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2019.07.03
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私はDAZNのF1ライブ中継で見ていましたが、前のBlogで書いた事の他、いくつか、レース後解ったことがあるのでそれについて触れておこうと思います。

今回のマックス・フェルスタッペンの驚異的なパフォーマンスを支えた理由に新しい情報があります。

ポール・リカールで行われたフランスGPに多くの空力部品が持ち込まれていたというのですが、フランスGP以降それらのパーツを見直してオーストリアGPの為にマックス・フェルスタッペンの車だけにアップデートを施したとありました。

ピエール・ガスリーのマシンには最新のアップデートはされていなかったという事ですから、今一元気のなかったように見えたピエールのパフォーマンスも仕方ない部分もあったという事になります。

エイドリアン・ニューエイの語った言葉にも、マックス・フェルスタッペンのマシンのみのアップグレードだという部分があり、主に空力パーツのアップデートが良く機能したことが解りました。

そしてHONDAのエンジンでは、終盤バルテリ・ボッタスをパスする直前のマックスの言葉で「パワーが無くなってきた」という無線の理由は、センサーの一つが壊れてしまったことで、エンジンが自動的にセーフティーモードにしたことによるという事で、マックスの無線に対し「フェイル3」にしろと言ってデフォルト設定に戻したそうです。

そして無事にパワーが戻ったところでバルテリ・ボッタスをパスし、その直後に「エンジンモード11ポジション5」と言う指示をマックスに送って、エンジンのパフォーマンスをさらに上げたモードを使えと伝えたのだそうです。

それからはシャルル・ルクレールを追いかけベストラップを更新しながらラップ69のターン3でシャルルを捉え、フィニッシュまでに2.7秒のギャップを築いたという事でした・・・・。

動画はここ、開いた後Youtubeで見るをクリックしすれば見られます。


この日のレッドブルはそうしたマックス・フェルスタッペンのマシンだけに集中して空力の最適化を行い、エンジンの設定や電力のデブロイメントも徹底したブラシュアップで臨み、レッドブルのタイヤ戦術も、マックスの驚異的なドライビングも、レッドブルレーシングのホームコースである「オーストリアで行われるレースにかけていた」という理由だけでは無かったようです。

マックスを応援するオランダからの非常にたくさんのファンも来ていたことも理由の一つではあったと思われますが、日本のHONDAの副社長を含む役員が3人レッドブルリンクを訪れていて7月1日の日曜日にはレッドブルレーシングとの会議が行われていたという事で、今後のF1に関するHONDAの取り組み方についての7月半ばの日本国内で行われるHONDAの役員会議に向けた話し合いも持たれたという事で、HONDAのF1に対する予算や力の入れ方に少なからず影響するはずの良いレース結果を見せるべきタイミングであったという事もあり、レッドブル・HONDAのチームが一丸となってマックスのマシンを仕上げて来ていた訳でもありました。

そういう背景の中、マックスは自力で3番手の予選結果を掴み、レースではペナルティーで降格したルイス・ハミルトンに代わってフロントローと言う絶好のポジションからのスタートでしたが、まさかのスタート失敗、エンジンがアンチストールに入って7番手にまで落ちてしまったことでチーム代表のクリスチャン・ホーナーも明らかに「やらかした・・・」と、失望した顔を見せていました・・・・。

クリスチャン・ホーナーもマックス自身も「終わってしまった」と一時は思ったそうでしたが、そこからは落ち着いて1台また1台とオーバーテイクを連発し、ついにラップ69に先行するフェラーリのシャルル・ルクレールを捉えたのでした。

ラップ69のターン3でのオーバーテイクは接触もあり、レーススチワードによる審議となり1時間45分に及ぶ討議を経て、レーシングインシデントであるとして、シャルルをコースから押し出す形となったマックスにペナルティーは与えないことになり、優勝が確定したということでした。

私はその問題のオーバーテイクシーンを何度も見ましたが、サイドバイサイドでコーナーに2台が入った時などには、どちらのドライバーも一台分のスペースを開けて、相手をコース外に押し出すようなラインを取るのはフェアではないとされ、ペナルティーの対象となる事もあるわけでが、今回はお咎め無しとなったのにはいくつか理由があると思います。

先ずレースではフェアであれと言っても、勝利することがすべてのドライバーの目的であり、そこでは我の張り合いであることがあり、譲ってばかりはいられないと言うのもレース当事者の真実であることが挙げられます。

それにこのコースはランオフエリアも確保されていて、カナダやバクー、モナコなどのようにコース外へ追いやれば即クラッシュさせるというコースでもないことから、普段でも外側のランオフエリアは半ば使われているわけだからです。

マックスがインサイドに居てシャルルのタイヤとマックスのタイヤが丁度接触した時、コーナーリングが終了間際であっても遠心力をタイヤがこらえている状態でもあり、接触すればアウト側に居るマシンが外側へはじかれることは物理的に止むをえません。しかも実際に両車が接触した瞬間を見れば明らかにシャルルのタイヤが直進状態で動かないマックスのタイヤ方向に切り込むことで起きていました。

