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元・経営コンサルタントの投資日記

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2008/06/08
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カテゴリ:敵対的買収防衛

9日未明、追記しています。緑字 

6月7日付の日経新聞朝刊で、日本ハウズイングの創業家一族の資産管理会社で日本ハウズイングの株式約10%を保有する、カテリーナ・イノウエが7日、原弘産の主催する日本ハウズイング向け株主説明会に同社社長が出席し、原弘産の株主提案を支持する意見表明をすると報道された。

日経ネットによると、朝刊のとおり株主説明会に出席し、「ビジネスプランが非常に具体的」と原弘産の提案に賛同し、買収防衛策の不発動(原弘産の株主提案にあり)に賛同すると表明した。

 

大きな山場を迎えそうになりました。ただし、以下の疑問が。

 

疑問1 日経新聞の報道? これじゃあ、特別決議が無理って言っているようなもの

既に票読みを開始していますが、朝刊では、

「10位以内の株主のうち、日本ハウズイング側が30.5%、原弘産側は、提案者2社で16.2%、同社と取引関係があるランドマークの12.81%と井上家(井上恵子氏の持分を含む)が加わると、約42%に高まる。」

と報道されている。

え?ランドマーク社が原弘産を支持するって言ったの??? (結構注目していましたが気がつきませんでした)日本ハウズイング側から再三共同提案者じゃないかと突っ込まれていて、原広産は「取引先だけど、本件の意思決定は関係ない」(趣旨)といっていたのに、含めちゃっていいのですか? これ素人が読むと大いに誤解するんじゃないかな? 

もちろん各人の心で、そのような解釈をするのは勝手だと思いますが、日経さんのような影響力ある日刊紙でちょっと踏み込んだ表現だなあと感じました。

オバマ-クリントンじゃないけど、州の予備選みてから支持を鞍替えする特別代議員が多かったので、決定的なことにならなければいいが。

 

疑問2 結局1000円は「フェアバリュー」なの?

そもそも買収防衛策、ライツプランは株価を少しでも引き上げるための交渉の道具としての役割りが期待されていたのに、日本ハさんなんて、

「株価は、証券市場において投資家が介在して形成されるものであり、上場会社は、そのような株価形成の場である証券市場における有価証券の発行体として、証券市場への情報発信又は関与について、細心の注意を払ったうえ、適法かつ適正に行わなければなりません。

にもかかわらず、上場会社の経営陣自らが、「株価」に対して直接的に言及する行為は、本来証券市場における自由売買によって形成されるべき株価に対してコミットするという事態になりかねないばかりか、証券市場における株価形成プロセスを混乱させることにもつながりかねません。

当社取締役会といたしましては、当社の企業価値を向上させるために、5月13日に発表いたしました意見書に記載された成長戦略を実現するために最善の努力を行う所存です。」

なんだかどこかの参考書の引用文みたいです。日本ハの社長さんに「御社が考える、自社のフェアバリューはいくらですか」と日経さん突っ込んでください。上記と同じ答えをスラスラとしゃべったら、座布団一枚ですね。

経営者が自社の適正株価を公表したら市場が混乱するのですか? 

そりゃ、例えばトヨタの株価が5000円で取引されていて、「適正株価は1000円だ」なんてアナウンスすると、「大混乱」する可能性はありますが、「6500円ぐらいだ。市場は過小評価している」といったところで、「どういう戦略があるんですか」って聞いて、意見のヤリトリが行われるという流れになるんではないですかね。

日本ハさんの株式市場での売買数の感じから言っても、恐縮ですが、そんなに注目されないと思います。したがって市場が混乱することはないでしょう。

過去に市場が混乱したといえそうなのは、例のみずほ証券のシステムトラブルのようなものではないでしょうか?混乱の意味が不明。

後ろの2行だけにして、「提案はこの成長戦略のポテンシャルを十分に発揮していない。取締役会はこの戦略を遂行するに十分な経営資源と方針を兼ね備えている」などダイレクトに言わないと、1000円で行っちゃいますよ? ただし、具体的に何円とかこの段階では言わなくともいいと思う。

