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2008/11/17
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カテゴリ:敵対的買収防衛

 

インベブ.jpg

 

ロイターによると、当該ディールに詳しい銀行筋が今週中にもシンジケートローン組成完了が近づいていると述べたそうだ。

RLPC-InBev poised to draw down $55 bln to pay Bud shareholders

これまで当ブログではアンハイザー・ブッシュ(バドワイザーのメーカー、米国本社)に対するインベブ(ベルギー本社の世界2位のビールメーカー、経営はブラジル人主導)の敵対的買収について記載してきました。

結局はアンハイザー側の取締役会が全会一致で提案に賛同し、株主にTOBへの応募を呼びかける、「友好的買収」へと転換しました。

 

下記参考

バドワイザーが買収されるかも? インベブ、アンハイサー・ブッシュに買収提案か? 5月28日

アンハイザー・ブッシュ VS インベブ その2 America's KING OF BEERS の買収防衛と米国社会の反応 6月16日

アンハイザーブッシュVSインベブその3米国社会の反応パート2 6月19日

アンハイザーブッシュ VS インベブ その4 This Bud's is not for you! 「プロジェクト ブルーオーシャン」 6月30日

アンハイザーブッシュ VS インベブ その5 「陥落」 7月15日

 

そして、今日までインベブの株主総会、米国の独禁法審査、そしてアンハイザー・ブッシュ側の株主総会等全ての手続きをパスしました(独禁法審査ではカナダの一部事業の売却を条件に認可されたようです)。

 

「傷だらけの融資団」

さて、申し込み時点から若干気にはなっていたのがインベブの資金調達でした。7月時点ではリーマンショック前ということもあり、インベブ側も、銀行団に融資をコミットメントさせるために10億円程度のコミットメントフィーを払ったこともあり、楽観的な空気が支配的でした。

しかし、リーマンの破綻、欧州銀行の相次ぐ公的資金注入など金融動向は一変しました。

このシンジケードローンのコアメンバーは以下の銀行です。

バンコサンタンデール(スペイン)、東京三菱UFJ、バークレイズキャピタル(英国)、BNPパリバ、ドイツ銀行、フォルティス(ベルギー)、ING(オランダ)、JPモルガン(米国)、みずほコーポレート銀、RBS(英国)。

 

JPモルガン(一番健全な米銀ですが、一応公的資金注入される)が中心になっているものの、バークレイズ(3度目の増資はカタールなどからですが出資条件で既存株主ともめている)、フォルティス(ベルギー・オランダ政府に完全国有化された)、ING(政府から公的資金注入)、RBS(公的資金注入)、と決して台所事情が芳しくありません。

ついでに言えば、フランスナンバーワン銀行BNPパリバはインサイダー云々で日本では非難を浴びています。

そして邦銀は持ち合い株式の評価損に苦しみ、これから不良債権引当金が尚増加しそうな気配です。東京三菱UFJはこの間、モルガンスタンレーに9000億円出資して1兆円増資を伺っており、みずほも3000億円程度劣後債を調達するようです(劣後は相変わらず系列の生保が引き受け手の中心の模様です。進歩がない)。

バークレイズは1兆円近くをさらに増資するそうです。同行は確かサブプライムが始まって3度目の増資(2度目には三井住友銀も1000億円近く「戦略的な」増資に応じた)ですが、今回は何でもカタール辺りのSWFからの増資とのことです。

この条件が英国政府の公的資金の配当利回りなんかよりも好条件だとのことで既存株主から「モノ」を言われているそうです。「中東の投資家にそんなよい条件で増資をさせるのなら、まず既存株主に割り当てるべきではないか。また、なぜ英国政府でなく中東の投資家から受け入れるのだ」といった感じです。

 

インベブの資金調達計画は総額5.5兆円のうち、4.5兆円は融資、残り1兆円はインベブ自身の増資ということになっていました。

欧米でこれだけのビッグディールにもかかわらず株式交換が全く入らないのは珍しく、確か記憶ベースですが、史上最高の現金ベースのM&Aになるはずです(売却側株主の立場からみてM&A対価が全て現金と言う意味)。

なぜ株式交換を取り入れなかったかというと、インベブの株主構造(詳細を調査していませんが)が、投資ファンドとベルギーのインベブのオーナーを主としており、これを崩したくないというのが第一理由と聞いています。

