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2016.09.24
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 経験の量が多ければ賢くなるというだけのことなら、すべての老人は青年よりも賢いはずですが、実際はそうではありません。老人の失敗はしばしば解釈の狭さ(経験について掘り下げて考えないこと)、記憶のまちがい(かつての経験をあとづけのイメージで単純化してしまうこと)、性急な絶対化(たかが自分だけの経験で世の中を分かった気になること)などを原因として生じます。


 私は「過去のすべては財産」だと思っています。本来、経験は宝の宝庫で、あつかいをまちがわなければそこから大きな収穫が得られます。ところが漫然と生活し、いたずらに年をとってゆくだけでは、この宝を十分に生かすことができません。それどころか、失敗する老人の轍を踏んでしまわないとも限りません。


 経験を生かすのに最もよい方法は、日記をつけることです。毎日でなくともよいし、書くときもそんなに多く書かなくてもかまいません。天気、起床時間と就寝時間、誰にあった、何をした、何を食べた、そんなことを書きつけておくだけでも、あとからふり返るとずいぶん貴重な財産になります。われわれは日々たくさんのことを経験しますが、そのほとんどをわすれ、無意識の方へ送りこんでゆくので、日記はわすれていた部分を鮮明によび起こしてくれ、思いこみを制限してくれます。ある程度たまった日記を読み返せば、自分の変わっていないようで変わってしまった部分、成長したようで以外に成長していない部分などがよく分かって、自然な謙虚さと健全な自己反省力(ないし自己分析力)が身につくはずです。


 最近はパソコンもスマホもありますが、やはり日記はノートに筆記、というのが一番いいと思います。文のみならず、気軽にイラストや図を描くこともできるからです。保管も容易だし、続けていけば、ノートに対して愛着がわき始めます。





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最終更新日  2016.09.24 20:02:57
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