|
テーマ:株式投資日記(20519)
カテゴリ:敵対的買収防衛
日経新聞も読売新聞もビジネス法務の部屋のToshiさんも、原弘産側は40%以上を固めたような雰囲気の記述になっています。世論は防衛策の発動は非常に厳しいものとなったという前提です。 会社法であそぼ の葉玉弁護士(会社法作った人の一人)によると、一般的に買収防衛策を発動して、裁判で勝てるためには特別決議が必須(ただし必勝とはおっしゃっておられません)、で普通決議の場合だと敗訴確率40~50%程度だろうと、個人的な解説されておられます。 議決権の40%強を原側が固めたとなると、当然特別決議は無理ですね(普通決議も怪しい)。私は前回そういう意味をこめて、日経さんに苦言を呈したのですが、皆同じように報道されているので、日経新聞と読売新聞という2大日刊紙と心中し、もういいやって感じでこれを書いています。 これを懐かしい大学模試にたとえると、C~D判定ってことで、学校の先生に「安全校ではなく、記念受験だぞ、いいな。」って言われたことと同じような感じでしょうか。
したがって、日本ハさんは、総会後の票決次第でしょうが、とりあえず 思い切って挑戦する(発動する) → 高い確率で差止め食らう(かな?) 発動回避 → TOBに進む
という選択肢があります。アドバイザー陣営はどちらをアドバイスするのかわかりませんが、経営者とすればアドバイスに関係なく「記念受験」はないだろうな。少なくとも4割以上の株主(議決権ベース)が反対しているものを無理やり発動するとなると、これはもう「自爆テロ」に近い行為で、「株主をなめとるんか!」という反論と、「そんなこともわからんのか?」 といわれるのがオチでしょう。さすがに倒産法よろしく、株主数も過半数以上とかいわないだろうな。 (日本ハ側もオーナー株主が30%近く保有しているので、発動すると自分の資産もむちゃくちゃになってしまうんじゃないか? → 自爆テロ? こっちの方が株式市場を「混乱」させないか) ただし、仮に差止められても、経営陣が誰に何にどれぐらい責任を負うのかこれは私にもよくわかりません。株主代表訴訟を食らっても、裁判費用とか新株発行費用ぐらいしか請求出来ないのでは???会社法は経営者に優しいからなあ。 「だったら一か八か記念受験やったろやないか、どうせクビになるんやろ。これぐらい払ったる」という「モラルハザード」を起こさないでしょうか?(悪意にやったら背任とかにもなるのかな?) したがって、何が企業価値を極大化するのか腹の中では十分ご承知の賢明な面従腹背状態のアドバイザーならば、TOBで勝負をご助言されるのではないでしょうか(当該アドバイザーが面従腹背と申しておりません。一般論ですし、アドバイザーのフィーも株主価値を極大化する大義名分の下支払われる性質のものですから。けど一般的には面従腹背に陥りやすいのではないだろうか)。記念受験とモラルハザードはやめて欲しいなあ。 アドバイザーの姿勢もフィーが成功報酬型と固定型ではまた違うかもしれません。アドバイザーの誠実度(誰に対して何を誠実とするのか、「成功」とは何ぞやなど)も含めて議論の余地があるかもしれません(注:同じフィービジネスの私の意見は6億円を絶対額として高いとは思っておりません。誤解を招いているようです)。少なくとも契約書を株主に開示すべきであるような気がします(株主のためのアドバイザーならば会社が負担しても同じ帰結じゃないか?)。 単に相手方の属性を批判するネガティブチェックに終始する防衛合戦は海外ではほとんど見ません(価値が不十分だってヤフーも一応言っています。「売らないとは言っていない。フルバリューではないだけだ」と)。 したがって願望をこめて、すんなりTOBということにしておきます (TOB手続きは一応参考書で調べた限りです)。 TOBでもライツプラン同様に 被買収者側は 「意見表明報告書」なるものを提出する「義務」があります(金商法27条の10第1項)。 ここで、TOBに賛成、反対、保留のいずれかを言う「義務」があるそうです。その後、買収提案に疑問があれば、質問する「権利」があるそうです(同法27条の10第2項1号)。 買収者側は質問に解答する「義務」があるのですが、5営業日後がデッドラインだそうです(同法27条の10の第11項)。 TOB時における独断と偏見の日本ハ一般株主の素朴な疑問 (若干京都弁が混じりますが) 「まだやるの?もうええやん。質問も枯渇してるんと違うん?何百ページ印刷さしたら気済むんや? 全部もよう読まんわ。難しいわ」 「カテリーナさん、TOBには応募しはるんやろか?」 「1000円は売ってもいい値段なんやろか?」 「いいかげんめんどくさいなあ。何言うてはるのかようわからへんわ」
TOBに応募するべきか否かの判断は、あの企業価値研究会のメンバーで日本のM&Aにも大きな影響力をお持ちになられるこの方の日経ネットのコラムをご参照。私は前回(その6)で必要なことは申し上げましたので 第7回「敵対的買収と実現期待企業価値-買収防衛策ではもはや企業を防衛できなくなる-」(2008/01/04) 答えが書いてあるわけでもありませんが。
経営支配権の異動に関する根本的な疑問 買収防衛策は経済産業省の管轄、会社法は当然法務省。金商法は金融庁。外為審議会には財務省まで参加。縦割り行政なのだ。政治のリーダーシップが欠落してるんじゃないか?渡辺金融大臣があれだけ「腑に落ちる説明を」と言ったTCIの件でも未だに経産省は無視状態だろ?(防衛策発動強化ということで、TCIをブロックした理由を明確に正当化していない。議論のすり替え)
以下ロイターから 日本ハウズによると、イノウエ社は8日頃から、個々の株主に対して原弘産に委任状を返送するよう電話連絡で呼びかけている。(中略)日本ハウズは4月30日、イノウエ社からの請求によって、株主名簿の閲覧に応じた。日本ハウズは、イノウエ社が、このときに開示した株主名簿に沿って、原弘産の委任状勧誘に応じることを訴える電話連絡をするのは、金融商品取引法による委任状の勧誘規制で問題があると指摘している。 法的にどうなのかわかりませんが、もうちょっとフェアプレーをしてほしいですよね。いろいろと。これじゃ泥仕合。
PS 買収防衛策発動基準の強化という記事が出ていました。総会召集通知発送直後(少なくとも印刷完了済み)のこの時期にこの記事とは、サッカーにたとえると、相手ディフェンダーをギリギリひきつけておいて、中田英寿がFWにキラーパスを出したようなタイミングだ、と感じました。 あとはFWがゴールを決めてくれればいいのだが、FWがドイツW杯の柳沢君か、絶好調のクリスチャーノ・ロナウド(マンチェスターU)かで、総会というネットががゆれるかが決まります。まあ、日本はサッカーにしろ、政治にしろ、経済にしろ、とにかく決定力がないからなあ。 本物の柳沢君もがんばってね(一応アントラーズファン)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/06/12 01:59:41 AM
コメント(0) | コメントを書く
[敵対的買収防衛] カテゴリの最新記事
|