そしてコース上で競っているときに相手のラインを完全に塞いでしまうことの是非はこれまでも散々論争の原因になっていることは事実ではありますが、コーナーでインサイドを相手にを取られるという事は、レースで勝ちたい場合は避けるべき状態でもあります。つまり勝負は接触が起きた瞬間ではなく、そのほんのコンマ何秒か前に最初に両車が接近した時にシャルルはマックスにラインを奪われ、衝突を避けるためには外へ出るしかなくなっていたので、そこですでに勝負はついてしまったのです。

それはいくらラインを残して置くべきと言っても、先にコーナーのインサイドについた者は遠心力という物理的な問題があり事実上、外へと膨らんで行くことをコース内でとどめられても、相手に安全なスペースを残し得ない場合もあり得るからで、その動きに対し必ずペナルティーが出るわけではないからという事になります。

従って、レースではコーナーでインを奪われることを避けることが一般には鉄則になるわけです。

しかし、シャルルはラップ68にもターン3で素早い動きのマックスにインを奪われてしまっていますが、ターン4は緩いカーブでほぼ直線の様であり、その次のターン5は逆の左カーブである為1台分のラインをマックスが残してあったためにサイドバイサイドのままターン5まで頑張り、インサイドになったターン5で再び前に出られたのでした。

シャルルが勝つにはそこでの攻防をもう少し良く考えなくてはならかったと思うのです。多分シャルルはインに飛び込まれることを防げるラインでエイペックスを目指せば大きく外に出てコーナリング半径を大きくしたマックスを抑えきれないかもしれないと自分のラップ68の経験から感じたと思われたのでそれを選べず、ラップ68での成功体験からラップ69も同じようにターン3でアウトで頑張り抜き、自分の順位を守り切ることが出来ると考えたと思いますが、インサイドを相手に渡してしまったときにアウトに充分なスペースを再びマックスが残してくれるか?という事を疑うべきであったと思う訳です。

現在のレースシーンでカーブのイン側を奪われてエイペックスを相手が通過した後、コースのアウトサイドへ膨らんで行く動きは全て無条件に規制されているわけではないからです。実際に追い越しにチャレンジしてインに相手が飛び込んだ場合、前に出られて自分のコースを失う事が多いため、アウト側で踏ん張ってポジションを守るという事は、ラップ68のターン3でもわかる通り可能ではあるがリスクが大きいと考えるべきであったと思われるのです。

そこを考えるとラップ69のターン3ではシャルルはインを塞いでターン3に入り、実際にマックスが通ったラインを使ってマックスにアウトを選ばせて、マックスがやったように相手をコースの外に追いやるように走ってポジションを守るべきではなかったのか?

その上でラップ70とファイナルラップを走るべきだと思えるわけですが、逆に言えば、マックスのシャルルへの1回目のアタックのあったラップ68に、ここではインを奪われても、サイドバイサイドで頑張ればポジションを守れる!と結果的にシャルルに思わせたことで、マックスは次の周のターン3のアタックでシャルルがインを塞がずに外に居た場合はインを奪ってしまいさえすれば、今度はアウトに充分なスペースを残さずに自分がコースの外側近くのラインへと膨らんで行けば良いと直感していたのではないか?と言う風にも考えられますよね!、

実際ラップ69ではシャルルはインを守るそぶりさえ見せずにアウトから侵入するラインを選びました。
ラップ68では最もアウト側からアプローチしたわけではなく、中ほどのラインでマックスを牽制できる位置にいたけれど、非常に素早いマックスの動きによってインを奪われていたので、マックスとしても体当たりするような膨らみ方は出来ずに速度を落としてイン側を回ったからシャルルはアウトで頑張り通せたという事だったのでしょう。
或いはアウトで頑張り通せるという意識をシャルルに持たせて、その後にその意識が起こすであろうシャルルのアウトへのライン取りを誘導するマックスの作戦であったと考えられないことも無いですね?。

もしシャルルがアウトでターン3を守り切る作戦であるならラップ69のターン3ではもう少しセンター寄りにラインを変えて走行距離を短くすることでマックスよりもタイヤ1個分前に出なくてはならなかったと思います・・・・。
シャルルはそこで失敗したと私は考えています・・・・少し大回りしすぎたし、今回も前と同じようにマックスがラインを残してくれると思ってしまったのでしょうか?それはあまりに楽観的過ぎたのでは無いでしょうか。

そして、ここ数戦、レース結果が最終ラップの結果でない、スチワードの下すペナルティーの裁定によってレースの順位が変わっていたことに対する批判もあり、F1にとってはそれは一つの危機とさえ見られていたのです。

FIA側のスチワードとしても、モナコGP、カナダGP、フランスGPに次いでここでまたゴールした順序ではなく、審判による判定の勝負にすることへの逡巡もあるかに見え、このマックスとシャルルの接触までも、同様な判定勝負に持ち込んでしまう事を避けたかったという背景を強く感じました。

シャルルにはマックスの取った相手にラインを与えないという在りがちなアンフェアを我慢してもらって、ここはF1のスペクタクル性を守るという事が優先されたと言えないこともないでしょう。

今後はこのオーストリアのレッドブルリンクでのターン3の裁定が判例として残り、この程度までをセーフとするという事になると思われます。

何時かシャルルとマックスが立場を入れ替えて審議に入ることが案外早くやってくることだろうとも思えます。なぜなら今日のことをシャルルは生涯忘れないはずで、同様なケースには同様に対処することが容易に想像されるからであります・・・・・。





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最終更新日  2019.07.03 23:20:38
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