カテゴリ:やま
趣味でも遠足でも山に登ったことのない夫が山仕事を始めて1年4ヶ月。
先日、日記に書いた間伐の仕事は意外と早く終わり、しばらく前から次の仕事にかかっています。 ‘道作り’ 何にもないところに道を作る、山では一番基本となる仕事です。 この道がないと他の仕事もできません。 猟師たちが通る道にもなります。(まさに獣道!) 山仕事を始める人が山を知るため、山に慣れるため、山仕事が自分に向いているか試すために、まず最初にやる仕事です。 暑くても寒くても、山を掘り、ひたすら階段を作っていく仕事です。 草刈機やチェーンソーを使わないので危険がないから、少々の雨・雪の中でも仕事をします。 夫も山仕事を始めてから、半年ほどは毎日、道作りをやっていました。 自分が試されています。 本当に山で食っていくつもりなのか。 組合に試されています。 山でやっていく根性があるのか。 「今日はどうだった?」夫が帰ってきたら毎日聞くセリフです。 「大変だよ、でもおもしろいよ」 「ベテラン(仮称)の仕事はきれいだし早いよ」 「俺が作った道はすぐ壊れたり、階段の高さがまちまちだったりする」 初めはこんな返事が返ってきていました。 (ベテランは、夫に仕事を教えてくれている山師のことです。詳しくは→こちら) そして日が経つごとに返事も変わってきました。 「去年作った道を見ると、すげーへたくそなんだよ。今見れば分かる」 「研修生が作ったのかベテランが作ったのかも見れば分かるよ」 「仕事も早く進むようになった」などと話しています。 ‘トンガ’とか‘ジョレン’という基本的な道具の名前すら知らなかった夫でしたが、少しは山の仕事のことを体で覚えてきたきたようです。 「今日はどうだった?」 この返事を聞けば、夫がこの仕事をとっても楽しんでいることが伝わってきます。 仕事のことをこんなにいきいき話す夫見るのは、この仕事が初めてです。 (私たちは付き合いが長かったので、これまでに何度も転職を繰り返してきた夫を私はずっと見ていたんです。。) * * * * * * * * * * 私たちが住んでいる北山村は、昔から良質の杉に恵まれ林業で栄えていました。 伐採された木材の輸送は、川を利用して筏(いかだ)によって木材集積地の新宮まで運ばれていました。 当時、北山村は人口の大半を筏師が占めていました。 新宮木材業者と筏師は共存共栄、切っても切れない関係で成り立っていたそうです。 (北山村役場HPより抜粋) 今は木を伐採していないので、木材を輸送する必要もないし、大型トラックが通れるよう道も整備されたので職業としての筏師はいません。 今、筏師は地域振興・観光の一環として存在し、村内・村外の若者が受け継いでいます。 ところで、木を伐採することのない今は山を管理する仕事しかありません。 木を切らないので、木を育てる仕事がないのです。 村では‘緑の担い手育成事業’が始められるまでは、山師が高齢になり山の隅々にまで手が回らず、ほとんど放ったらかしでした。 ですから、この道作りの仕事、今でもたまにあります。 昔々に作り、もう壊れてしまった道を作り直したり、または道がない所に新たに道を作っていきます。 * * * * * * * * * * * それで、やっと話は戻ります・・・ 道作りの仕事は久しぶりで、いつも通り一生懸命やったそうですが。。 でも・・・。 いつもベテランと研修生2人の3人チームで仕事をしているのですが、ベテランは仕事のペースが速い速い! 夫ともう一人の研修生が作った距離と、ベテラン一人で作った距離が同じくらいだったそうです・・・。 しかもその日の朝、研修生は二人とも遅刻したそうで。。 正確には、遅刻ではなく、ベテランより来る時間が遅かったということですが。 ベテランはいつも、研修生のほうが準備に時間もかかるから余裕を持って仕事を始められるように早めに来るように、と言っています。 朝二人が遅れたことで機嫌が悪くなっていたベテランは、仕事も遅い夫に喝を入れました。 その日は、どう考えても朝も遅れ、仕事も遅かった二人が悪かったと思います。 そこで飛んだベテランの喝! 「おまえら、今度遅れたら、 もうおまえらの面倒は見んぞ!」・・・と言うのかと思ったら、 「わしも だらだら仕事するぞ~!!」 えっ??!!! 私、この話聞いて笑ってしまいました^^; あのベテランがだらだら仕事する??! 無理無理。 絶対だらだらなんかできない性格の真面目な方なんですよ。 だから、なんだか想像するとおもしろくて・・・つい。(笑。ベテランには失礼だけど) 夫はいつも一生懸命仕事をしていて、今日はベテランも言うことないだろう!と思っているそうですが、仕事が終わってから必ず何か言われます。 しかも、このベテラン、夫の仕事が順調で何も言うことがないときは、喝が私生活にまで及びます、笑。 たとえば・・・ 「おまえ、まだ皿洗ってるのか?!」 (うちでは私が食事の支度、夫が片付けをしているので。) 「え?してますけど・・・」 「いつまで洗うつもりや? やまいき(山仕事をする男のことをベテランはこう呼びます)は皿なんか洗わんぞ~っ!」 ・・・とか、いろいろ言われているようです^^; たまに役立つ喝もあるんですよ^^ 田舎で暮らすための心得を伝授してくれたり。 でも、いつも夫のことを考えて喝を入れてくれるベテランです。 夫もそれを分かっていて、「ああいう風にスパッと言い切ってくれたら気持ちいい」と。 心はとても優しい人ですが、仕事の面においては厳しく接してくれる人です。 ‘自分の弟と思って’夫と付き合ってくれているベテランに感謝しています。 そして今日も明日も喝が飛ぶ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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