|
カテゴリ:敵対的買収防衛
ブルドックの防衛策が株主総会で圧倒的多数で特別決議を得ました。 http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20070625AT2D2400124062007.html 株主定款自治の原則からこのような結論が出されました。この件についての私見は以前、ブログにて取り上げたとおりです。 ではこれからどうなるのでしょうか? まず、新株予約権発行の差止め裁判ですが、まあ、勝訴(ブルドックが)するのでしょうね。これだけの賛同を得たものを司法が「だめ」というのは定款自治の原則を逸脱した介入になるのでしょう。 そこでスティールがTOBを続行するのか、却下するのかですが、これはどうなのでしょう? 続行すれば、難なく現金23億円が転がり込んできます。経済的には勝利です。しかし、今後の政策上、スティール=悪 の一般株主側の意見形成が出来上がってしまい、TOBによるEXITが難しくなります。 企業側もTOBされてもホワイトナイトに頼る必要性もなく 「スティール怖くない」 との風潮も考えられます。 TOBせずにEXITする場合、時価で第三者に売却するのでしょうか? これは企業側も怖いでしょうね。「見えない株主リスク」ですね。スティールのように悪玉菌のようなレッテル貼られたファンドだと同じことの繰り返しになりますが、例えばカルパースから委任を受けているスパークスあたりが買えばどうなるでしょうかね? あの無謀な経営計画のモニタリングをするのでしょうかね? では仮に、TOBを撤回し、「経営陣の今後を見守りたい」 といった場合どうでしょうか? スティールの取得価格は600から700円台付近ではないかとヤフー掲示板では言われています。現状の1500~1600よりかなり安値です。彼らの投資採算基準点はわかりかねますが、もう少し下落リスクが取れそうです。 そこで、「経営計画案を見守る」 と出た場合、私見では、無理な計画案が挫折する局面が出てきそうです。そこで再度TOBってことになった場合。 この策はスティールの経済合理性にどう影響するのでしょうか? 23億円取りそこなうリスク・・・。仮に計画案が挫折して、株価が急落した場合、スティール自身の投資リスク。 他の投資先の総合リターンを考えた場合、保有し続けるのは、「グリーン・メーラーではない、真に成長株投資だ」とアピールすることにならないでしょうか?(いまさら評判がひっくり返らないかな?) もし仮に、そうだとした場合、スティールは本気だということを他社にも示す格好となるので、スティール銘柄は高株価を維持できる。これはスティールのファンド自体の価値向上に寄与しないでしょうか? スティール自身が今後の日本株の値動きや個別企業の値動きをどのように考えているかにも影響されますが、日本株全体、強いては世界全体投資へのレピュテーションなども勘案して決めるのでしょうか? 投資開始から3年程度経過していることなどを考えるとEXITを考えている(23億円取りにいく)ような気もしますが、出方が気になりますね。他のスティール銘柄経営陣は。 さて、一方のブルドック側は、総会・裁判で勝利できても、業績で勝利できるのでしょうか? このような多数賛成を得られること事態予想出来ませんでしたが、普通に考えれば、「ではチャンスを与えるから、その計画を達成してみろ」 と株主はいったことになります。 つまり、株主、従業員からほぼフリーハンドであのリストラ計画のGOサインをもらったことになります。 企業再生コンサルタント歴5年だった私にしてみれば、まれに見る好況時の大型リストラ計画であり、そういった意味でも今後とも注目していきたいと思います。好況時のリストラが社会的に容認されるようであれば、日本のM&Aによる産業再編も一気に加速しかねません(まあ、森永卓郎氏あたりが必死にこの勢いを食い止めようとするのでしょうね)。 普通に考えれば、 計画が順調に進めば、企業活力が低下して(低下すると思うのですがねえ)将来性に黄色信号がともるため、長期の株主価値に寄与しない。 計画が頓挫ずれば、株主から、 「責任取れ。1700円以上にしろ」(当然計画未達成だと株価も下落)といわれ、「防衛失敗」でしょうね。 ブルドック経営陣が、「スティールだからいや」なのか「何が何でもいや」なのか、今後の業績と株価に注目ですね。その前に司法決定も注目ですね。どのような理由による判断かに。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/06/26 12:26:48 AM
コメント(0) | コメントを書く
[敵対的買収防衛] カテゴリの最新記事
|