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カテゴリ:敵対的買収防衛
弁護士や法律家の方の解説ブログを拝見し、なんとか高裁でのロジックが見えてきました。 しかし、いまさらながらふと思ったのですが、なぜブルドックはこの予約権の設計を思いついたのだろう(当然西村ときわが考えたのですが)? 単純に考えれば、株主総会の特別決議を経て新株予約権の差別的な発行(スティールには予約権に対し、普通株式を交付するのではなく、現金を交付するため、現金交付後の持ち株比率が低下するため差別的といわれている)を正当化する手続きを、あえて選んだ、いわば中央突破したのですが、 疑問 1:3分の2が取れるのなら、TOBに反対を呼びかければいいのではないか? 要するにTOBに反対することを株主に呼びかけるだけでよかったはずであります。個別の株主に一生懸命電話すればいいのです。天竜製鋸はそれで済んでいます。まさか、西村ときわが自らの買収防衛技術の向上をもくろんで提案したことはないと思いますが..。 結果的に、本件は日本株式会社の負の側面、つまり持ち合い株式構造という互助会のリトマス検査のような格好になってしまいました。 2:なぜライツ・プランを導入しなかったのか? スティールはライツ・プランを導入する企業へは、権利を「濫用」していません。思いとどまっています(現在までのところは)。ブルソスには十分な時間的余裕と多くの先例があったはずです。ライツ・プランの導入コンサルティングはおおよそ10百万円もかからないと聞いています(某大手法律事務所)。 要するに一般的な上場企業が取るべき買収防衛行動を取っていなかった、といえないでしょうか? 経済産業省や経団連は会社法の合併対価の柔軟化が施行(要するに三角合併解禁)を1年遅らせて、かつ、企業価値報告書なるものを作成し、一定の条件の下ライツ・プランに「お墨付き」を与え(注:法廷での有効性については別議論)ました。身に覚えのある企業はこぞってこの路線に従っているはずです。 しかし、日経新聞には約23億円の支出へも「迷わず素早く決断した」とのエピソードが掲載されています。当社にとって23億円とは大金のはずです(有形固定資産の帳簿価格が約56億円です、つまり、工場1つぐらい建てられそうです)。 弁護士事務所又はフィナンシャルアドバイザーから、選択肢を示されていたはずですが、上記のような、「努力」をせず、大金支出を即決した(のならば)、ビジネスジャッジメントルール(取締役が業務執行に関する意思決定の際に適切な情報収集と適切な意思決定プロセスを経たと判断されるときには、結果として会社に損害が発生したとしても善管注意義務違反に問わないとする原則。アメリカ合衆国で判例法として発展した論理であるが、近年、日本の判例においても採用されている法理である:ウイキペディアより)に反しないのでしょうか(少数株主はTOBに応募すればいいということでしょうか?)。 何度も繰り返しますが、23億円の安易な支出の影響で100人以上の職が奪われる結果となります。 決定文の最後に 「本件のような敵対的買収行為の対応が成熟し、しかもそれが相手方ないしそれ以下の内容・規模の企業にまで浸透するには、なお時間と経験を要するであろうことは諸所の事実に照らしやむをえないものであり、各企業の今後の重い課題である」 という文面はどう解釈すればいいのでしょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/07/12 12:21:35 AM
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