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カテゴリ:心配です
パスポートの期限が6月末で切れた。
ショータンの体調が良くないので、国内旅行でも心もとない。昨年、5月にヨーロッパ旅行を計画していたのに、3月、県道でサンドイッチ追突されて、二人で半年も病院通いだった。通院をやめたあとすぐ、ショータンは急性の貧血で入院した。今年の春5、6日のツアーに申し込もうと思っていたが、またまたショータンは低血糖で3月に入院。1か月弱だったけど、海外で入院なんてことになったら敵わないので、行かないことにした。 「もう。パスポートは必要ないね」と言ったら、 「なんで? 更新したらええやン」と、なんの心配も無さそうな返事。まだ死ぬつもりはないらしい。空港まで荷物を持って行けるのだろうか? 同い年の義兄はもう3年も前から自分が姉の荷物になっているのに。 パスポート、10年前は百貨店まで申請に行ったけれど、今は市役所で発行してくれる。ショータンのパスポートはまだ有効の筈なのに、自分のもついでに更新して貰うと言った。 市役所へ行った。一番奥のカランとしたお客さんのいないカウンターで、50歳ぐらいの女性所員が応対してくれた。「戸籍謄本が要ります。本籍地はここですか?」「М市です」 「郵送して貰われると4日はかかります。3か月以内の写真が要ります」 市役所の玄関を出ながら、ショータンが訊いた。「お前の本籍地は何処?」 「あんたと一緒」 「え?」とびっくりして、「そうか。うちの子やったんか」 次の日、大阪北部のМ市役所へ行った。相変わらず古い建物。狭いロビーで、昔は大勢の人が待っていたけれど、職員がいっぱいいて、待っている人は少なかった。制服を着た手続き案内のおばさんも二人いた。費用も、自動計算器にお金を入れるだけだ。ショータンは制服おばさんに、「わたしのパスポートは1916年まで有効なんですけど、ついでに申請しようと思いますねん」と言った。 「じゃあ、そのまま使うとってください」 「そうでしょ? 2年も捨てんかて…」と、私。 「10年も伸ばしても、2年より後はもう必要ないかも知れへんヨ」 「まだ、6年は要ると思う」 昨年も今年も入院したのに。毎月2、3軒の医院や病院へ通っているのに。謄本はすぐに取れた。 「そうか。お前はうちの子やったんか」 しみじみ感心している。「この市役所に用事があるんは、もうおれ一人やと思とった」 長男は東北に住んでいるし、次男はハワイに移住して35年になる。 市役所の近くに、昔よく行ったステーキ・ハウスがある。8年ぶりに入った。昔と同じ混んでいたが、シェフもウェイトレスも知らない顔だった。そして、料理は不味かった。 「店の名前はおんなじやけど、人は変わったんやね」 「あ。そうかなあ」 ショーは最近、昨夜のご飯のおかずを忘れてしまう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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