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テーマ:株式投資日記(20511)
カテゴリ:敵対的買収防衛
今年2月に住友重工が非友好的買収提案(敵対的買収提案)を行った案件は、結局住友側が提案撤回ということになってしまった。
アクセリス側はさしずめ、「防衛成功」といったところか。ポイズンピルは全く関係ありませんでした。
これまでのいきさつは、以下の拙ブログを参照 住友重機械工業 VS アクセリステクノロジー その3 デューデリジェンス入り
住友側からプレスリリースされた9月16日付「アクセリス・テクノロジーズ社との買収交渉終了に関するお知らせ」によれば、半導体市況の先行き不安定なこと、このためDD期間(株価提案)の延長を申し出たものの、拒否されたことなどが主な理由となっている。 赤字続きのアクセリス社へ果敢に敵対的買収提案を試みたものの、自社の株主の理解を得られず、元のさやにおさまった格好だ。もっともその間、自らはライツプランの導入に成功するなどのこともあった。
現時点で多額の買収資金を費やさない、というのはいかにも堅実な住友らしい判断だと思う一方、もともとアクセリス社との50%ジョイントベンチャーであった子会社の経営支配権をめぐったM&Aだったので、当該子会社の運営をそれまで通り継続できるのかは結構不透明要素が多いと思います。
東洋経済オンライン 6月20日の記事 住友重機械 ドラマの2幕目 「日本的」からの旋回 結局は「日本的」?(1) によれば、取材でアクセリス側は、今回の買収提案に対し屈辱的な感情を持っていたようであり、このようにこじれてしまった関係を元のさやに収めるのは、通常では考えられないと思う(この記事はこれまでの私のこの案件のシリーズよりもずっと対住友重工に辛辣なストーリーとなっている) もちろん、ビジネスとの割り切りも可能だが、アクセリス側の対住友不信感は大きいように思われる。
しかし、一方のアクセリス社もこの買収提案の撤回で株価は破たん企業並みの水準に墜落してしまった(最も、業界の不況と昨今の金融不況と提案撤回と悪いことがトコトン重複した結果ですが)。
住友側はJV相手との相互不信感だけが残り、住友側株主はリスクを避けることができたものの、自ら敵対的買収提案を行う一方、アナグマのようなライツプランを導入など終わってみれば、何を得たのだろう? 「重要なパートナー」との連携の難しさを物語る。
それにしても東洋経済の記事は、憶測が入っているような感じを受けるものの、『一見、「日本的」から離れたかのような住重が、実は、「日本的」なるものから脱していないことだ。5月、住重の取締役会は「買収防衛策」の導入を決議した。決議案のリリースには「住友の事業精神」が高らかに謳(うた)われている。アクセリスのプーマCEOなら、さしずめこう言うだろう。「自分の企業文化を守るために外部からの買収を拒否しておきながら、人の会社の企業文化は買収で踏みにじってもいいと考えているのか」。』
とはまさにこのテーマで私が言いたかったことに限りなく近い。フェアな精神で運用してほしいものだ。総会も終わったし、いっぺん言ってみたかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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