今日、松風園を卒園したお母さんと話をした。
松風園はカードとスケジュールで自立を促す療育といったらいいのかな？
視覚支援を取り入れて、自分でできること増やしていく。
というのが主流で、実際はその子その子にあったやり方で
療育していく、とても柔軟な療育なんだけど・・・

もう、１０年以上前。
たぶんまだＴＥＡＣＣＨなんて言葉がほとんど聞かれていない時代。
突然、カードを持たされて、
「カードを使えば自分でできるから」
と言われたそうだ。
たぶん、まだお母さんが障害を受容していなかったのか？
指導した人（私の知っている人なんだけど・・・）がまだ若くて説明が足りなかったのか？
お母さんは泣いてＴＥＡＣＣＨを拒絶したそうです。
「なんでカードなんかで・・・せめて言葉を添えてくれればよかったのに」
でも、実際は目で見ることと、耳で聞くことを同時にするというのは
とても大変な作業。特に自閉症の子は視覚の方が入りやすいから
最初は無言でカードを渡す。
慣れてきたら単語を添える。
最終的には音声で反応することもある。
と言った感じなんです。
だから、たぶん、最初のときは無言なので異様な雰囲気なんだと思う。
げんのようにもともと発語していない子はあまり違和感がないけど
お話できる子にはちょっと異様だよね？
だから、受け入れられないんだと思う。

その人は、あまり松風園での思い出がいいものではないようで。
ほかのげんの養護のお母さんにも、
カードでコミニケーションは異常だと思っている人は少なくない。

やっぱり療育は万能じゃないんだよね。
きっと。
でも、私とげんはとても助けられた。
ＴＥＡＣＣＨに出会わなかったら
今のげんはたぶんない。

今日も、げんは手順書を見ながら
ガンプラを作っている。
もう、ほんの１０分で完成できるようになっている。
すごい集中力だ。
でも・・・げんはとても重い自閉症。知的障害も中度。
松風園にいるときは、みんなに「大変だね」「かわいそう」
と言われ続けていた。
そんな人たちが今のげんを見たらどう思うだろう？

徐々にだけど言葉を交わし、
親以外の人と遊び
一人で感覚遊びをするだけでなく
人並みの余暇を過ごす。
もう、大変だね。かわいそうだね。
なんて思われないよね。
いくら腰にカードをぶらさげていても
げんはりっぱな人間だよね。
猿みたいだとか犬の方がましなんていわれないよね。
そう、まだげんの人生ははじまったばかり。
なんにでもなれる。
なれるような気がする。
がんばれば。きっと。