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カテゴリ:F1・モータースポーツ
2つ前のBlogに書いたことの補強として、HONDAのエンジンがレッドブルリンクで非常に強かった理由について、ターボチャージャーに関連したアドバンテージがHONDAには有るかもしれないと考えてみた・・・・。
もちろんトルクマッピングに代表されるデブロイメントの最適化の効果も威力を発揮したと思っているが、ポール・リカールから持ち込まれたHONDAのスペック3エンジンは、HONDAが認めているようにHONDAジェットのジェットエンジン技術者とのコラボレーションによって幾つかの問題解決を実現したものであると聞いていからであります。 これは私の知り得た知識からの単なる想像だから、確実な話ではないことを先ず言わねばなりませんが、現在のF1エンジンのターボチャージャーの仕事は吸入エアーの一次圧縮過給だけでなく、ハイブリッド(モートル併用)駆動するマシンの電力供給源の役割りも担っていることは知られたことと思います。(MGU-H) そのことを頭に置きながら、ターボチャージャー付きエンジンの燃焼制御を考えると、燃焼に使われる吸入エアーの酸素量には適正値が存在するはずだ。という事を無視することが出来ないようになり、その部分の仕組みを理解するか、正しく想像する必要が出て来ます。 こうしたF1エンジンのような最先端の内燃機について十分な知識があるわけではないから、間違っているかもしれないのですが、最適値が無いとすれば酸素は多すぎても問題が起きないという事になります。だとすると酸素は多いほど燃焼は速くより完全燃焼が得やすくなるという事になりそうですが、大量に酸素の余った燃焼ガスは高音と相まって酸化反応力が強力となり、これまでエンジンの金属部分を酸化させる最も大きな原因になって来ました。 ピストンヘッドの高音溶解による穴空きや排気バルブ傘部の溶損、点火プラグの焼損なども薄すぎるガスと言う相対的に酸素が多すぎる燃焼ガスによって多発すると言われて来たと認識しています。 現在のF1のレギュレーションでは単位時間当たりの燃料消費量が厳格に制限されるため(100kg/1H)、ターボチャージャー式内燃機関でパワーを犠牲にせずに過酸素燃焼を防ぐには過給圧力で調整する他方法は無いはずですから、最適過給圧はスロットル(燃料噴射量)との完ぺきな連動が求められることになります。 しかし、過給圧を燃料噴射量に常に合わせることは、空気圧の性格上その応答性を考えれば至難の業となるのは明白ですから、過給圧に燃料噴射量を合わせるような制御が考えれますが、そうするとスロットルレスポンスは非常に悪化してレースで使えるレベルからは大きく逸脱してしまうはずです。 それをある程度きめ細かく制御できるシステムとして考えられる技術は比例制御式可変ウエイストゲートバルブという事になりますが、よく考えてみれば最大燃料噴射量に備えて一次過給圧は常に高めに保持して、それ以外の回転数が低い時やスロットルが全開となっていない時には圧縮は継続して行いながら可変ウエイストゲートは小刻みに常に動いて吸気管内の圧力を逃がす必要に迫られることになります。 燃焼状態やスロットルレスポンスの問題に焦点を当てるだけなら、それでも良い結果は得られるように感じるかもしれませんが、せっかく排気熱エネルギーを使って圧縮した空気を大気放出させてしまう事は、そこで利用できる熱エネルギーを無駄に捨ててしまう事になってしまう訳ですし、有効にそのシステムを機能させるには過給エアーを備蓄するチャンバーが複数必要になって来ると私には予想できます。 さらに言えば圧縮性の気体の圧力制御をリアルタイムでしかも軽量小型な部品で、物凄い流速の吸気管の中で破綻させずに高速で連続制御可能なシステムが現存することも可能性は高くないと思えます。また、たとえそれが出来たとしても圧縮に使ったエネルギーが無駄になる事を止めることは出来ないのです。 そこで、ではどうやってその問題を解決しているか?そこがこの話の核心に近づく問題ですね。 先ずはスロットルバルブが、やはり吸入エアーの流量制限を行っていて、結果的にシリンダー内の酸素量を制御しているはずだという事が挙げられます。 つまり燃料の噴射量はレーシングエンジンですから、ドライバーのスロットル操作が最も支配的で、ドライバーの意思であるパワー要求が先ずあり、そしてその時のエンジン回転数からF1のレギュレーションに定められた時間当たり燃料消費量を超えない最大噴射量が計算され、それに見合った酸素量を決定し、そのための気筒内圧力に制御するために吸気管内の圧力を基準にしたスロットルバルブの開度が計算されて、スロットルバルブが動くことになるはずです。 その結果エンジン側として可能な最大トルクの発生を燃料消費量と言う規則内で実現すると思われ、さらにそれを淀みなく連続的に実現するために、吸気管内の空気圧を遅滞なく供給できるターボチャージャーの回転追従が不可欠であり、もしエンジンの回転数とドライバーのパワー要求に対し適正な過給が行われない条件が時系列的に発生する可能性が有る時は、コンプレッションタービンは吸気管内の圧力不足が発生する前に電気モーターで強制的に回されるか、高圧タンクからのエアーの供給等を受ける必要が出て来ることになるはずです。 この時に各エンジンサプライヤーが避けたい事として、最も加速力が必要な時にはモーター駆動にすべてのバッテリー電力を流したいはずだから、コンプレッションタービンを回すために電力を使う事が挙げられますが、小さなコンプレッションタービンを回すことよりもさらに避けたいのは、設置する場所が問題になる高圧エアーチャンバーを車に積むことではないでしょうか? 