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2016.07.23
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国内でVHSビデオデッキの生産が終了したそうです。普通なら、「そうか、ビデオの時代も終わったか」で済ませたいところなのですが、そう断定するにはどこか後ろ髪を引かれます。というのも、隣接する音楽業界では、かつての媒体が復活している状況があるからです。

 


音楽業界では、1980年代後半からCDが普及し始めると、みなそちらに乗り換え、90年代以降はカセットテープはもちろんLPさえ見向きもされなくなる時期がしばらく続きました。ところが98年をピークにCDの売り上げが落ち、音楽配信が主流にとって代わられたと思ったら、やがてLPが徐々に復活し、最近ではカセットテープの人気が再燃しているといいます。その伝でいけば、ふたたびビデオが脚光を浴びる時代がこないとも限らないわけです。

 


先日、流行歌の作曲で一世を風靡した小林亜星氏が「流行歌は滅びた」といい、紅白歌合戦などで昔の歌が歌われる風潮などを嘆いて、その理由として作曲家と作詞家の怠慢を断罪している記事を見かけました。しかし、これは単に時代のせいで、今は新しく創造することとは別に、過去に積み上げた遺産を再評価することが、よろこばれる時代なのではないでしょうか。これはソフトウェアもハードウェアも同じです。つまり、経済が大きく成長し、時代の移り変わりが早いときには、新しいものがどんどん世にでてきても、成長が鈍化し、時代が停滞しているような時代には、懐古趣味というか、温故知新的な現象が起きやすいのではないでしょうか。

 

 

 これを即座に手垢にまみれた「保守反動」とか、「復古主義」などのことばに結びつける必要はないと思います。それよりもある種の経済的成熟の下での選択肢の増加、「新しくなければならない」という固定観念からの解放、ととらえ直した方が、実情に合っているのではないでしょうか






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最終更新日  2016.07.23 10:48:25
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