カテゴリ:犯罪者系
そのレイキのセッションは、まとめて申し込むと5万円で、それは当日支払えば良いと書いたが、実際は先に申込金として、1万円だけ振り込む、ということになっていた。このお金を払い込むことによって、予約というか、参加が成立する。当日都合が悪くなって参加できない場合も、この1万円は返却しない、そういう内容だった。が、何しろ私の友達は、セッションに申し込んだこと自体を忘れていたので、この1万円も払い込まなかった。
ある日のこと、彼女のもとに「連絡しろ、この野郎」というような、かなり過激なサブジェクトのメールが届いた。「はあ? 新手の勧誘?」くらいのつもりでメールを開いた彼女の目に飛び込んできたのは、「レイキの先生」からの悪口雑言だった。 私も後日見せて貰ったが、連絡しないとはどういうことだ、何とか言え、というような、およそ品のない暴力的なメールだった。セッション代金5万円を耳を揃えて払え、というようなことも書いてあった。 彼女は最初、何かの間違いメールかと思ったが、発信人の名前に見覚えがあるような気がしてチェックしてみて、ようやく「レイキの先生」だと分かったと言う。ホームページに掲載されている写真は、温和そうな小太りの青年(?)なのに、メールの内容はヤクザ的で、その落差に彼女が最初に思ったことは「やっぱり行かなくて良かった、こんなトコ」だったそうだ。 彼女は「申込金1万円を振り込んだ時点で予約が成立する、また1万円は都合が悪くなって参加できなくても、返却しない、というお話だったのだから、私があなたに5万円を支払ういわれはないはずだ」というメールを、ただちに出した。とーこーろーがー、その後も連日、ソヤツの嫌がらせメールは続き、あまりの暴力的な内容に、彼女はそのメールアドレスを捨てることになった。 とーこーろーがー、問い合わせ時に彼女は、正直にも自分の住所を相手に知らせていたため、ある日、ヘンなアカガミのようなハガキがやって来た。これも見せて貰ったが、赤い大きな文字で「督促状」と書かれており、「申込金の1万円(何故か5万払えという暴言は引っ込めていた)を払え。払わないなら、どんな方法をとってでも払わせてやる」とあった。 「どんな方法をとってでも」という部分は、大きなフォントで太字、更に赤の枠で囲ってあるという念の入れようで、ハガキ全体からはドロドロとした悪意が漂って来るようだった。 彼女は私の薦めで、消費者センターに相談の電話を入れた。私はセンターに相談したことがあるのだが、その時の経験から、かなり親身になって面倒を見てくれるということを知っていたためだ。 消費者センターの担当者も、彼女の意見に賛成だった。「申込金を払っていないのだから、予約自体成立していない。よってキャンセル料の1万円も支払う必要はない」 ただ、と、その女性担当者は言ったそうだ。「メールの文面、ハガキの印刷方法や内容をうかがうと、かなり悪質な人間のようですね。背後に何かの組織があるような、強気な感じも気になります。女性の一人暮らしということを考えると、ここはバカバカしいけれど、もしかしたら、1万円を支払って穏便に済ませた方がいいかもしれませんね」 そういうアドバイスをするほどに、そいつのハガキとメールから、ただならぬ悪質さが漂っていた、ということなのだろうけれど、それはハガキの実物を見た私も同感だった。私は「何かの組織」の存在は感じなかったが、その小太り「レイキ」野郎に、精神異常のようなものを感じたのだ。 消費者センターの人のように、商取引系のトラブルの専門家ではないが、私はコト変な人にかけては、日本有数の第一人者であると思っている(自慢になんねーよ)。だから友人には、「今すぐ引っ越せ」という、過激なアドバイスをしていたくらいだ。 友人はセンターの人と私のアドバイスを天秤にかけ、1万円の方が安上がりだと判断して、ようやくその「レイキ」にお金を振り込むことを決心した。自分の愚かさが招いた、アホな授業料だと思えば、変な危害を加えられたり、危害を恐れるよりはマシ、と諦めたようだ。 この件を思い出してから、某登録型の大手検索サイトで「レイキ」で検索したら、その詐欺師「レイキ」のサイトが今もなお、ちゃんと掲載されているのを発見。「キャンセル料」を脅し取ることが、メインの業務かもしれない人間が、一応は人の幸福を実現するための技法(?)である「レイキ」の看板を出しているのだから、恐ろしいものだ。 友人は消費者センターの人のアドバイスに従い、嫌がらせのメールのコピー、「督促」ハガキ、そいつに1万円振り込んだ明細を、センターに送った。消費者センターは、その詐欺師の名前も住所も把握しており、また同様の訴えがあった場合の、役に立てるそうだ。 もちろん、そんなものは役に立たない方が良いに決まっているが、小太りレイキ詐欺師に何らかの制裁が加えられる日が来た方が、世の中のためのような気も、しないでもない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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