|
カテゴリ:カテゴリ未分類
ケアセンターへ行くのに、帽子が無いと母が言いました。
「昨年編んだげた帽子は?」 ヘルパーさんが入れ替わるので、どの人が何処へ何を仕舞ったか、判らなくなります。 整理タンスや洋服箪笥や引出や、あっちの押し入れ、こっちの押し入れ、方々探しました。冬の帽子は一つも見当たりません。 姉がおむつの袋を二つぶら下げて帰って来ました。 「あ。ここにあるのん、おむつと違う?」 母のいる部屋の押入れの下段に、ビニール袋に入ったおむつらしいのがありました。よほど体調が悪い時以外は、ベッドの横に置いたポータブル・トイレを使っているので、おむつは用がないのです。 袋を引っ張りだしてみると、やっぱりおむつでした。パンティ式のや中当て用の厚地、薄地、いろいろ6袋もありました。 「こんなようけあるのに、浜〇さんは知らんかってんなァ。来年1年買わんでもいけるのに…」 「買に行く前に調べたらよかった。こんなゴミ袋に入れてるから判れへんねん。お母ちゃんは、なんでも『袋に入れといて』言うから……」 何が何処にあるか、母はよく知っているので、あるか無いか、何処にあるか、買いに行く前に訊いてみればよかったのです。「訊いたらよかったのに」と言えば姉は怒るので、言いません。 姉「どうすンのん!? こんなようけ…。売るほどあるやん」 母「病院から帰るたびに増えるねん。今買うて来たん、浜○さんに返しに行ってもらう。スーパーの袋にレシートと一緒に入れといて」 姉は、いま買って来て机の下に置いたのを押し入れの前へ置いて、机のしたには押し入れから出したのをわんさか積み並べました。 「浜〇さん、これ返品に行くだけで一日の仕事になるわ」 私だったら、返しになんて行けません。人の思い込みでハイハイと動いた方がいけないのだと思います。 母「帽子編んでくれるのやったら、白がええわ。髪の毛真っ白やから」 母は、私が昨年の帽子を探していることを知っていました。黒い帽子でしたから、わざと見つからない所へ隠したのかも知れません。 4時に、帰ることにしました。仏壇に供えたパンは、「カビ生やしてしまうから、みんな持って帰り」と姉は私に返しました。 外へ出てから、「お姉ちゃん今日は新しい車に乗ってた、て言うてたわ。買うたん?」と訊きました。「免許証返そか言うてんのに、買う筈ないやん」 「『白い車やろ?』って訊いたら、「グリーンやった」言うてた。新しいええ車、200万ではないて…」 「ほんまに、ようウソばっかりつくなあ」 表の道路脇に駐めてあったのは、5年前に買った見慣れた白のトヨタでした。 浜〇さんはおむつの買い置きはないと思っているし、母は、200万円行方不明で姉が新車を買う足しにしたのだと思い込んでいるし、姉は、母はウソつきだと思っているのです。 200万円の定期の通帳は、姉がきっと何処かに仕舞ってあるのでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|