SPがBSへのTOB価格を引き上げた。1,582円 → 1,700円。
聞くところによると、リヒテンシュタイン氏とBS側の「直談判」は物別れに終わったそうだが、その際、リヒテンシュタイン氏は「では、いったいいくらならいいのだ」 といったとか言わないとか。
米国ではポイズンピル(注:正確にはBSはポイズンピルを導入していませんが、その新株予約権の発動は支配株主の保有権の希薄化効果を狙ったものであり、実態は同一のように感じます)は、取締役会が敵対的買収者にTOB価格を引き上げ交渉のカードとして出す意味合いが強いものです。
最近では、アルコアとアルキャンの買収交渉で、被買収側のアルキャンが「我々の価値はアルコア側が言っている様なものではなく、もっと高いものである。したがって株主の皆様はアルコアのTOBに株を売らないで下さい」(アルキャンHPより、要旨)。と述べています。
また、うわさベースですが、アルキャンはオーストラリア又はブラジルの資源会社(BHPビリトンとかリオドセとかの鉄鉱石や石炭採掘会社)と合併し、その後アルコアと合併しようと企てている(これは一種のパックマンディフェンスです)などといわれています。実現するととんでもない買収合戦ですね。
かつては、オラクル VS ピープルソフトの買収合戦でも、最後の最後まで抵抗していたピープル側は、社外取締役が経営陣を説得し、買収に合意をしました。その際、オラクル側に 「もう一声」 TOB価格を引き上げるよう要請し、オラクル側もその要請を受け入れました(24ドル → 26.5ドル、26.5ドル)。
今回のBS側の対応は 「何が何でも出て行ってください」 という風に聞こえます。SPが嫌な理由は、「株式買収後の経営方針が不明だから」というものです(SP側は従来の計画を実行し、成長して欲しいといっています)。
ここで、仮にキッコーマンとかカゴメまたは味の素とかが「ホワイトナイト」 とし
て登場し、1750円とかでカウンターTOBを仕掛け、「従業員の雇用を確保し、互いに更なる成長および企業価値の向上を目指す」 とか大義名分を述べた場合、それでもだめなのでしょうかね。
調味料関係の食品会社の経営者なら、本当は「ホワイトナイト」ぶって出て行きたいのではないでしょうか? それとも、「明日はわが身か」と思って、躊躇しているのでしょうか?
米国ではポイズンピルは株価引き上げのための道具とみなされつつありますが、日本では、門前払いのための道具と化しつつありますね。TBSの独立委員会の出方や委任状争奪戦が見ものです。
さて、私はまるでリヒテンシュタインの回し者のように思われる方もいるやもしれませんが、本日、SP側が出した声明に「日本の買収防衛策は世界で一番遅れている」ということに、次回は解説していきたい。