**イギリスの発達障碍事情1**
…と大それたタイトルですが、あくまで家の息子のケースを例に書きたいと思います。診断されるまで…2歳半ごろ、言葉の遅れが気になりヘルス・ビジターに相談。ヘルス・ビジターとは保健婦さんさんに似た役割をします。日本との違いは、子供が生まれると各家庭に担当の方が着いてくれるので、もっとパーソナルな相談が出来ます。(もちろん、この方は同じエリアの家庭を複数担当しています。)ヘルス・ビジターから発達障害専門ドクターに紹介される。(予約は1-2ヶ月先3歳まで待つように言われたと思います。)この国では公的医療機関を利用する場合、医療費が無料というメリットはありますが、予約が取れるまでかなり待たなければなりません。)ドクターより、発達チェックを受ける。(1時間程度)その日のうちに結果が出るが、結果何らかの障碍が疑われたので、更に詳しい検査を受けることに…この予約は更に1,2ヶ月先だったと思います。発達障碍専門チームによる、チェックが始まる。これは、言語、心理、身体に関するそれぞれの分野の専門家とソーシャルサービス、ドクターが毎週1回約2時間x6週間かけて審査します。何らかの障碍が疑われる5,6人の子供をプレイルームで遊ばせ、各専門家がそれぞれの視点でそれぞれの子供にアプローチしてきます。時には個室に呼ばれてチェックも受けます。このチェックの期間中、自宅にもそれぞれの専門家が個別に訪問し、家庭での様子、家族の状況(バックグラウンド)など、インタビューを受けました。6週間後、チームのリーダーの方と面談があり、結果報告のレポートを受ける。かなり細かい内容の5,6ページにわたるレポートについて説明を受けました。この結果、身体的な発達には問題ないが、コミュニケーションとくに言語についてのかなりの発達の遅れが認められるといわれました。ドクターとの面談。最終診断。レポートの結果、ドクターより自閉傾向に見られるが、「自閉症」という診断名をつけるか、単に「コミュニケーションにおける深刻な発達遅延」とするか両親で決めるように言われました。年齢的にまだ若いし、かなりのボーダーラインだったので、親の判断に任せるとの説明でした。子供に早くから「ラベル」をつけることはしたくないという、ドクターの方針でもありました。「自閉症」という診断名をつけるかつけないかで大きなサポートの違いが出てくるともドクターから説明を受けました。ポイントはここで、このとき、Gerogeに「自閉症」という診断名をつけていなかったら、今受けさせてもらっているサポートは、ほとんど無かったもしくは、受けるまでにかなりの時間がかかっており、今のような生活を彼が送れたかどうかは不明です。イギリスでは早い時点で受けられるサポートをお願いしていなければ、一貫性のサポートをお願いするのにかなりの時間が掛かるのはもちろん、中には年齢的に受けられなくなってしまうものも出てくるのです。そうはいっても、親ですから子供を「自閉症」だと公的に認めることは、決して楽なことではありませんでした。かなりの苦痛を伴いました。(これは後にですけど…)「自閉症」と診断名をつけたGeorgeの場合…診断時点3歳。ランカシャー地区でこの年8人しか受け入れられない「LUFAP(5歳未満の自閉症児用特別トレーニングプログラム」に参加することが出来ました。(これには専門家チームの公式チェックを受けていた結果、審査の対象となったわけです。)その後、この「LUFAP」より派遣されたサポート・ティーチャーからきめ細かなトレーニング(PECS絵カードによるコミュニケーショントレーニングなど)を親子ともに受け、同じティーチャーが2年間、幼稚園から小学校までマンツーマンで毎日就学時間内、時には就学時間外にいろいろ相談にも乗って頂きました。(癇癪の沈め方、トイレットトレーニング、睡眠障害対策など…)親の方も週1回半日x3ヶ月間自閉症についての講習会を開いてくれて、色んなことを学ばせてもらいました。こんなに色んなサポートが受けられたのも、早くからドクター受診をし、診断名の決断が早かったためだったと思います。同じ状況のお子さんでも、ドクターへのアプローチの時期、診断を先延ばしにしたために、同じサポートを受けられたかった子供たちがたくさんいます。イギリスも誰もがいつも平等にサポートが受けられるわけではなく、受けたい側も積極的に必要書類をそろえ、関係機関に何度も訴えかけなければ、なかなかスムーズにことが進みません。どの国でも、必死さは同じですよね。…次回につづく…