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カテゴリ:本
原文は、青空文庫で確認した。 『ゆえに世帯も学問なり、帳合いも学問なり、時勢を察するもまた学問なり。』時勢を察することを磨き続けたい。 文字は学問をするための道具にて、譬たとえば家を建つるに槌つち・鋸のこぎりの入用なるがごとし。槌・鋸は普請ふしんに欠くべからざる道具なれども、その道具の名を知るのみにて家を建つることを知らざる者はこれを大工と言うべからず。まさしくこのわけにて、文字を読むことのみを知りて物事の道理をわきまえざる者はこれを学者と言うべからず。いわゆる「論語よみの論語しらず」とはすなわちこれなり。わが国の『古事記』は暗誦すれども今日の米の相場を知らざる者は、これを世帯の学問に暗き男と言うべし。経書けいしょ・史類の奥義には達したれども商売の法を心得て正しく取引きをなすこと能あたわざる者は、これを帳合いの学問に拙つたなき人と言うべし。数年の辛苦を嘗め、数百の執行金しゅぎょうきんを費やして洋学は成業したれども、なおも一個私立の活計をなし得ざる者は、時勢の学問に疎うとき人なり。これらの人物はただこれを文字の問屋と言うべきのみ。その功能は飯を食う字引に異ならず。国のためには無用の長物、経済を妨ぐる食客と言うて可なり。ゆえに世帯も学問なり、帳合いも学問なり、時勢を察するもまた学問なり。なんぞ必ずしも和漢洋の書を読むのみをもって学問と言うの理あらんや。 「情欲」が大切、但し「至誠」と「意思」が必要。 第三、人にはおのおの情欲あり。情欲はもって心身の働きを起こし、この情欲を満足して一身の幸福をなすべし。たとえば人として美服美食を好まざる者なし。されどもこの美服美食はおのずから天地の間に生ずるものにあらず。これを得んとするには人の働きなかるべからず。ゆえに人の働きはたいていみな情欲の催促を受けて起こるものなり。この情欲あらざれば働きあるべからず、この働きあらざれば安楽の幸福あるべからず。禅坊主などは働きもなく幸福もなきものと言うべし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.12.09 12:46:58
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