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カテゴリ:生活
朝6時40分。門扉の下を、アリが歩いていました。こんなに早く、食料が落ちている筈はないと知っていて、忙しそうでもなくその辺を巡回しているようです。よく見ると、3匹......6匹......10匹......かなりいます。早出か? いやいや。時間も歩く範囲も、きまりはないようです。みんな同じ顔かたちだからよくは判らないですけど、同じところを行ったり来たりしているのや、西へ行ったり東へ行ったり、なんということもなく歩いているのがいます。 朝食後、パンくずを少し撒いてやりました。と、近くを歩いていたのが右へ40度左へ40度、アンテナを向け、スススとひとかけら(1ミリぐらい)に行きつき、一歩引いてからひょいと持ち上げて来た道を後戻り。 別のヤツも右へ40度、左へ40度を3回やって、5ミリぐらいのかけらに行きつきました。かけらを一回りしてちょっと考え、一歩引いて構えてヨイショ。これは違う方へよろよろよろめきながら運んで行きます。自分の4倍ぐらいのパンくずとなれば、かなり重いのでしょうか? 40秒たたないうちに、20匹余り集まって来て、めいめいに好みの大きさのを拾って運んで行きました。誰が知らせたのか、仲間がどんどん増えました。何時の間に、何処からこんな食料が降ったか涌いたか、考えているヤツはいません。無給でみんながエッサカホイサカ食料運びしているのは壮観です。 1センチ角ぐらいのとなると、10匹あまりたかってタイヘンです。四方にたかっているから、全然動きません。ワンツースリーで全員が引っ張っているのかも知れません。 「巣の方にいる者は後ろ向きに、4本足で歩く。反対側にいる者は、持ち上げている足の残りの足で前へ行く。横にいる者は、巣の方へ横歩きだ。それ! ワン、ツー、スリー...」 なんて指揮しているのはいないんでしょうねえ。それにしても、アリって静かです。声も立てない、足音も立てない、喧嘩もしない。人間がこれだけ集まったら、ヤイヤイガヤガヤ大騒ぎです。人間というのは、遊ぶときによく集まりますねえ。 ベーコンを焼いたフライパンを拭いたペーパーを、小さく千切って捻り、ブロック塀の隙間の前に撒きました。1匹現われて嬉しそうに運び始めると、隙間から続いて10匹ほど出て来てそれぞれ大きいのや小さいのを担ぎ、大行進です。ゆらゆら......ぞろぞろ...... 翌日見たら、隙間に捻ってない小さな紙切れがずらり。午後から雨が降ったので、色もニオイもないただの紙くずになってしまったようです。草の茎で全部取り除き、代わりに、思いっきり崩した食パンのへた一辺分を撒いてやりました。 すぐに出て来ました。いきなり大きいのを持つ小さい小さい子。自分の頭より小さいのを持つ狡いヤング。なんにも持たずにエサの間をうろうろ走り回る中年。多分中年だと思います。太っていますから。ほんの少しですけどね。 自分が最初に選んだものは、お手伝いお断わりです。ひとのものを欲しがるヤツもいます。手伝って要らないと言われているのに端っこを持って付いて行って、結局は「あっちへ行け!」って振り切られ、またうろうろと自分のを探しています。 大勢出て来てめいめいに運ぶからパンくずが一斉に動いて、とても面白いです。自分の3倍ぐらいの大きさのを持って、よろよろふらふら見当違いの方へ行くのもいます。でも、「そっちは違うよ」と注意してやるヤツはいません。人間でいうと、500メートルぐらい無駄足踏んで戻って来るわけです。 担いでいるのを何度もしたへ下ろして、上へ載ったり周りをまわったりしているそばを、頭より小さいのを持ったヤツがスイスイーと追い越して行きます。 食パンのくずは、濡れたら紙屑よりタイヘンです。身体の8倍もあるパンくずだったら、濡れてふやけると生き埋めになってしまうかも知れません。パンで生き埋めって、豪勢ですね。
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