可変ジオメトリーターボが規則で使えないF1ですからエンジニアは低速コーナーでスロットルをやや絞って走行している時と、そこからの全力加速を行う時にモーターでコンプレッションタービンを回すのではなく、エンジンの気筒に対する燃料の直接噴射とスパーク着火をを排気バルブが開いて排気工程にあるタイミングでも行ってピストンへの力がほとんどかからない条件で排気側タービンを含めたターボチャージャー全体を高速で回せるようにしている可能性がありませんでしょうか?まあ、スパーク着火だけを止めると起きる排気管内でのアフターファイヤーを利用したミスファイアリングシステムよりは安定してタービンを駆動することが出来ると思います。 そこのところもあまり確信は持てませんが、低速コーナーに入った時の特徴的な排気音からそういう少量のアフターバーンでターボを綺麗に回している可能性をどなた様か?感じませんでしょか?燃費も悪くなりますから、サーキットによっては苦しくなることもあるでしょうか? ここで気になっていることを挙げると、排気タービンに吹き込む燃焼後のガスを絞ったり開けたりして効率を高める可変ジオメトリーターボは禁止ですが、ターボチャージャーの回転数についてはF1の規則で上限は無いためどのように設計するかも自由です。しかしMGU-Hを構成する発電機の回転数上限が125000rpmと決められている為、タービンシャフト直結でジェネレーターを設計すると通常のターボチャージャーの回転数(200000rpm以上)に対し回転数は低すぎの様に感じます。 そこでタービンシャフトから1/2程度に減速すれば良さそうですが、一次側で200000rpmと言う回転数はギアで減速するのはなかなか厳しい面がありますからギア式ではない減速機構が求められると思います。メルセデスやフェラーリが減速してジェネレーターを回しているかどうかはやや疑問ではあるのですが、不可能とまでは言えず、現在自由に使えるモーターアシストは、発電量に比例して強化できるためパワーを稼ぐには、その無制限の部分を最大化することが最も確実にマシンを速くできることも事実と言えますから、強力なジェネレーターを駆動するためにも直径の大きな排気タービンを備え、減速されてトルクの増した軸でジェネレーターを駆動し大電力を得ていないとは言えないのです。 ではHONDAがそこに新技術の投入に成功しているとしたらどうでしょう?ジェネレーターの軸回転数が125000rpmで減速率が1/2の場合、タービン軸に直結されていないとしたら過給タービンは250000rpmで回っても規則としては問題は無いことになります。 もしそうならどんなメリットがあるかという事を考えると、ここがもしかしたら秘密の核心かもしれないと思えてきます。 再度言いますが、これは私の想像であって事実とは違う可能性がありますので何分その点はご容赦ください。 私の考えでは、タービンシャフト直結式のジェネレーターを使っている場合、海抜の低いカナダGPやメルボルンGP、モナコGPなどでジェネレーターに最大の電力を発生させるにはターボチャージャーのタービンシャフトの最高回転数を125000rpmに留めなくては規則違反になってしまいますが、レッドブルリンクの標高は660mと高いため、低地のサーキットの時に比べ8%程過給圧を高くしないとエンジンは低地で得られる最大出力と同等のパワーを出せない計算になります。 それ故タービンシャフトと直結式のジェネレーターを持つ場合、ターボチャージャーの回転数を125000rpmのままにしておく必要があり、高度が高いために失う酸素量をタービンの回転数を上げて補う事が出来ない為、パワーが落ちても燃料の噴射量を減らさなくては最適な燃焼をさせられなくなる可能性が出て来ると思ったわけです。 もし、ジェネレーターとタービンシャフトが直結でなく何らかの減速機構が加えられたジェネレーターであるなら、ジェネレーター側の減速デバイスのサイズをわずかに変更すればタービンシャフトの回転数を1割ほど上げても、ジェネレーターの回転数を125000rpmに抑えておくことが可能になりますから、過給圧の不足に依るパワーダウンは全く無く、低地と同じようなパワーを発生できると言う訳なのです。 発電機の部品の交換がMGU-Hとして一体化されていることでその交換でペナルティーが発生することを防ぐ手立ては二つあり、タービンシャフトと発電機を切り離した部品にしておくことと、そもそもMGU-Hの速比を任意に可変できる構造で作っておくことだと思いますが、詳しいレギュレーションを調べないと何とも言えません。 ただ、別の方法として、減速機構ではなくともタービンシャフトとジェネレーターシャフトをオイルフリクションで成立させるようなルーズカップリングデバイスで繋ぎジェネレーターが規則で決められた許容回転数を超えない範囲で発電コイルへの励磁操作をすることやカップリング内のフリクションプレート同士の距離を変更する等の運用で実現することも十分可能と考えられます。 もし・・・、もしもHONDAがそのような方法でジェネレーターを連結していたとすればレッドブルリンクで見違えるほどのパワーを見せた事も納得できるのであります。 そしてHONDAもレッドブルチームも何故こんなに強かったのか今もはっきりとは解らないと言っていることは、完全にトボケているだけという事になるわけです・・・・。 さあ・・・どう思いますか?皆様・・・・・。 一人のエンジニアとして私が想像で書いたものですので、間違っているかもしれませんが、そんな可能性も少しはあると考えてみました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.07.05 14:58:45
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