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カテゴリ:コラム・えっせい
土曜の晩に30年来のお得意さんからメールで注文が入っていた。
28日(月曜日)。雨が降っていたけど病院へ行くため朝8時半にタクシーに電話した。この間はたまたま信号で待ったからメーターが上がったのだろうと、また第一タクシーにした。10分で来た。 若い運転手さんだったが、信号のない堤防沿いを走ってくれた。 「運転手さんは、新しい人が多いですねえ」 「僕も新米です」 「でもこの道、よう知ってはったわ。警察の前から交差点に出たら80円高いですもんね」 「お客さんに喜んでいただくよう心がけてます」 「第一」でもそういうこと心がけている人があるんだ。 駅の、先週踏み外した階段を眺めてみた。改札機を通って5、6歩のところに2段ある。階段もその上も下も同じ色のタイルで、そこが階段だとはわからない。前からこんなものあったかしらん。13年も利用しているけど、よく今までなんともなかったことだ。 でも、「駅での怪我は、すぐに駅員に言うとかなあかんよ」と姉が言っていたので、一応改札の女の子に「前の日曜日にかくかくしかじか」と言った。「病院で診断書書いて貰いに行くんですけど、もし、保険会社が事故証明が要ると言うたら、ここで書いて貰えます?」 「ちょっとお待ちください」 女の子は、ちょっと年配の男性駅員を呼んできた。 「目撃したものがいませんから、なんとも言えませんけど、病院の診断書に事故の場所を書くところがあれば、書きます」 こんなヘンなことを言うのは私ぐらいだろうけど、一応そう言ってくれた。 JRのホームから階段を一段毎に足を揃えて登って、長い通路を歩き、南海の階段をホームへ、また一足ずつ降りる。ホームにいた私より若い軽装の女の人が、「今日は寒いですねえ」と話しかけて来た。 「寒いですねえ。一昨日は暖かでしたのに」 「まだ、お水取りが済まないと、ね。お天気が悪いのに、病院ですか?」 杖と長い傘を持っている私を病院通いと見たようだ。それで、先週の日曜に改札口のそばの階段でこうこうと話した。一人でも多くの人に「階段注意」してもらいたい。 「南大阪医療センターまで」 「それは災難でしたねえ。あの階段は、新しくできたんですよ。こんなんにしてもええのかなあと思てました」 「あ。そうやったんですか。そう言えば、前はスロープでしたねえ。今までなんともなかったのに、何でかなァと思いました」 JRのダレが、階段にしようなどとと考えたのだろう? 改札もホームも同じ色だなんて、アホ過ぎないか!? 階段だけ赤か黄色にしておくべきだ。 「オタクも病院ですか?」 「ええ。私は腰が悪くて、前に国立(南大阪医療センター)にいてはった先生が大阪市の病院へ移られたから、そこまで行きますねん」 整形外科の優秀なドクターで大勢の患者が付いて行って、病院は新築されたけど整形外科は閑古鳥と聞いた。 「ああ。トンダ病院? トミタ病院!?」 「トミナガ病院です」 「遠いのに……」 「こっちの病院は、2軒行きましたけど、原因が判らないから治療できませんて言うんです。南大阪センターは3年ぐらいで先生変わるでしょう。あんまり評判良くないし。少々遠くてもあの先生は治療してくれはるから」 原因が判らなくても治療してくれる先生がお医者さんなのだ。 「往復4時間かかるでしょう?」 「往きは1時間半で、帰りは2時間ですね」 「南海電車はダイヤの組み方がおかしいですからねえ」 うちの家伝薬なら、家にいながらに治せるけど。 病院は、月曜日だから混んでいた。担当医はいなくて、代わりの先生ですと言う。11時半の予約にして貰い、まだ1時間あるからと、ショータンの病室へ行った。ショータンも階下へ降りて、ロビーの喫茶コーナーでコーヒーを飲んだ。診察室へ呼ばれたのは12時だった。10年も前からいる中国人のドクターで、丁寧に診察してくれた。 「レントゲンを撮りましょう」 レントゲン撮影はこの病院の収入源だ。レントゲン室から戻ってからまた、診察室の前で待った。ショータンが、私が預けていたコートと帽子と傘を持って来た。 「清算のとこへ行ったけど、まだ此処やったんか」 「帰る時また寄るから、預かっててくれたらええのに」 ショータンは暫く椅子に掛けて喋っていたけど、病室へ戻った。 結局、終わったのは3時少し前だった。家を出てから7時間も……。これから仕事と思ったら疲れが増す。 診断書は2880円もした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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