銀河はるかに

我が家の庭は、夏になるとあちこちに穴が開いて、セミの幼虫が這い出してきたのだと解る。

今年は、雨が少なく、地面が乾燥していて、セミが地上まで穴を掘れずに死んでしまう確率が高くなっているということなので、折を見て水を撒くようにしている。

今日も水撒きの為に庭に出ると、水を張ったバケツの中に美しいタマムシが浮いていた。

すでに動かず、運悪くバケツに落ちて這い上がれずに溺死したものと見えたが、全く痛んでいないタマムシの美しさに拾い上げて、写真に撮ろうと思った。



私のデスクに運んでティッシュペーパーの上においてカメラを構えてあれこれとアングルを変えながら撮影していると・・・・・触覚が動いたような気がしたので、じっと見ていたが、やはり動かない・・・・・気のせいか、と思っていたが・・・首が動いたような気がした。

今度こそ間違いない、動いた！！じっと凝視していると確かに苦しそうに口から緑色の液体を吐きながら身体をよじる・・・・・・。



「おう！！・・・・どうやら仮死状態の時に私が見つけたらしく、息を吹き返したのだ！！」
「ガンバレ！！」思わず励ましてしまう・・・・。
家内もやってきて、二人で「ガンバレ！」と励ましていた・・・・・。



やがて動かなかった足も動き出し・・・・・すっかり元気になってゆく・・・。
「良かった～！！」「助かったな～・・・・おまえ！」



偶に羽も開いて、飛ぶ準備？

しばらくすると私のデスクの上を歩き回って、カタログの角にしばらくじっとしていた。





すっかり回復した様子なので庭のきんもくせいの木に留らせて様子を見た・・・。



少しするとどんどん登っていって木の葉の間に入っていった・・・・。



生きて次の世代を育んでくれることを祈らずにはいられなかった・・・・。

「元気でね～・・・・・！」

すると家内が傍らでボソっと言った・・・。

「タマムシの恩返しって無いかな～・・・・・」

女はあくまで打算的であった・・・・・・笑。