『5月花形歌舞伎』 御園座
2010年5月26日 昼の部 3等席 2階12列上手
【男の花道】
加賀屋歌右衛門 亀治郎
田辺 嘉右衛門 愛之助
山 田 春 庵 男女蔵
加賀屋 歌五郎 亀 鶴
加賀屋 歌之助 薪 車
富枝妹 雪 之 宗之助
田辺妻 富 枝 吉 弥
加賀屋 東 蔵 竹三郎
万八の女将お時 門之助
土 生 玄 碩 段四郎
≪ストーリー≫
<一幕>
江戸期。
大阪の芝居小屋では人気の女形・加賀屋歌右衛門が出演中で大賑わい。
その小屋の外に一人の男が追い出されてくる。土生玄碩。シーボルトに学んだ眼医者である。
こともあろうに加賀屋歌右衛門の芝居は目が悪いと言い出し、贔屓者と口論になったためだった。
一ヵ月後、東海道金屋宿の旅籠にて。
加賀屋歌右衛門と一座のものが江戸へ向かう旅の途中、玄碩も偶然同じ宿となる。
またも歌右衛門の眼のことを言われて怒り出す弟子たちだが、
ひとり歌右衛門の様子に違和感を覚えていた東蔵はいつのまにか想像以上に悪化していた歌右衛門の眼を医者に見せることに。
母の想いや中村座への義理もあっ江戸行きを決めたが、どうにもならぬ眼に庭の井戸へ身投げしようとする歌右衛門を止めたのは玄碩だった。
死ぬ覚悟があるならこちらも命がけで眼の治療をしようという申し出に、こころ打たれてすべてをまかし手術は成功、視力を取り戻す。
その姿を見届けた玄碩が黙って出立しようとすると、歌右衛門は心からの感謝を伝え治療代を渡そうとするが、金目当てではないといいきる玄碩。
江戸で日本一の役者になれ、自分も立派な医者になり再会しようと約束を交わすのだった。
<二幕>
4年後。
江戸は中村座の舞台を田辺嘉右衛門は歌右衛門贔屓の妻・妹と共に見物し、ふたりを喜ばせようと茶屋に歌右衛門を呼び出す。
しかし東蔵が代理として現れ、役者は大勢の観客相手に芸を見せるものであり、一人相手は役者道とは違えるものとて、ご容赦をとの伝言。
恥をかかされたと立腹した田辺は席を立つ。
一方、新吉原にちかい料亭で二人の漢方医といっしょにいるのは玄碩である。田辺お気に入りの花魁の眼の治療のためだった。
そこへ田辺がやってきて、酒の肴に座興を命じるが、田辺に取り入りたい二人と違い玄碩はきっぱりこれを断る。
ただでさえ不機嫌だった田辺、座に険悪な雰囲気が漂う。
しかも歌右衛門と玄碩が旧知の仲であり、歌右衛門は自分のためなら何を置いても駆けつけると言う言葉に、命を掛けさせ呼ぶことに。
中村座では歌右衛門が「櫓のお七」を演じている。そこへ届いた玄碩の手紙。
満座の客に訳を話し、この場を離れる許しを請う。最初は文句を言っていた客たちもその真摯な姿に心打たれ願いを聞き届けるのだった。
刻限が迫る中、切腹を覚悟した玄碩のもとへ歌右衛門が駆けつけ、しかも玄碩のためなら舞うという。
刎頚の交わりの間柄、医師の気骨、役者の心構えにさすがの田辺もすべてを許し、わびるのであった。
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かなり前の記憶をたよりに、ちょこっとだけね(^^;;;
もうねー。
ただただひたすら亀ちゃんの美しさ、仇っぽさ、色香にクラクラ(*^^*)。
おきゃんな町娘もラブリーで大好きだけれど、こーゆうのもよいわん。
普通?に女形としての劇中劇の舞台衣装ももちろん美しいのですが、浴衣姿になったっときの仇っぽさときたらもうもうもう!!!
