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テーマ:株式投資日記(20537)
カテゴリ:敵対的買収防衛
「その3」以降の大きな経緯は、3つ。1:原弘産の株主提案、2:原弘産の株主名簿謄写仮処分申し立て、3:日本ハの取締役評価期間入りである。
1:原弘産4月10日、日本ハに対し、株主提案の実施。 この株主提案は、買収提案者が被買収提案者に対し、日本ハがすでに導入しているライツプランを 「こうしなさい」 といって逆提案している点がびっくりする点です。 すなわち、 1:会社定款に買収防衛策の導入・廃止の決議を株主総会の議案とすること、さらには対抗措置の発動そのものも株主総会の決議とすることを、定款に盛り込むよう要求している点です。さらに、取締役評価期間などに入る条件に客観的合理性を持たせろ、といっています 2:ダメ押しで、この対抗措置を原弘産が20%以上買い増ししても発動しないことを決議事項に盛り込んでいます。なぜなら原弘産側の提案は日本ハの株主価値、企業価値を向上させる提案であり、対抗措置要件に合致しないからだ、というものである。 3:原弘産から社外取締役2名を就任させること
2:4月23日に原弘産は日本ハに対し、株主名簿閲覧謄写仮処分の申し立て(株主名簿の閲覧を拒否した日本ハの処理を差し止める)をしました。 3:日本ハウズイングは23日、原弘産からの買収提案の取締役評価期間に入るとリリースがありました。 5月27日には回答をする、ということになっており、株主総会が決戦の場となる可能性が強くなってきました。
私は法律家ではないので、「生兵法怪我の元」になってはいけないのですが、以下の疑問があります。
1:の株主提案は、結構きわどい話題を含んでいます。そもそも株主総会の普通決議で導入した買収防衛策が法的に有効か否かを真っ向から問いただす内容を含んでいます。 会社法を作った法務省の立法官は、普通決議導入を「単なる気休め」と言い切っており、会社法上は定款で決まっていないものや、役員の選任等法律であらかじめ決まっている議案以外のものをたとえ総会で決議しても意味がない、ということを言い切っています。 防衛策で名をはせる弁護士さん達は、「事実上有効である」という風に言っておられます。どちらも「ポジショントーク」に聞こえなくもないです。
昨年、どれぐらいの支持を得て導入したのかわかりませんが、昨年の票+提案者側の票16.6%を入れると67%程度ぐらい取れるはずです。 日本ハは対抗議案を出すのでしょうか? いずれにせよ、対抗措置を発動するためには株主の意見を何らかの形で伺うような路線はゆるぎないものとなっています(現行のライツプランでも株主意思確認会で決めることになっている)。
2の仮処分申し立ては確か、楽天がTBSで敗退し、最近のアッカ・ネットワークのイーアクセスに対するもの株主提案の取り下げを余儀なくされている。CFOの読みほぐしニュースをご参照 今回の仮処分は過去事例(楽天 TBS)からいくと、原弘産の旗色がよくないものの、非友好的買収提案に関する司法のスタンスを再確認する 「踏み絵」 になろう。裁判所や政府の嫌いなファンドではないので余計に。
3の取締役会評価期間に入った、というのは日本ハ側も総会で買収案に対する一定の決着をつける覚悟を決めた、と考えていいのかな?原弘産側のネガティブキャンペーンの一つを食い止めた、ということかな?
結局、日本ハの買収提案に対する回答は A:賛成 B:反対、なぜなら価格が低いから(アンダーバリューと欧米では言っている。ヤフーも「M&A自体を反対しないが、十分な評価を得ないと賛成できない」という趣旨を繰り返していますね」 C:反対、対抗措置発動可否の提案 D:反対、対抗措置発動なし、理由は買収提案者が買収者として不適格だから(理由はわからないけど)
のパターンが想定できるのかな? Aはすぐにはないだろう。そのためのライツプランなんでしょ? Bは充分ありうる。このためのライツプランだというのが一般的見方。ただし、日本ハは原弘産の帳簿閲覧権も拒否しているので、デューデリなしに価格上乗せしろ、というのはやや世間に対する「ウケ」はよくないだろう。 欧米だと別段帳簿見なくとも、 「もう一声」 はふつうに行われている。すると、一般株主という浮動票の票読みが難しくなるかもしれない(日本ハはオーナー側が30数%持っているんじゃなかったか?) Cは厳しそうな気がします。これだけ真摯に質問攻めに回答してきている同業者原弘産を「明らかに企業価値を毀損する存在」と言い切るのは難しそう。スティールさんではないので。合人社との共同保有者と決定付けるものがない状態。 D。例えば、原弘産は風力発電を強化するのと日本ハの開発事業・不動産管理事業への投資と経営資源を分散させるほど経営体力がないように思われる。なぜなら、連結子会社の業績はおしなべて経常赤字であり、そういったグループに参加することには少数株主としては不安ではないか。 (ただし、日本ハの株主の不利益というより原弘産の株主への揺さぶりとなってしまうのかなあ) 対抗議案として、ばら色の計画 が出てくるのでしょうか?
一方の原弘産側は、結構かっちりしたバリュエーションをされているので、値段を引き上げるためには自社への株主説明責任をどのように果たすのか、風力発電は材料高騰などにより業績計画が遅れている点がある(要するに大幅減益)という点が少し気になります。
なんとなく備忘録的なエントリーで申し訳ありません。
尚、(また備忘録ですが) フィナンシャルタイムズで、日本板硝子の社長が英国人となったことを「reverse takeover」と表現していました。
GEは早速1000億円に上るリストラ案や一部資産売却案を発表、早速手を打っているとメッセージを発しました。一方、日立は子会社である、日立グローバル・スストレージ・テクノロジーが将来上場を目指してがんばるという趣旨を発表しています。
この辺の記事を追いかけたかったのですが、板ガラスの件は少し調査してみます。GE、日立の件は落ち着いたらもう一つ何か書いてみたい。これは結構疑問に思っていることです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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