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最初に言っておきます。ごめんなさい。
『パンゲーム・パニック』 ―プロローグ<朝、自室にて>― 朝、夏も終わり世界が秋の色に染まり始めた事を教えてくれる涼しげな風が、 まだほのかに夏の熱気を含む陽光を心地よいものに変えて吹き抜けていった。 布団の中で寝返りをして瞼(まぶた)を開くと、まだ世界はおぼろげに映っていた。 「最近、布団の中がどんどん恋しくなった来たなぁ・・・」 ボンヤリと動き始めた寝癖頭をガシガシと掻きながら、俺は溜息混じりに呟いた。 と、同時に 「おはよーーー!!!」 「ぅごはぁっ!!?」 元気の良い高い声と一緒に腹部に重い衝撃!? 内臓全てを口から捻り出そうな感覚と腹部から伝わる鈍い激痛に 俺は自室の中を転げ回った。 「朝っぱらから元気が良いねェ、コウくんは♪」 着地点にちょこんと座ったまま、部屋を転げ回る俺を指差して 満面の笑顔で笑っている少女に、俺は激痛を堪えながら力の限りに抗議の言葉で言った。 「あのなぁ・・・リィナ・・・」 「ん?」 腹の底からフツフツと沸きあがってくる感情を必死に押し殺していたが、 まるで『何をそんなに苦しんでいるの?』と言っているみたいな リィナの顔に、堪らず噴火した! 「元気の良い人間が腹を押さえて身悶(みもだ)えるか!!このバカ野郎!!!」 するとリィナは一度キョトンとした顔になって直ぐに笑顔に戻って言った。 「だって私、魔族だもん♪」 「・・・・・・・・・はぁ」 嘘も偽りも感じさせない輝くような笑顔でハッキリと言うリィナに、 俺はため息を吐くしか出来なかった。 「早くしたくしないと学校に遅れるよ?下で待ってるから早く来てねー!!」 俺は曖昧(あいまい)に返事をすると、 パタパタと階下に下りていくリィナの長く伸びた耳を見えなくなるまで眺めていた。 ―――『次元結合』――― 二十年前、突如として世界に起こった大事件。 その日、この世界の空と海に未知の世界が突如として現れた。 空の世界と海の世界、それぞれの世界からこの世界に舞い降りた人々は、 それぞれ、空の世界―天界の神族―、海の世界―魔界の魔族―と名乗った。 もちろん世界は混乱に包まれた。 空と海に別世界が出来てから一ヶ月程はお互いに相手の出方を見る形になり、 各地の暴動やデモの問題により、俺たちの世界(彼ら別世界の呼び方では 人界と言うらしい)のトップ(つまりは大統領)とそれぞれの別世界のトップ、 神界の神王と魔界の魔王とが会談を行った。 一週間の長い話し合いにより三世界は共存の道を歩むと友に 何故三つの世界がくっ付いてしまったのかを三世界合同で調査 をすると言う事で決着がついた。以来二十年間、さしたる問題も なく共存の道を歩み続けている。 ちなみに、人間(別世界の彼らは人族と言うらしい)と神族、 魔族の区別の仕方は耳の長さでわかる。人間より少し長くて丸みを 帯びている耳が神族、神族より長く、尖った耳をしているのが 魔族となる。他の外見的特徴はほぼ変りはなく、これも今まで 上手く共存出来た要因の一つなのかもしれない。 ―第一章<朝、学園にて>― もう一年半以上も毎日毎日通った通学路を、俺は学校に向かって 全速力で走っていた。 何故俺が全速力で走っているか?理由は簡単、時計の針の短い のと長いのが今何時を指しているかを見れば一目瞭然(いちもくりょうぜん)だ。 現在の時刻は八時二十五分、学校の予鈴は既に鳴った。つまり 本鈴まであと五分。学校到着までの予定時間はおよそ十分、五分 のロス。まぁぶっちゃけ遅刻だ。だが、俺はそんな絶望を省みず、 微かな悪あがき・・・もとい、希望を抱いているからだ。 朝俺を起こしに来ていたリィナは俺があまりにもたもたして いたからと言う理由でさっさと学校に行ってしまった。(テーブ ルの上にそんなメモ書きがあった)確かにもたついていたが、そ れはこの目覚めが悪い思考のせいであって俺はその被害者だ、何 も悪くない・・・はず。 「あいつ一声掛けてくれればいいものを・・・!」 ブツブツ文句を言いながらも速度を落とさず、つい先日に舗装 され直されたばかりのアスファルトを蹴り続ける。と、後ろから 声を掛けられた。 「おっはよゥ!今日も良い朝だねェ、こんな日はのんびりと秋の 空を眺めながらお昼寝したいよねェ?」 サイドに跳ねた髪を揺らしながら、少女が俺の横に並んで問い かけてくる。 「一人でやってろ、麻己」 俺は即答すると走る速度を上げた。 「ああ!?コウ冷たい!二人の愛は!?あの丘の上で誓った将来は!?」 「んなもん知るか!置いてくぞ!」 訳の分からんこと叫び散らす麻己を後方に残して、俺は目と鼻 の先まで近づいてきた校門に向かって更に速度を上げた。 私立T(トリプル・ワールド)学園、まぁ何かしらツッコミ たくなるような名前の学園だが、これでも世界に十箇所もない三 世界合同で作られた三世界共学の学校の一つだ。そして、その学 園の二年B組が俺が所属しているクラスだ。