レンブラント光線
「スンバルハルジョの機関庫は、晴れに限る」。同行の大先達から、そう教えられていました。機関庫の明かり取りの窓や屋根の破れ目から差し込む光の筋が、それはそれはきれいに見えるからです。しかし、今回のインドネシアは天候が今ひとつ安定せず、お昼前になってようやく太陽が顔を出す、といったことの繰り返しでした。機関車たちは10時を過ぎれば庫をあとにして畑へと向かうため、出区準備が整うまでの時間帯が勝負どきなのです。光のシャワーが美しく見えるためには、太陽光の存在と角度が大きな決め手となります。さらに、機関庫の中で機関車が煙を上げていることも必須条件です。映画撮影でスモークを焚くのと同じ理由です。それらの条件が満たされたとき、神々しいまでの光の筋が現れます。レンブラント光線といわれる光のシャワー。この朝は、機関車を照らし出すスポットライトとして出現しました。聞きしに勝る美しさに、思わずため息が出てしまいました。