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元・経営コンサルタントの投資日記

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2007/09/05
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カテゴリ:敵対的買収防衛

(今回は2部にわたる長文となってしまいましたこちらが前半です。下の日記が後半となります)

アジア各国の証券取引所における、議決権行使状況について

(2006アジアコーポレートガバナンス より)

1.Overview

経営者の方は往々にして、「強い会社」 を目指している といわれる方が多い(特にオーナー系)。ご本人の言う強さは、事業の競争力を指しているケースが多い。しかしながら、コーポレートガバナンスとなると強くないケースが目立つ。従来はPL(損益計算)が強ければ、「強い会社」と言い切れたが、現在では事業競争力が株価など資本市場に正確に反映されないと、本当の意味で「強い会社」とは言い切れない。技術力のある中堅製造業が敵対的買収のターゲットになりやすいなどといわれているのはその典型であろう。

アジアコーポレートガバナンスの機関投資家(世界的な分散投資を大規模に行う機関投資家がメインであるが、アジアの機関投資家も含まれている)に対する、「各国主要証券取引所上場企業への議決権の行使がしやすいか」【09/7追記】、という調査では、日本はアジアの主要証券取引所10か国中10位と最下位である(除く中国)。原文はこちら。

今後の株主価値向上に向けた経営や敵対的買収防衛および対アクティビスト対策を見据えた場合においても、株主の議決権行使に対するまじめな取組はかえって自社を 「強くする」 ので、積極的な対応をして欲しい。

2.アジアにおける議決権行使ランキング

順位

国名

スコア

評価

Hong Kong

67

Fair

Singapore

61

Fair

Malaysia

58

Poor to Fair

India

57

Poor to Fair

Philippines

56

Poor to Fair

Thailand

54

Poor to Fair

Indonesia

53

Poor to Fair

Korea

51

Poor to Fair

Taiwan

50

Poor

10

Japan

47

Poor

 

US

79

Fair to Good

 

UK

77

Fair to Good

 上位には英語が公用語であったり、旧米英植民地がずらり並びます。一方、東アジア儒教圏の国々は低い評価にとまっています。米英がベンチマーキングとして使用されています。首位Hong KongでさえUSやUKより10ポイントも低い評価となっています。

 日本はUS、UKとは30ポイント以上も低い評価です。これは、語学を除外した場合でも47が43にしかならず、首位Hong Kong は67→ 58(除く語学力)であり、Hong Kong Vs Japan の除く英語翻訳でも58と43であり、依然15ポイントも差があり、アジア諸国では10位のままとなっていることから、順位と英語力とは関係があまりありません。

3.評価項目と各項目における日本の順位、ならびに各項目の意味

各項目の日本の順位と評価

 

項目

日本の順位

評価

1

総会の召集通知

10

Poor

2

議案の事前通知

10

Poor

3

最終議案の確認

6

Poor

4

議案の翻訳などの利便性

7

Poor to Fair

5

委任状など議決票の受領通知

9

Poor

6

議決方法は挙手によるものか投票によるものか

1

Fair

7

総会日程の集中度合い

10

Worst

8

議案の一括化

10

Poor to Fair

9

議決結果の公表

5

Poor

10

議決結果の第三者監査

6

Poor

 

 

 

 

 

 

 

 

 評価のところは、各投資家に項目の達成度合いを採点させ、その評価が何%以上はFairであるとかあらかじめ絶対評価ラインを決めているため、順位と評価が常に連動するわけではない(例:9の「議決結果の公表」では日本の順位は5位であるが、スコアが42であったため、Poorとなっている)。

Bestは100、Goodが80、Fairが60、Poorが40、Worstが20となっている。

  • 各項目の内容

1は、総会召集通知が総会の何日前かを意味する。 Global Best Practice(以下Best)は総会日の28日前の発送であり、Worst Global Practice(以下Worst)は14日前となっている。

 2は議案の事前通知を総会日の何日前にグローバルカストディアン(海外の株式の保管会社)が受領できるかという項目であり、Bestが14日前であり、Worstが時間切れとなっている。

 3は総会議轍議案が何日前に会社側から発表されるかという項目であり、Bestは28日前、Worstは議決権委任状の締め切りに間に合わないとか総会の最中に変更になるなどである。

 4はBestが会社側による全翻訳で、Worstが翻訳なし。

 5は議決票が届いたという受領通知がある場合がBest、Worstはそのようなものがない場合。

 6は議決方法を挙手で行うか、投票を行っているかであり、YesがBestでNoがWorst。

 7は総会日程の集中度合いで、Bestが2から3ヶ月分散していること、Worstは2~3日に集中していること。

 8は1議案1票としている場合がBest、Worstは例えば定款変更議案と取締役の任命議案を一括化するような場合。

 9はBestは翌日に議決結果を公表することで、Worstは最小限度の公表「すべての議案は承認された」程度の公表状態。

 10は独立した第三者による議決票の精査がある場合はBest、ない場合はWorst。

これらの基準に従い、各証券取引所において、どれぐらい守られているかをスコア化し、評価したものが最終結果となってる。






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Last updated  2007/09/06 02:39:44 AM
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