現在ホームルームの 真っ最中、担任の典型的熱血教師が「つまり、青春とは・・・!」っ と、もはやお馴染になったフレーズを交えつつ雄弁に、かつ暑く 連絡事項を話していた。 「つまり、この場合の青春とは!文化祭に向けて皆で協力し、助 け合い、励まし合い、時に衝突し、時にすれ違いながらも最後に は全員が涙して本番を成功させる!!素晴らしい!!素晴ら しいとは思わないか!?お前た・・・」 『セーーーーーーーーーーフッッッ!!!』 まさに先生のテンションが頂点を突き破らんばかりのところ で横槍を入れるかのようにハモった大声。犯人は俺と麻己。ただ 今絶賛息切れ中。 「・・・・・・・・・・おぅまぁえぇらぁぁぁぁぁ・・・!!!」 『!!』 教卓に視線を落としながら肩を震わせていた先生の口から発 せられた言葉には、ハッキリと殺意が篭(こも)っていた!背後には漫画 のように黒々しいオーラ+ゴゴゴ・・・!の擬音、先生が握っている 教卓がギシギシと音を立て始めるBGM付き! 俺の中の警報が限界以上の音量で鳴り響き始めた!ワレケイ コクセリ!ワレケイコクセリ!! 「せ、セーフですよねェ?先生」 ウインクをしながら麻己が先生にこの一言。逆効果だって!何 やってんだお前!? 視線を上げた先生の顔は・・・・・・・・・・・・スマーイル!とぉぉぉって も素敵なスマァァァイル!!でもその笑顔が今はとっても怖い です先生!! そしてそんな素敵なスマイルの先生の一言は・・・ 「アウトだバカ者!!二人とも廊下に立ってろ!!!!!!」 『ひぇぇ~~~・・・!!』 先生の怒声に麻己と一緒に気圧され、全速力で廊下に飛び出して いいく俺達をクラスメートの連中は笑って見送ってくれた。見せ もんじゃねェぞ! さて時間が時間なのでここまでとさせていただきます。 現段階の文字数で明日の日記に続き書くかもしれません。 でゎでゎ、また明日。 でゎでゎ続きーっと。 キーンコーンカーンコーン・・・ 昼休みを告げるその鐘の音は、さながらネ●とパト●ッシュが 天に召される時と同じ位に、俺達学生に授業と言う名の拷問から の開放を教えてくれた。まあ、昇天はしないが。 「おーいコウ!購買行くぞぉ!!」 授業が終わった後の開放感に浸かっている俺の耳に、親友であり 悪友でもある雄人の声が届いた。 「おう、今行く!」 俺は机に突っ伏していた体を起こすと、雄人の後に続いて教室 を後にした。 数分後、屋上に俺の死体が転がっていた。 理由は本日の購買での戦績を聞いてくれれば分かるだろう。 本日の戦績→パンの耳一袋、以上。 出だしは良かった。何も間違えなく滑らかなスタートをしていた。 だが戦場は非情で冷酷で残酷だった!すでに人だがりが出来始めていた その戦場に俺は勇敢に飛び込んでいった。人を押しのけ 隙間をすり抜け、あと少しというところで悲劇が起きた!隙間を すり抜けようとする俺の顔に偶然に肘打ちが入ったのだ!しか もダブルで!!あまりの痛さに思わず仰け反った俺の腹に追い討ちを 掛けるかのようにさらに肘打ちが入った!俺は目を白黒させながら なんとか前に進もうとしたのだが・・・後ろからの突然の重圧に あえなく潰され、その後は蹴りの連打に踏みつけの殴打と言うリンチ に近い攻撃を受けた。そして、落ち着きが戻った購買にボロボロの俺が 辿り着くと、全ての食べ物がなくなっていた・・・。だが、愕然とする俺に 見かねた購買のおばちゃんはパンの耳が詰まった袋をくれたのだ。 この時はおばちゃんが女神に見えた。 ・・・・・・・・・まあ、そんな事があった訳で。 「フ、フフフ・・・」 情けでもらったパンの耳を見ていると自然と笑いが出てきた。 「あっはははは・・・、アーッハッハッハッハッハッハッハッハッハ ッ ハ ッ ハ ッ ハ ッ ハ ッ ハ ッ ハ ッ ハ ッ ハ ッ ハ ッ!!!!!!!!!!!」 高らかに笑ってやった。周りの連中が驚いて、こっちを奇異の 目で見ているがお構いなしに笑ってやった。 「だ、大丈夫か?コウ・・・?」 制服をだらしなく着込んでやきそばパンを頬張っていた雄人 の声が聞こえたが俺は笑いつづけた。 「コウくんが壊れた・・・」 顔を引きつらせて嘆いているリィナの声が聞こえたが俺は笑 いつづけた。 「まあ・・・(もぐもぐ)気持ちは分からなくもないんだけどねェ・・・ (もぐもぐもぐ)」 メロンパンをかじりながら喋っている麻己に殺意を覚えた ・・・! 「ッパンかじりながら言うんじゃねぇぇぇっ!!!」 「きゃぁぁぁっ!!?」 憤慨した俺は麻己に掴みかかった! 「慰める気があるなら、その咥えているパンを捨てろ!もしくは 俺によこせぇぇぇっ!!」 麻己の体をガクガク揺らしながら俺は叫んだ。すると麻己が・・・ 「食べたいの・・・?」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 11, 2007 08:18:12 PM
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