ＴＥＡＣＣＨのペップという検査では
発語していない子にも
ヒアリング（聞き取り）のテストをする。
私は「なんでしゃべれないのに？」
と思ったが、発語していない子の中には
意外にもヒアリングができている子がいるとのこと。
げんも例外ではない。

げんは松風園でカラオケに行った。
「げんちゃん何を歌いますか？」
と聞かれたので
「ウルトラマンダイナとかどんぐりころころとか・・・」
と言っておいた。

さっそくカラオケボックスで先生は
「げんちゃん、ウルトラマンダイナ・・・
う～ん、タロウでいいっか？」と言うと
首を横に振ったそうです。
「じゃあ、やっぱりダイナ？」と聞くと
うんとうなずいたそうで・・・
げんちゃん、ウルトラマンの名前は完璧です。

先生は、その反応のよさや、歌っているときのノリノリな様子
他の子達が歌っているときにも真剣に聞いている
げんの様子がとてもおもしろかったようで
「私の方が楽しんじゃいました♪」
と言ってくれた。

げんはあんなにもしゃべれないのに
一生懸命自分のことを話そうとする。
表現しようとする。
そして、やりとりも楽しめる。
それは、げんが小さい頃に松風園に通い
先生やボランティアの人、実習生の学生など
たくさんの人に関わり、げんの思いを
たくさんの人に受け止めてもらえたから
なんだと思う。
もし、げんの気持ちが正しく受け止められなかったら・・・
もし、げんが松風園に通っていなかったら・・・
たぶん、自己表現をあきらめてしまったに違いない。

発語はしていないけど
コミニケーションができる！
その意外性が関わる人たちをおもしろい！楽しい！
と思わせるんだと思う。

だけど・・・
確かに、げんは成長している、成長はしていると思うけど
実はすっごく飛躍的には成長はしていない。

この前、げんが松風園に通う前によくげんを見ていたお友達に
「げんちゃん変わったね。すごいよ！すごく成長している！」
と言われた。
でも、なんというか・・・げんの成長もあるのだけれども
接し方を変えただけなのかもしれない。と思うことも多々ある。
自閉の子はなにもできないわけではなく
やり方がわからないことが大半である。
だから、接する方がわかりやすく接することで
飛躍的にコミニケーションが発達することがある。
ただそれだけのこと。なんだけど、実はそれが一番大変なのだ。

接し方ひとつで働けるようになるし、コミニケーションも楽しみ
余暇もいっしょにできる。
それがまわりの人にもっともっと理解してもらえたら
げんのような障害者でも普通に暮らせるんだけどなあ。