|
カテゴリ:その他
病院で寝転びながら2010年を回顧していた。
とにかく辛かった年だったけど、何か良いことがなかったかと。 挙げるとすれば、三月に泊った那須高原のペンションの小さな小さな露天風呂でのことだろう。感じた幸福度で言うと人生最大かもしれない。 麻痺して浮く不安定な体を両方から妻と娘に支えられながら湯船に浸かる。 すると見上げる漆黒の夜空から舞い落ちる粉雪。 病気の進行におびえ続けた僕がえもいえぬ安心感に包まれ、家族をかけがえなく愛おしいと感じた瞬間だった。そして雪。あのような欠けるものなき全き感情を僕は知らなかった。沸き起こる生への執着。 これからもまたあの気持ちと再会することができるのだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[その他] カテゴリの最新記事
|