 

私はこのディールは結構やばいんじゃないかなあとひそかに思っていました。10月中旬にヘッジファンドの解約による相場大暴落があった直後に、インベブ側は増資を計画していたのですが、当のインベブ自身の株価も暴落し、思うように増資が出来なかったからです。増資は年明けに延期となっています。

 

innbebu.JPG

 

インベブの株価推移。10月以降急落 

こういった事情であるにもかかわらず、各行「予約済み」の融資枠の中応じざるを得ないのでしょう。アンハイザーの株価もそれを物語っていました。尚、増資部分の1兆円はブリッジローンということでつなぎ融資が出るようですが、つなぎ融資の期限は6ヶ月でこの間に増資を完了させ、なおかつアンハイザーやインベブのノンコアビジネスの売却で現金を稼ぐという算段になっています。

 

bud11gatu.png

 

アンハイザーの株価、一時60ドル割れ。TOB価格は70ドル 

(うわさベースですが、インベブの韓国事業を日本のアサヒビールが買収するのでは、と言う記事もありました。アサヒは否定していましたが)

このシンジケートローンは7月時点では確かトリプルB格付けだった記憶がありますが、これから先の実体経済の悪化を織り込むと、いくら食品とはいえ、生産量の増加はそれほど期待できないような気がしますが・・・。

当該ロイターの記事によりますと、各行は最低4000億円程度を引き受けることになっている模様です。当然各行はセカンダリーで他行にも融資を募ったり、一部債権売却をしたりするのでしょうが、ご存知のとおりのサブプライム騒ぎで、「血が止まっている」状態でどこの銀行、投資家がこれを引き受けるのか(セカンダリーの人には引き受ける義務がない)結構大変です。

なぜ大変かと申しますと、各国・各行とも「貸し渋りは厳禁」と厳しく当局から睨まれている状況下の中、4000億円はさすがにきついと思います(これで中小企業向け貸出金がタイトになると余計風当たりが悪そう。なおかつ、融資対象がアンハイザー・ブッシュ、要するにバドワイザーの売れ行きが担保とはいえ、その売れ行きの大半が米国ですからねえ。自動車の売上が30~50%減、ヤケ酒はあっても、米国人は前向きな飲食は控えると思います)。

 

 

以下は余談

ついでながら日本政府がIMFに10兆円の融資枠を設定し国際貢献を果たしているかのような記事があります(財源は外貨準備金より)。

しかし、その10兆円で世界貢献も悪くはないが、まず自国をしっかりして欲しい。

かつ、実はIMFが国家財政に関与することは、近視眼的には各国から「お呼びでない」という側面もあります。

アジア通貨危機の際の隣国韓国の混乱振りは記憶に新しいです。もっとも、中長期的には韓国経済が立ち直ったので、よかったのですが、かなりの痛みを伴い、国民の反IMF抗議などあったかのように記憶します(IMFの支援の前に韓国は日本に支援要請したが、日本は謝絶したらしい)。

立ち回りの下手な日本外交で、良かれと思ってやったことであだ花を咲かせることがないようしっかりアピールしてほしい。(その10兆円があれば内政でいろんなことが出来ると思うが故)

 

全てとは言いませんが、ざっくりと、

進んでIMF融資を受け入れない国々。

進んで公的資金を受け入れない日本を含む世界各地の銀行(米国は半強制的でかえってびっくり)。オーバーバンキングと言われて久しい日本の地域金融機関も同じ。

進んで身の丈にあった金融機関で融資取引をしてこなかった日本の中小企業。

 

制度としては資金の出し手はいるのですがねえ。公共の福祉か経済的自由の確保か、と言う点でしょうか。

共通点は自らの過去の汚点を省みず、将来のことを語ってしまうので、介入されたくないが資金は必要、ということになってしまう。有利な資金調達をしたいのなら、普段から資金効率に気をつけなければならない(あまり利益を生まないものにお金を費やさない)という点だと思います。

これは町の中小企業からグローバルバンク、又は国家財政でも結構共通していることだと思いました。

緊急事態に言っても始まらないが、日本の場合2度目の緊急事態でもあまり進歩のない事実が多くガッカリ。






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Last updated  2008/11/17 03:20:59 AM
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