1553293 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

元・経営コンサルタントの投資日記

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Recent Posts

Archives

2024/11
2024/10
2024/09
2024/08
2024/07
2024/06
2024/05
2024/04
2024/03
2024/02

Category

Freepage List

Comments

タコツボ組織破壊力@ Re:オランダの名門 ABNアムロ銀行の崩壊 前編(10/15) 輝きを失った名門がどうのこうのとプロテ…
金城光永@ Re:三屋裕子さん、代表執行役を解任される!!(07/08) 僕は沖縄県那覇市字田原323番地1に住んで…
年寄りの初心者@ Re:Mortgage REITへの投資 (12/11) nlyの購入方法がわかりません。
なっつ@ Re:日本たばこ産業の分析(12/15) 初めまして。 現在卒業論文において、JTと…
なっつ@ Re:日本たばこ産業の分析(12/15) 初めまして。 現在卒業論文において、JTと…

Calendar

Favorite Blog

5. 勝ちトレードに… New! みきまるファンドさん

はったん酒まみれ New! slowlysheepさん

たーちゃんファンド たーちゃん001さん
大島和隆の注目ポイ… 大島和隆の注目ポイントさん
わたしのかわりに、… 前田嘉一さん

Headline News

2007/09/01
XML
カテゴリ:敵対的買収防衛

ある会社との依頼案件の概要・顛末です。

1:会社概要

あまり株式市場では人気のないセクターに属するA社。売上高利益率はかなり良い企業で、過去の業績安定性も十分。但し、キャッシュリッチで自己資本も厚い無借金企業。 A社の株主構造は2/3が持ち合いで占められる。持ち合い以外にもOB株主等事実上「与党」が大勢を占めます。  

2:依頼主旨

依頼の主旨は、「買収防衛策を導入した方が良いか?」というものでしたが、我々としては、会社側と相談の上、財務面を中心にアドバイスすることとした。そもそもの依頼に「2/3の持合があるのなら買収の心配など要らないではないか?」とも思いましたが、「アクティビスト等の心配もあり、とにかくやってほしい」とのこと。  

3:回答

持合が十二分であるため、持ち合いだけに頼った防衛策はこれ以上やらないほうがいい。長期的には持ち合いは解消傾向に向かうため、持合が強固な今のうちに、きちんと株主価値向上に向けた取り組みを行うべきだ、との進言(現状、IR他の株主対策はほとんど実施していない)。

財務的には、さすがに持ち合いが多いこともあり、効率性が悪い(保有会社でもある対象企業のBS残高の3/8が「投資有価証券」勘定です)。また、キャッシュリッチである(実質無借金企業)。

よって株価もさえず、PBR1倍を大きく割り込み、PERも平均を常に下回る。

我々の「買収シミュレーション」では、投資ファンドが買収した場合、株価プレミアムを50%をつけてもIRRが20%を上回るような財務体質となっていました。

同業他社が買収する際、株価プレミアム30%程度をつけた買収価格でA社を買収したとしよう。買収企業はその後A社を現状維持程度の業績で経営したとすると、買収価格を上回る企業価値をA社から勝ち取ることが出来るため、格好の買収目標となる、との結論にも達しました(要するに、買収後に買収者とのシナジー効果がなくとも買収者の採算に合うという意味である。買収価格 > シナジーなしの買収後の想定企業価値 という意味)。

理論株価も実際の株価より50%も安く押さえられており、偶然、週刊東洋経済9月1日号の理論株価とほぼ同じだった(東洋経済は配当利回りを基準に、私は将来収益力を元に一般的なDCFを用いた)。  

業績に安定感かつ、業界水準より良好であるがゆえに、方針や計画などを開示するなどして「備え」をつけなければ、アクティビスト他に付け込まれる可能性が高いというのが結論。  

真夏の幕張

4:会社側の反応

うちの業界は特殊で(つい最近まで規制業種です)、同業他社の敵対的M&Aはない。海外企業も日本の特殊事情を良く知っている。

あるとすれば、ファンドだろう(地域の有力会社の大株主にあの、スティールパートナーズがたくさん君臨する)。

計画を立てたりすると、下のものが計画に束縛されてしまう。経営の自由度をかえって奪う。配当の増額は臨機応変にやっているし、投資案件も多いし、ケースバイケースだろう。  

(要するに今までどおり、気ままな経営が良い といっていると解釈した。我々は業界他社の配当性向の平均値や会社情報の開示方針・方法などを例を用いて示したが関心ない様子。残念。)

しかしながら、IRや 「物言う株主対策として」 計画の重要性および配当水準の見直しはご認識いただけたようである。   トップダウンで経営してきた企業だけに、計画とか言われるといやなのでしょうね。臨機応変というか勘に頼った経営というか。他にも部下がいるので経営トップは危機感があったのかなかったのかこちらからは判断つかず。今後の動向に注目することとしよう。  

5:そもそもの疑問「買収防衛策の必要性」についての回答  

現時点では「いらない」  

理由  

2/3が持ち合いだからそもそも不要。

「導入さえすれば、大丈夫」と思っているフシがある。→ 今回のブルドックの件で、「導入」時点での法的安定性はほとんど確認できなかった。「発動」に関し、総会議決で「大多数」を取ったことに意義があった。

ライツプランの効果とその限界について勉強不足だと感じた(一応ペーパーで以前に説明したのですがね)。  

 葉玉先生の「ほふく前進戦術」をされたら、おしまい。例えば、21%程度の株式買占め段階で、「発動」したとする(多くの事前警告型では、買収者が20%超の株式を買収する際の株式買収ルールを定めたものであるため)。「発動」時に授権資本枠をいっぱいに活用してしまえば、買収者の持分は5%強(1/4の場合)になってしまうが、その後さらに買い増しを行えば、そのときには「新株予約権」というピストルの弾がなくなっていますので、無意味。つまり、それだけ株価が安いということ。

あくまで発動できるのは「正当防衛」に限る。何を守るための買収防衛策かの本質的理解が進んでいない。誰が「正当防衛」と判断するかは、株主である。判断の採決を取るときに「今の経営者は誠実にがんばっている。もう少し経営させよう」と感じさせることが出来るかどうかであり、それには普段からの、株主への良い意味での「PRが大事である」からだが、PRはめんどくさいし、けど買収もいや といった感じ。  

但し、経営者からはこんなコメントも

「短期保有の株主と長期保有の株主が同じ権利というのも納得できない。経営者としては長期安定的に保持してくれる株主にはたくさん報いても痛くもないが、短期的な利ざや稼ぎで出て行かれる株主に配当をいっぱいするのは解せない。」一理アリ。  

スティールも3年以上保有しているので、立派に長期株主なんですが。  

6:感想

敵対的買収に対する正確な事実が認識不足であると感じた。もちろんそれを含めた啓蒙も我々の仕事の一環であるが、ライツプランを入れたらOKだろうとか、業界が特殊で買収リスクがないなどと言い切れるのは少しまずい気がする。

こういう人に限って、ファンドの提案を「実際の事業への踏み込んだ見識がない」などと一笑に付すが、大きな流れは業界再編で、規制緩和はそれを期待してのことであるという前提が理解できていない。この方々が在籍中に 「有事」 が発生するとは思えないが、長期的な備えを行う必要性を感じてほしい。部長さん以下は必死に聞き入っていました。この差が惜しかった。良いように変わっていただけるといいのだが。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007/09/01 06:27:54 PM
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X