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カテゴリ:敵対的買収防衛
NECが米国投資ファンドから子会社株式の買収提案を受ける
7月11日のロイターによると、米国ヘッジファンドでNECエレクトロニクス(6723)の第3位株主でもある、Perry Capital がNECに発行済み株式総数の25%分を@5,000で買収したいと申し出た。NECは同社の株式を65%保有する親会社である。 @5,000というのはEBITDA倍率7倍程度の評価で、エルピーダメモリー(5.8倍)、STマイクロエレクトロニクス(7.1倍)、テキサスインスツルメンツ(11.6倍)などと比較して妥当性があるとゴールドマンサックスのアナリストは言う。 かつ、58%のプレミアムとう大盤振る舞いである。NEC側は売却に否定的にコメントを残しているという。
7月12日のフィナンシャル・タイムズによると、年金基金連合会が「ペリーの提案は株主に合理性がある、このような大きなプレミアムであれば、NECは真剣に検討すべきだ」(主旨)のコメントを発した。さらに、NECは第三者にフェアネスオピニオンをもらうべきだ、とも発言した。
このNECおよびNECエレクトロニクスについては、春先にも米国のブラックストーンやウオーバーグピンカスがNECからMBOしろと提案を受けていたが、拒否している。
NECエレクトロニクスは、R&Dや設備投資が多額であることと、ややハイテクが下火な状況もあり、2期連続赤字に陥っています。このことが株価を低迷させる元凶となっている模様です。子会社上場の意義は親会社から見て、以下のようなデメリットが指摘されています。
(大和総研より)
一方、子会社株主から見ると、親会社の戦略の一環に利益を犠牲にされているような感もぬぐえません。要するに双方の株主にとって利益がないといえます。米国ではあまり親子上場は例がないそうです。 こういった「ひずみ」を狙うのがヘッジファンドであるゆえんです。 個人的には、年金基金連合会が、NECに注意喚起を促したのは、すこし驚きました。日本のカルパースを目指すのでしょうか? やはり年金が日本の企業経営を変革するのでしょうか。 春先に年金基金連合会の専務理事はROEが3年連続8%未満の会社の取締役の続投は改善策等を講じなければ反対する、との公式声明を発しており、物言う傾向を強めていた。理由は団塊世代の退職に備えた年金資金そのものの確保があるそうです。自らの年金は自らで稼げとのお声のようです。 尚、日経金融新聞等には当時、3年連続ROE8%未満の大企業に資生堂やオムロンなどが挙がっていました。 NEC側の動向に今後注目したい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/07/14 03:11:49 AM
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