|
カテゴリ:コラム・えっせい
22,12,28
姉が手配した介護タクシーで、母は家へ帰りました。 病院の五階から家までは、車椅乗せられたまま運ばれ、家の前から自分のベッドまでは、タクシードライバーがお姫様だっこしてくれました。140センチの小さいおばあさんで幸いでした。 「カリンさん、泊って」という母の要望で、私が当直になりました。ショータンは一人で有るものを食べたり、外食も出来ますが、姉とこのダンナさんも、マミとこのモッチも、一人では腹ぺこのままで寝てしまうのです。 退院した母は、病院にいた時と同じ状態でした。パンツ式おむつで寝返りも介添えが要りました。お茶も吸い飲みで飲みました。 夕飯はカステラ一切れ。病院から貰ってきた散薬を飲んでしばらくすると、「胸が悪うなったから洗面器持って来て」と言いました。横向きのまま洗面器を顔の下にあてがって背中を擦ると、えずいたけれどなにも出ませんでした。 「あの病院の薬はあかん。ほんまの病気になるわ」 私も別の部屋に寝床を敷き、布団乾燥機を掛けました。11時に母のおむつを替えて、ストーヴはおやすみタイマーにして、私も寝ました。夜中に3度、様子を見に行きましたが、よく眠っていました。 12月29日 朝、いつもの時間(6時45分)に起きて、かつおのおにぎりをして一人食べました。 9時に、母は目を覚まして、「ラクには死なれへんなあ」と言いました。「家へ帰ったら急に悪くなる」とドクターが言ったので、死ねると思っていたようです。 「おまるに座ってみる」 上半身起こしてベッドの横から足を下ろしてしばらく座り、バーに掴まって立ち上がろうとするのですが、足に力が入らないので、なかなかのことです、手を持って支えると、腕の骨がきしきし軋みました。 「入院する前は歩いてたのに、病院におったら一日一日潰れて行く」 用を済ましてベッドに寝て、言いました。 「お正月過ぎるまであのままおったら、帰って来られへんようになってた」 いつもそう思うのに、さあとなると入院するのはなんででしょう? 「今度、お姉ちゃんが『入院』て言うても、行かんときや」 「お姉ちゃんは死んだ人が怖いから、なあ……」 「うちが来るまで死なんといたらええねん」 「うん。お姉ちゃんに言うといて」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[コラム・えっせい] カテゴリの最新記事
|