稲干しと特急「やくも」
今日10月30日は、写真週刊誌元祖「FOCUS」創刊(同スタイルの週刊誌が創刊ラッシュに、1981年)だそうです。以前はきれいに撮れたのに、草が茂って撮影できないということは、鉄道写真にはよくあることで、ある意味、宿命かもしれません。今回もそうした場所があり、大きく膨らんでいた期待の風船は小さくしぼんでしまいました。仕方がないので、新たなポイントを探して移動していると、刈り取った稲をはざ掛けにしているところを見つけました。はざ掛けとは、刈り取った稲を逆さにして天日乾燥させるものです。かつて機械が無かったころには、ごく普通に行われていた乾燥方法ですが、稲が重く、たくさんの人手を必要とするため、最近はあまり見かけなくなりました。父方の祖父が生きていたころ、稲作をしていましたので、秋の収穫の時期には一族郎党が借り出されました。小さな子どもの仕事は、はざ掛けにする稲の運搬。わたしも非力ながら稲束を運びました。首筋についた干草がとても痒かったのを思い出します。「やくも」がやってくるまで、きれいに干された稲束を見るうちに、藁の匂いや皮膚の痒みなど、遠い記憶がよみがえってきました。