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カテゴリ:生活
竹〇さんは、9時半には日誌を書き終えて、「夕方にまた来ます」と言って帰りました。
「あの人はなにをした? 「おまるの始末して、トイレの掃除。朝ごはんしてくれて、食器洗ろて帰りはった」 「トイレの掃除なんか、して要らんわ」 「いつものとこは全然しはれへんから、ええやん」 「掃除は要らん。掃除ばっかりするのやったら、断る」 北西の四畳半のクロスが湿気ではがれたり浮いたりしているいるので、張替の見積もりをして貰ったら10万円だということだった。「いつまで住むか判れへんのに、こんな家にお金かけられへん。私のためにお金出して来て貰うのに、掃除に時間使こうて要らん」と母はいうのです。 「洗濯機も回しときはる。今日はなかったから洗濯はしはれへんかったけど」 「お昼の人も洗濯ぐらいしはる」 「今まで、お母ちゃんが洗ろててんやろ?」 「洗ろてた。お昼の人は干してくれる。夕方お風呂に来てくれる人が取りこんだり、次の日まで干してたり。今年はお風呂は時間割に入ってないねん。Uくんが2日のお昼、入れてくれた。いま、お風呂の縁またぐのが容易やないから、女の人では無理やろ」 「ここのお風呂は、湯船が高いからね」 この日はいつものセンターからH野さんが1時間来てくれましたが、買い物も掃除も調理の必要もありませんでした。帰り際、H野さんは言いました。 「夕方にも来ます」 「朝の人が、夕方に来ます、言うてはりましたよ」 「いいえ。私が当番ですねん。晩ご飯の用意と寝る支度に……」 夜更かし型でも、ヘルパーさんの都合に合わせて、夕方に寝なければならないようです。 H野さんの家は自転車で4分ぐらいの所だし、お姑さんは入院中の筈なので、せめて9時ごろに来てもらえないか訊いてみようと思っていたのですが、そんな勝手はダメだろうと思い直し、訊きませんでした。 この日、私は帰るつもりでした。姉に携帯電話をすると、『留守電』になっていました。Uくんは晩に来るのかとマミにメールしました。「夜勤だから無理です」と返事がありました。それで「もう1日泊ります」とショータンに電話しました。 夕方5時半にH野さんが来ました。簡易トイレの始末をして、いろいろのおかずの残り物をテーブルに並べてくれて、用事はおしまいです。 「今日はこの子がおってくれるから、まあ座ってゆっくりして行きなはれ」 と母は言いました。H野さんはテーブルの前へ腰かけて、お姑さんの話をしました。 「暮れの25日に帰って来ましてん。まる1か月おりましたら、すっかり歩けんようになってしまいました。24時間おむつです。大きな人ですから、おむつ換えるのも難しいですよ」 「うちの母は40キロぐらいや思いますけど、それでも重たいですわ」 「そうでしょう? うちのおばあちゃんは、58キロぐらいあります。娘が二人ありますねんけど、いざとなってもダレも面倒みようとは言わないんですよ。上の人、病院に2回来ました。私と遭うた時、『テレビのカード、立替えてます』言うんですよ。お見舞いなんにも持って来んといて、『カードのお金立替えてます』やなんて、よう言えると思いませんか?」 「ほんまにねえ。『お見舞いや思いましたわ』 言うたったら良かったのに」 「『何万円立替えて貰いました?』言うたりました」。「請求書送ってください、言うたら、なんにも言うて来ませんわ」 「ははは。何処のおばあちゃんも、娘さんの方がええいうのにねえ」 「結婚した時からずっとうちにいてはるんです。家は、私の親の家ですねん」 「へええ」 「主人の家は、兄さんが住んでますわ。おばあちゃんだけ余りもんで、そいでうちに…」 「H野さんは話易いから、気楽ですねんやろねえ。おかあちゃん」 「頭はっきりしてて、言いたいこと言うてはりますわ。ここのおばあちゃんと一緒で、病院、『帰ってください』われましてん。歩かれんようになるんやったら、もっと早くに帰ったら良かったんです。でもお洒落なヒトで、毎日きれいに眉描いてはりますわ。今日はリボン付けてはりました」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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