマンダリンオレンジだったが、出てきたのは、ドライメロンだった。)
これが、やりたくなったので、追加で、ドライフルーツを注文して、ペアリングセットにしてもらった。
簡単な飲み方の説明書といっしょに、フレンチプレス4分で抽出されたエル・ソコロとドライフルーツが出てきた。
運んで頂いたのは、店長小野正人さんだ。
「すごい試みですね。」と丸山珈琲の新次元についてお話を伺う。
改めて出された解説を読むと、温度が熱い時に、コーヒーを一口飲み、ドライメロンをよく噛み口の中で味わい、コーヒーを飲み、口の中のに広がるオレンジのようなジューシーな甘さと香りを楽しむ、とある。
そして、温度が少し冷めてから、同様にコーヒーを一口飲み、キスミッシュをよく噛んで口に広げ、コーヒーを味わうと、後味に黒糖のコクある甘さを感じ、りんごやぶどうのような風味を感じる、と続く。
コーヒーを食材を合わせることで、その個性をより引き出す試みである。
単純にソロで味わうより、その性格を引き出すために、個性的な食材を合わせる、といったマリアージュがコーヒーで行われている。
スタッフにその素晴らしさを話に行ったところ、さらに、西麻布店では、肉料理に合うコーヒーを提供しているとのこと。千須和さんの動きが気になる。http://www.maruyamacoffee.com/blog/shop/nishiazabu/
酸性の肉に、コーヒーの酸味を合わせると、より肉の旨さが広がる予感がする。
すごいぞ、丸山珈琲。
マリアージュの境地に踏み込んできた。
アンベーリングシリーズ コーヒーに秘められた魅力を解き明かす「新 味覚体験型」シリーズメニューの一環となる。http://www.maruyamacoffee.com/menu_list/menu_cat/pickupmenu/
丸山珈琲では、各店舗ごとに、バリスタチャンピオンや、ブレンダーが育っている。
丸山珈琲の人材育成も進行しているようだ。
ちなみに、リゾナーレ店では、エスプレッソマシンの前にいる女性スタッフと、メガネを掛けた七三分けの男性も試行錯誤を試みていそうな印象を受けた。
丸山珈琲リゾナーレ店は、小野店長を中心にさらに珈琲味覚の新次元に突き進むのではないだろうか。
昨年好評だったというリゾナーレ店限定のコーヒージェラートも販売されている。
http://www.maruyamacoffee.com/blog/shop/risonare/
「エチオピア・ネキセ」のコーヒー豆を使用したジェラートで、優しい味わいの中に、ネキセならではの華やかさを感じていただけます。※リゾナーレ店限定ですので、八ヶ岳でのみ味わっていただけます!
「丸山珈琲」は、コーヒー豆を世界中の農家から直接買いつけている、
スペシャルティ専門の自家焙煎豆売り店兼カフェ。
オーナーの丸山健太郎氏は、カップ・オブ・エクセレンスをはじめとする
数多くのコーヒー品評会に国際審査員として参加している、コーヒー業界では知られた人物だ。
バリスタの育成にも力を注ぎ、2009~13年は同社のバリスタが5年連続で日本バリスタチャンピオンに。
14年には、日本初の世界バリスタチャンピオンも輩出している。
本書は、「丸山珈琲」の一連の仕事を追いながら、現代のコーヒー職人が必要とする技術、
そしてコーヒーの新しい潮流を解説する。
スペシャルティコーヒーとは何か(生豆の買付け/コーヒーのおもな産地と味の特徴/丸山健太郎、産地を巡る/丸山珈琲のシングルオリジン)/「フロムシードトゥカップ(from seed to cup)」をめざして(焙煎/カッピング/ブレンドづくり/抽出/競技会とバリスタの育成)/丸山珈琲について(店づくり・組織づくり)
自宅でも美味しいコーヒーを淹れてみませんか?本書では、コーヒー豆の準備の仕方やさまざまな抽出器具の習得方法のほか、バリスタの華麗なラテアートテクニックを丁寧に説明しています。フラット・ホワイトやフラッペ・モカ、アフォガートやカフェ・オ・レなど、多彩な味わいが楽しめます。アラビカとロブスタの違いや、ティピカとブルボンの違いなどを解説。このほかにも盛りだくさんの内容をお届けします。最高の一杯を淹れるためのすべてがここに。
