木次線亀嵩駅
若かりしころ、松本清張の小説を読みあさった時期があります。西村京太郎作品ほどではありませんが、清張作品の中にも鉄道がよく登場し、トリックの重要な鍵を握っていたりします。『点と線』の時刻表トリックは印象的でしたが、『砂の器』も鉄道にまつわる清張作品として、今でも強く記憶に残っています。若き音楽家の秘められた過去。そこから起こった悲しい殺人事件。周到に張り巡らされたトリックと、それにまつわる意外な事実。このストーリーの中で、木次線の亀嵩駅は重要な鍵を握る舞台となっています。原作を読んだり、映画を観たりして(数年前にはテレビドラマも作られています)、いつか亀嵩を訪れてみたいと思っていましたが、今回ようやく実現しました。駅舎は地方でごく普通に見られるものですが、映画やテレビドラマのロケ地となったこともあって、駅名板が昔ながらの右書きです。また、駅舎の中にはお蕎麦屋さんがあります。「駅長さんが作る手打ちそば」ということで、マスメディアにも度々取り上げられていることから、亀嵩に行ったらお昼はここ、と予定していました。店内にはテレビドラマで刑事役を演じた渡辺謙さんをはじめ、たくさんのタレントさんの色紙が飾られていました。お蕎麦も予想どおりの素朴な味わいでした。