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テーマ:株式投資日記(20528)
カテゴリ:敵対的買収防衛
日本ハウズイングの大株主で創業家一族の株式管理会社、カテリー・ナイノウエ社から、両社宛に公開質問状が出されました。当該公開質問状は原弘産のHPに開示されています。
日本ハウズイング側からも1日遅れで開示されましたが、質問の本文は開示されませんでした 詳細は原弘産側の開示から見ていただくとして、概要は *井上家とは、日本ハウズイングのマンション管理ビジネスを創業した故井上博敬氏を一族に持つ、創業以来の大株主であること、 *カテリーナ社は4月7日にも日本ハに対し、「4月7日付お願い」という質問らしきものを出していたこと(しかし、日本ハからはそういった情報開示がない) *日本ハ経営陣に対し、原弘産の質問に対する将来計画には1:単に外部環境頼みのもので創業者精神がないこと、2:開発事業からの撤退について、なぜこの時期に決めたのかと撤退するということに対する経営陣の経営責任に対する考え方、自己評価 *これまでIPO株価880円を下回っており、今回の提案がなければ2月に実施した自社株買い(789円)よりも高い株価は望めそうにない現状に株主としての不満 *この株価を高めるための具体的な「工程表」の提出 *日本ハ自らが考える適正株価の自己評価は
それと日本ハの内情 *開発事業と管理事業にほとんどシナジーがなかったこと(人事交流すらないと) *旧東洋信託銀行出身者が50人もいて(本社員1083名だからかなりの数)、実質的には旧東洋信託にコントロールされている。その証拠に、小佐野会長や井上取締役に同行出身者が退任を迫るという事態が平然と行われていること(取締役人事の権限がないのに経営体制に問題があると指摘)
*それと 株主名簿閲覧の拒否などせず、正々堂々とプロキシーファイトしろといっています
一方、原弘産に対しては日本ハが指摘している、やや不透明な過去の取引についての見解を述べさています。それと日本ハの株主に対して買収成功後のどういったガバナンスで経営監視するのが最適かを述べさせています 後は決算発表直前になって業績下方修正はどういう意図だ など
カテリーナ社のように、創業家の方からの質問なので、どれも納得感のある内容が多いのですが、原弘産側の子会社井上投資とは無関係なのでしょうか? 一部では小佐野家と井上家のお家騒動であるかのような情報もありますが、旧東洋信託出身者が どちらも取締役を退任しろ という趣旨のことを言った、と書いてありますのでそう簡単な構図でもないような気がします。もっと複雑系かな?
いずれにせよ、日本ハ側が発表した5月13日付取締役会意見書 これ では、原弘産の退出した株価算定のための計画より少し上方修正した計画を出した程度に過ぎないように見えてしまう「後出し じゃんけん」だなあ、と個人的に感じていたので、カテリーナ社の言い分は説得力があります。特に、経営陣にこれまでの経営の評価と適正株価の自己評価をさせるというのは非常に重要だと思います。原弘産側は外部限定情報のみで1000円といったわけですね。
雑感 今回のカテリーナ社の質問はシンプルかつ、端的な内容だと思いますが、これまでの何かにつけて何十枚の資料を読みこなさなければならない公開質問をやるのなら、正々堂々と討論会でもやったらいいのにと感じます。 上場している会社の株式を買うのがこんなに大変なのか、と考えます。特に今回は、やたら法律的な内容が多く(別に原弘産側から、「あるべきライツプラン」の提案なんてなくとも、廃止させるようキャンペーンすればいいような気がする)、一般株主の立場からはわかりにくい。結果、日本ハから「企業価値を著しく毀損するもの」と、やんわりと濫用的買収者だと断定されているのですが、自分たちが努力しても出せない1000円の株価をつける人がなぜ、価値を毀損するのかさっぱりわかりません。 1000円で買った人は1000円以上の価値にする必要性があり、例えば短期的で資産売却してしまい、投資回収をしようともくろんでいた場合、仮にそれで投資回収できるとうことは、それがむしろ正しく、それまでそういった事態を放置した経営者に責任があるんじゃないでしょうか?
コングロマリットディスカウントって奴ですね、日本の多角化経営(いわゆる総合化のツケ)の一番の弱点です。
こういったのは経営者が考えないといけないはずなのに、平気でこれまでこの手法で買収者を撃退してきたといった「自分の事例に合うのか確認しない根拠なき通説」を信じて質問するのは愚の骨頂です。 法律家を含め、アドバイザーの方はアドバイスするかもしれませんが、自分で判断して開示して欲しいものです。まかせっきりになるから、経営論争なのか法律論争なのかわからなくなってしまうのではないでしょうか。
これは買収防衛策全体にいえることかもしれませんが・・・。あんなライツプランの提案をいちいち読んで、しっかり理解できる株主なんて何%いるのだろうか? そんなことだから、支持する気になれないのですが・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/05/29 02:43:11 AM
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