現美新幹線を知ったのは、運行3日前に手にしたオズマガジンOZmagazine TRIP「今、電車の旅が楽しい。」のページをめくっていた時だ。
その後、NHKの朝のニュース枠で最近の電車、バス旅行として取り上げられ、中央快速のドア上部の映像画面でもCMが流れている。
気がつく人は、気にしてしまう広告戦略が展開されている。
どうしようかと迷いもあったが、運行本数が土日とGW期間中のみで、1日3往復しかしない新幹線に乗れる機会にも限りがあるのでなんとか状況を工面して乗ることにした。
一度、東京から新潟まで新幹線で行き、あえて、新潟発11:26のとき452号に乗車することを目論む。
土曜日の乗車にしたので、乗車券は、週末パスにして、そこに新幹線特急券をつけた。
現美新幹線の指定席だけを別途購入した。
窓口で乗車券として週末パスを利用し、現美新幹線 新潟発452号の指定席を予約しようとすると、空席は残り1席のみだった。5月5日のJR小岩駅のみどりの窓口での出来事で、そこで週末パスと指定席予約をした。
窓口のお姉さんが嬉しそうにいう。
「(現美新幹線チケットを)はじめて発券しました。」
新潟には、10:31に到着した。
すでにホームには現美新幹線がとまっている。
清掃が行われており、新幹線ドアの前には、数名の駅務職員と警備員が立哨している。
特別感満載である。
乗車時間を尋ねると11時10分くらいからとのこと。
停車している新幹線の写真を撮った。
すでに期待が高まる状況である。
一度改札を出て、健康寿司海鮮家で寿司を食べた。
新潟は寿司が旨い。
(新潟駅にわざわざ行くので何をしようかと考えて寿司にした。しかもお店検索サイトで、駅構内で評価の高い寿司屋である。)
寿司店内のスタッフが、現美新幹線のデザイン名札を付けている。
構内にもポスターや関連ポップスタンドが立ち、新潟駅全体がお祭りムードである。
時間になり、ホームに戻ると子供連れの家族が新幹線前で記念撮影をしている。
そして、発車のホームでもお見送りのお手ふりがあった。
現美新幹線の外観は蜷川実花さんの長岡の花火写真が使われる。
指定席のある11号車は、松本尚さんのシルク布地、絨毯、壁紙に描いたインスタレーションがピリリと自分の心を刺激してくる。
新潟の棚田から海へくだるときに感じる稲穂や海のうねりが表現されている。
観る側の心理状況を投影させる効果が狙われている。
作品を見て起きるロールシャッハ・テストの結果がこの車両でのポイントだ。
私は、椅子に虎が潜んでいるのを感じた。
座ると食べられてしまうかも。虎視眈々と狙われる自分のポジションを意識しないと蹴落とされる、といったイメージが沸き起こる。
こんな感じで各号車をそのまま説明しょうとすると長くなるので、残りは、分割してブログにあげようと思う。
上野駅でも新幹線に乗車する際に味のある看板を見た。
JR職員一眼となってこの世界最速芸術鑑賞プロジェクトを進めている。
結果そして、乗車できたことが特別な体験である。
美術作品を見て作品そのものからググッと心になにかくる、といった感覚がメインではない。
新潟を再発見するために走る現美新幹線の作品が、自分の中の新潟体験を引き起こしてくる。
現美新幹線が、新潟県内しか走っていないことに仕掛けがある。
これに乗るためには越後湯沢か新潟まで、どこか新潟県内の駅に行かないといけない。
新潟に向かうことで、意識に新潟アンテナが立ち、新幹線の中で観るアートの中に、新潟を象徴する出来事、映像(ブライアン・アルフレッド)、写真(石川直樹)、飲食物(ツバメコーヒー)が提示される。
今まで知ったつもりになっていた、新潟の物事、出来事を再度、自分の外側に作品として置いて、改めて体験することができる。
その時、作品を見ることで、自分にとっての新しい新潟体験が生まれる。
世界最速芸術鑑賞は実は車内の作品を鑑賞するのではなく、作品を通じて、自分の新潟体験を再確認することになる。
最速で走る長岡花火のフォルムをまとった黒い新幹線は、アート作品を鑑賞するのではなく、アートが示してくる新潟のイメージを確認する作業となる。
そして、結果として新潟が好きになる。
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・関東の私鉄がおもしろい!
・まんがでんしゃ探検隊
・山陽電車6000系デビュー
・北海道新幹線開業トピックス ほか
◆春のアート・トピックス
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◆現美新幹線殺人事件 西村京太郎