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カテゴリ:本
聖者と呼ばれた偉大な奏者は予言を残して死んだ。 時は過ぎ、僧侶・木喰は日本を旅してある者たちを探していた。 そして木喰は北海道、沖縄、京都、川越で 古丹、比嘉、遠田、猿沢というの四人の男たちを見出す。 この4人の男たちはそれぞれ音楽の才能に恵まれているが、 特異な才能をもつため他の人たちと交わることが難しい。 そのため本来の才能を発揮できず、ソロでそれぞれ音楽をやってた。 しかし、僧侶・木喰の導きで集結した彼らはカルテットを組み、音楽業界を席巻した。 そして4人の"使命"というものが明らかになる。 “奏者水滸伝”シリーズ第一弾。著者最初の長編『ジャズ水滸伝』改題。 今野敏氏の長編デビュー作の復刊。 デビュー作も『怪物が街にやってくる』というジャズマンの話ということで造詣が深いらしい。 元々、レコード会社に勤めてたくらいだしね ホントに幅広くて驚くわ。。。 古丹、比嘉、遠田、猿沢というジャズマンはそれぞれに音楽的才能を持ちながら、 音楽以外の特異な才能で他人と相容れずソロでしか活動できない。 ピアノ、ドラム、ベースそしてサックスがソロか・・・音楽をやるものとしてはちょっと悲しいね。 だからこそ木喰に「仲間」を紹介すると言われて、東京の小さなライブハウスに集合する。 そこで4人が全力を出してセッションし、ジャズ界に旋風を巻き起こす。 このセッションの表現がすごくて、ぜひ聞いてみたいと思わせる。 音源化してもらいたい・・・でも、絶対再現なんてできないだろう・・・と思ってしまう。 木喰の目的は羅漢を集めること。 羅漢とは大乗仏教が栄えるまでは、仏教修行者の最高の位を指す言葉。 また羅漢、阿羅漢とはもとは苦悩、苦悩の起源、苦悩の克服、克服への道という四つの真理と、それぞれ認識、実現しようとして、実現してしまった輪廻から解脱したもの。 こう文字にするととても難しいもののように思う。 4人のうち頭脳を担当する猿沢には下記のように説明される。 羅漢とは人でもなく、仏でもない存在であり、人間の力をはるかに超えた血を体内にもつ。 その血は大自然が人類に送り込んだ種子。 宇宙の意志を認めさせ、実現しようてするための種子。 ここで重要なのは 羅漢は聖人ではなく、超人であるということ。 聖人ではないため、悩み、迷い、そして間違うこともある。 ある時には鬼にも魔にもなる存在ということ。 だからこそこの4人が魅力的になってるんだなーと。 それぞれが「仲間」というものを知らなかったので、自己完結しようとする未熟な部分が見える。 でもそれが少しずつ仲間意識が芽生え、一丸となっていく過程が見えて成長記にもとれる。 「宇宙の意志」が何かというのがまだ見えてこないけれど、 シリーズ第一弾ということでプロローグ的な感じ。 これから一人一人の個性が出て、人物把握ができてくるんだろうなと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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