コーヒーの扱い方と淹れ方(品質の指標となる情報/選び方と保存方法/コーヒーミル ほか)/世界各地のコーヒーたち(アフリカ/インドネシア、アジア、オセアニア/中南米 ほか)/抽出器具/レシピ(定番レシピ/ブラックコーヒー(ホット)/ホワイトコーヒー(ホット) ほか)
モルドヴァ,アネット(Moldvaer,Anette)
数々の賞を受賞しているロンドンの焙煎会社、スクエアマイル・コーヒー・ロースターの共同創業者。これまでに、ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ、カップ・オブ・エクセレンス、グッド・フード・アワードなど、コーヒー業界の国際大会でジャッジを務め、ヨーロッパ各地、アメリカ、ラテンアメリカ、アフリカなどでコーヒーのワークショップを主催。ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(2007、2008、2009)の優勝者がエスプレッソに使った豆は、すべてモルドヴァ氏が焙煎
丸山健太郎(マルヤマケンタロウ)
1968年埼玉県生まれ。神奈川県育ち。株式会社丸山珈琲代表取締役。日本スペシャルティコーヒー協会副会長、COE(カップ・オブ・エクセレンス)国際審査員、ACE(Alliance for Coffee Excellence Inc.)名誉理事。1991年に軽井沢にて丸山珈琲創業。2001年からは、バイヤーとして生産地訪問を開始し、現在でも、年間150日は産地を訪れる。また、数々のコーヒー豆品評会・審査会における、国際的カッパーとしても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※エル・ソコロペアリングセットについて飲んだ感想は、それほどでもなかった、というのが正直なところ。口の中に鮮やかに柑橘感が広がるかというと、そうなっていない。おそらく、淹れてから、口に届くまでの時間が、GW中の沢山のお客様の処理の多さで、適温ではない。また、気になるのが、サーブポットに残る2煎目のコーヒーだ。1煎目は、カップに注がれ、適温で抽出時間4分だが、ポットに残るコーヒーはそれ以上の漬け込み時間となる。4分以上経過した雑味感をコーヒーの性格として味わうとするか、すべて4分経過したら外の容器に出してサーブするか、考え方が分かれるところだ。また、できれば、焙煎して、日数経過のベストなエル・ソコロを味わいたい。温度、水、抽出時間の条件を揃えて、ペアリングをしたときその鮮やかな変化をしっかり感じることが出来る。逆に言えば、このペアリングセットをお客様から注文を受けたとき、いかに全体をコントロールして提供できるかが、サービスのポイントになる。また、豆の焙煎日数経過状態も知りたい。こちらの豆は、焙煎4日後でございます、その質感をお楽しみください。あすになれば、5日の風味の違いを確認できす、などと、焙煎経過日数で同じ豆の違い確認する企画もおもしろい。提供しているコーヒーの焙煎経過日数を情報として提供していくサーブの仕方だ。いっそのこと4日と20日でどれくらい変化するかその変化をバリスタチャンピオン鈴木樹さんの解説で聞いてみたい。(有名人井崎さんは2016年1月で独立されている。なので、鈴木さんに聞いてみたい。)忙しい現代社会で、ここまで珈琲にこだわることもないのだが、丸山珈琲はそういった次元に突入して、1つの豆の個性をどう引き出すかを常にバリスタチャンピオンシップ出場に向けて準備をしながら探っている。いくつかの記事を読むと、現地の畑を見たり、生産農家の若者と現地の状況を踏まえてサーブすることを心掛けているのがわかる。珈琲を淹れる人が現地を確認してサーブする、というのが、まさに、from seed to cupの精神だ。