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町の中華料理屋さん、というものを私は正直ナメていたがあなたはどうですか。私とダンナは今日そんな町の中華屋さんに行きました。そこへ行くのは2度目。駅前のわりと繁盛している店で、評判のメニューは油そば。以前行ったときはその油そばを食し「きゃー胃がー胃がーもたれるー」と二人で悶絶したので、今日は違うメニューを食ってみようねと軽い気持ちでとことこと。(懲りない)
前回はテーブルに座ったが今回通されたのはカウンター。注文した料理を待つ間カウンターの中を眺めていると、前回は見えなかったこの店の姿が鮮明に。 体ぜんぶを使って、鍋を振るということ以外いっさいの邪念を持っていないかのようなおやじ。並みの人間は3分だってそんな真剣さも体力も保てないだろうに、この人は本当にこれを一日中やっているのかと神々しくすら感じる、その後ろには下っ端と思われる若いお兄さん。彼は武道家のように美しくきびきびした動きで細々した作業をこなし、先輩の声にひとつひとつ大きな声で「はい!」と答え、その上気した頬とキラキラした目はモンゴルの少年のようだったよ。そして横には一番えらいと思われるおやじ、彼は厳しく力強く皆に指示をしながら鍋を振るうのだけど、時折「お前これはよう」なんてモンゴル君に話しかける時の笑顔がね、考えられないぐらいピュアなんだよ。そして彼らの間を縫って動き回る2名の目立たない中堅さんの動きの無駄のなさ。ホール係の、インド方面の人と思われるお兄さんの、人として当たり前すぎる(つまり全くうそでない)笑顔。 なんだかね、この店がものすごく大きな愛でぐいぐい動いてるのが、カウンターに座ったらありありと見えて、その神々しさにのけぞりそうだった。今という瞬間瞬間をあれほど真剣に扱っている人たちをまとめて見たのは初めてで、ああ仕事って本当はこういうことなんだ、私は今まで何をしてきたんだろうなあと。あの空間の密度の濃さ、ただものじゃあない。あの店の人たち、あの地味な中華屋さんの人たち、もしかしてすごく神様に近いところにいるかもしれないよ。 店を出るとダンナは興奮した顔で「すごかった・・・」私も「ね・・・」そこからなだれ込むように二人で熱く語った。同じ思いを共有できる人でよかった。あの空間で何も感じない人じゃなくてよかった。あの店は本当にすごいよ。味は至ってふつうの、やっぱりふつうの町の中華屋さんなんだけどね、小じゃれた演出も奇抜な味付けも何もないのだけど、そこにこもっているもののパワーを考えたら、あれほど人を養う食べ物って無いんじゃないかと思う。そして私は仕事というものへの考え方を根底から覆されました。本当に一から出直そう私。すばらしいもの見せてくれてありがとう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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