このままじゃあ、まともに解釈すると、「経営者は業績に関心はあるが株価に関心がない」と解釈できそうで、それはそれで無責任だし、そういった経営者の言動がスティールさんのような「招かれざる株主」を呼び寄せるってことをわかって欲しいなあ。 

→原弘産は日本ハ株主向けの説明会を開催するけど、自分たちの株主に説明会を開催したの??分厚い回答書を読めって言っているだけかな? JパワーさんもTCIさんも必死だし、油断したアデランスさんはああなっちゃったし・・ぶつぶつ。

→本件、原弘産さんはTOB成功後も日本ハさんの上場を維持する様ですので、「フェアバリュー」は非常に微妙。原さんが、日本ハの企業価値を引き上げてくれるんだったらTOBに応募しない方がよいことにならないか?(継続保有したら1200円とかになるんでしょ?) だから株価の議論は避けて通れないはずなのに。

疑問3 関西弁がちょっと変?

「あのな!パパがやらなかったら、誰が会社を経営するんや!パパがまともに経営しなかったら、会社なんかすぐつぶれるんやで!会社がつぶれたらおまえらが困るんやで!」と。真の経営者とは社員や株主にもこう言える人ではないでしょうか。(原弘産側の回答文書から)

あまり「あのな」、「まとも」は使わないなあ。「あんな」、「ちゃんと」だろうな。 ドーデもいいけど。

全体的に原弘産の内容は、熱い創業者経営者の思いが伝わると同時に、いまどき正月から幹部集めるか? 働くのは大変そう。ワンマンなのかな?

疑問4 気になるのは業績と軍資金。後者は50.1%を目指すのなら、後35%程度必要。まだ50億円弱は必要です(不明点:カテリーナ側は売らずに保有するのかな?)。

2月決算月には100億の現預金残高がありますが、色々理由があるのかもしれませんが、前期比大幅減益です。その割りに風力発電事業を積極受注しています。増加運転資金も必要だろうし、買収資金などは銀行さんめど付いたの?

欧米ではコンフリクト回避が主目的とはいえ、必ず買収者側、被買収者側ともアドバイザー(法律、証券とも)が公表されています。

もっとも、その後投資銀行が資金調達できずにオシャカになった案件もありますが(例:ブラジル リオドセ(ヴァーレ)のスイス エクストラータの買収提案はサブプライム後のメリルリンチがシンジケートを組成できず破談)、取引先各社にとってみても、どういう利害関係にあるのか知る必要性もあるのではないでしょうか?

→原弘産に与信取引ある人への配慮は?ステークホルダーじゃん。企業価値構成するんでしょ?

疑問5 TOBとの兼ね合い?

ライツプランでこれだけ喧々諤々やって、TOBでまた日本ハさんは意見表明して、質問攻めにして、って同じことやるのでしょうか? 

また、TOBかけると、ダヴィンチさんのような人が1100円とか言って出てきたりして。そういう場合はどうするのでしょう?英国なんてのは結構バトルがありますが、金商法のような厳しい質問回答制はなかったように感じます。

→ 日本ハさんの経営支配権争奪は2社に限定された話ではないはず。広く原弘産以外にも日本ハさんの経営に興味を示す買収者への門戸が狭いように感じるが、それでは投資家の利益を極大化しているとは思えない。これ金商法の欠点では?

 

日本ハさんの回答、全般的に素っ気ない印象を持ちました。原弘産の回答は、抜粋したとおり気合十分って伝わる。参考ながら、その素っ気ない文章をお手伝いしていただくのに、純利益10億円程度の日本ハさんは6億円でアドバイザーをお雇いになられたという。

→もちろん気合だけで何かが決まるとは思っておりません。単純な感想。

ただし、現時点では、「どちらが経営するにふさわしいか」という議論が白熱しているに過ぎず、How Much という肝心のところは、ほとんど議論になっていないと思われる(経営計画を示しているが、行間を読めといっているだけ)。

現状お家騒動の域を出ていないなあ(素朴な疑問)。






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Last updated  2008/06/09 03:10:52 AM
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