会社のベランダから見える木の実があります。

決して誰も触ることのできない木の実です。


例えば、パチンコを使って打ち落とすことも出来るかもしれません。

例えば、はしごを使って手を伸ばすことも出来るかもしれません。

例えば、鳥に頼んで啄ばんでもらうことも出来るかもしれません。


でも、今ここからでは決して触れないのです。

そんな木の実を眺めるのが好きなのです。
タバコを吸いながら、
コーヒーを飲みながら、
深呼吸をしながら、

”触れないんだ”
・・・と思いをめぐらすのが好きなのです。

触れない実に沢山の思いを込めて。


いつか叶う今は触れない実

いつかは手にして見ることが出来る今は触れない実


今はベランダから。



そのうちそんな距離も飛び越えられる自分になったら

赤い実もお腹の中に入ることでしょう。