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「直接、手渡したいものがある。訪問してよいか?」
突然、本部長から連絡があった。 正直嫌な予感がした。 実は僕は、在宅勤務、という形でまだ勤務を継続している。 もともとうちの会社にも同業他社にもそんな制度や前例は無く、人事部からも拒否されたのだが、関係者の支援を得て、数ヶ月かかって交渉し、再検討してもらった結果、いろいろ条件は付けられたものの4月に会社初の在宅勤務を許された。 このご時世、今回の本部長訪問はその打ち切りの宣告ではないかと・・・・・。 「コレ、預かってきたよ。」と手渡されたものはなんと社長からの手書きのメッセージだった。驚いたし、全くの想定外だった。社長といっても僕らは滅多に会えないし、TVや新聞に登場するような雲上人だ。 「先日GO君が設立に尽力してくれた○○○社を訪問してきました。これからの大きな飛躍を期待しています。貴君の熱い気持ちが必ずや成功に導いてくれるものと信じます。安直な言葉はかけたくありませんが、“どんなに苦しい状況でも絶えず前向きに”という私自身のモットーを受け止めてもらえればと願います。誰もが100%サポートしています。(署名)」 もちろん病人相手の気遣いやリップサービスもあるだろう。100%サポートといっても当然、働ける間は、の話だ。会社は福祉団体では無い。 在宅勤務とはいえ、無条件で降格になったし、急に冷淡になったヤツもいる。 仕事内容だって所詮脇役だし、僕がいないと回らない仕事なんて有り得ない。 金のためとはいえ、正直気持ちは萎えつつあった。 そんな中でこのメッセージは嬉しかった。入社以来いろんな喜怒哀楽があったが、これが最もうれしかったことかもしれない。 金ではなく、しかるべき方々から認識され、リスペクトされること。それで人間は生きられるし飢えている。 この病を持っているかぎり、やがて社会人である自分とも別れが来る。 その時まで走りきるためには、大切な言葉が必要なのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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