とくに後姿のうなじの色気が、ジタバタするほどステキ。
女形を演じる男、と言う役柄が現実とオーバーラップして混乱しそう(笑)。
そして、どうしても女性にしかみえず、でもいちいちコレは男性なのよ~~~と自分のトキメキに妙な気分になったりとかとか(笑)。
オンナであってオンナではない、性を超越した一種禁断?の色香なのでしょうかねぇ。はぅ。
やーーー本当に歌舞伎役者って・・・歌舞伎役者って・・・拍手ーーーーー!!!!!
もっとも、自分の所作の乱雑さを省みるとひたすら冷や汗モンなのですがね(苦笑)。
オンナ磨き、しなきゃねぇ・・・と歌舞伎みるたび思いますです。はい(汗)。
もちろんお芝居そのものも十分堪能しましたですよ♪
わかりやすいお話ですし、玄碩はやっぱり心意気と気骨がすんなりすぅぅっと伝わってサスガ。
あと、愛之助さんの田辺がねぇ、これまた美しくて(*^^*)。
白塗りだと見た目はもちろん雰囲気とかびっくりするほど仁左サマに似ていて、トキメキ度数UPしちゃいました(笑)。
そうそう、歌右衛門が舞台を抜けるお願いに対して、客席から今で言うブーイングがおこるんですよねー。
1階2階の客席通路に役者さんたちがやってきて、掛け声かけるんです。
私の席は2階だったのだけれど、そこにも登場してくれてね。
ちょうど目の前の通路の真ん中あたりだったかな。
髷を結って着物姿のなかなかオトコマエな役者さんが最初は反対の声、最後は行って来い!の掛け声を間近で見聞きできてお得気分♪
こーゆうのも面白いねー。
命がけの治療を託し託された歌右衛門と玄碩の間には、
まさに刎頚(ふんけい)の交わりといえる信頼と友情がどれだけ年月をすぎようとちゃんとそこに存在していた。
互いのために命がけで必死になってくれていることを寸分も疑わない潔さに、そしてそれに応えた姿に、わかっていてもウルウル(;;)
めちゃベタなんだけれど、ベタベタなんだけれど、それがとにかく気持ちよかったわ。
最後の歌右衛門の舞姿も見事な華を添えてくれました♪
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【太刀盗人】
すっぱの九郎兵衛 翫 雀
目代 丁字左衛門 男女蔵
従 者 藤 内 種太郎
田舎者 万兵衛 愛之助
≪ストーリー≫
遠国に住む田舎者の万兵衛はとある訴訟のため都入り。無事済んで国元への土産を買うため寺町の市へやってきた。
そこへ現れたのはすっぱ(盗人)の九郎兵衛。
万兵衛の立派な太刀に目をとめ、人ごみに紛れてまんまと盗み出すが万兵衛に見咎められ大騒ぎに。
互いにコレは自分の太刀だと譲らず、目代(もくだい)左衛門が取り調べるが、どちらも同じような返答。
実は要領の良い九郎兵衛は万兵衛の答えをこっそり盗み聞きし左衛門に同様に答えていたからだった。
業を煮やした万兵衛、九郎兵衛に連舞で太刀模様を伝えようともちかける。
引き続き尋ねられた太刀の長さを、万兵衛は今度は耳打ちして答え、九郎兵衛は盗み聞きもならずついには正体がばれるのだった。
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笑ったーーー(^0^)。
もうね、翫雀さんブラヴォーです!
あのなんともいえない表情・間、最高です。
そしてなんではとってもキュートなのよねー(笑)。憎めないの。
後半、なんとかがんばって騙して欲しいとまで一瞬思っちゃうほど(おい)。
かたや愛之助さん、「男の花道」とは打って変わって、つーかホント同じ人?って思っちゃうほどの人物。
化粧が違うと仁左さまとはぜんぜん似てないのねー。
お人よしで、一生懸命な姿がかわゆしでした(*^^*)。
こーゆう肩の凝らない演目は気軽に楽しめていいですね♪