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元・経営コンサルタントの投資日記

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2009/02/16
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カテゴリ:政治
 

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ガイトナー米財務長官が発表した「官民ファンド」構想。「バッドバンク」構想が後退して、市場を落ち着かせるために差し出した、アナウンスメントで終わるのか、実現にこぎつけるのか、米国金融機関の不良債権問題解決がゆっくりと始動してきました。

ただし、「バッドバンク」、「官民ファンド」ともに不良債権のバリュエーション問題という難問があります。

例えば簿価100の債権を保有していて、会計的に減損して50となっていたとしても、実際にその債権を売却する際、買い手がいない現状、 「Priceless」 な状況に陥っています。当然50以上で「ファンド」が購入してくれればよいのでしょうが、そんなことをするとファンドのリターンがなくなってしまうので、ありえません。

ファンドは20~30の価格なら買う、とすれば、金融機関はさらに20~30の追加損失の計上に迫られます。

仮に「官民ファンド」が50で購入し、ファンドが20で換金し、30の売却損を計上したとして、その30を税金で補うとすれば、結果的に公的資金の追加投入となります。

おそらく、この線を狙っているのでしょう。

ということは、官民ファンドは債権回収額の極大化を図らなければならないのか、そのインセンティブを柔和させないといけないのか、それでも民間として参入したくなる仕組みなのか、などガイトナーさんに知恵があるのでしょうか? 民間に回収の極大化を促進すれば、それこそ「ハゲタカ」化されてしまい、お墨付きバルチャーという社会問題と化してしまいかねません。

回収姿勢をゆるくしても成り立つのであれば、ファンドへの税金の垂れ流しになりかねません。

ただし、この「官民ファンド」路線を実行するにしても、結局金融機関の持つ不良債権の評価をどうするのか、逆にそれ(本当の資産価値)がわかった瞬間、パニックに陥る又は追加資本注入が必要になるのでは、といった疑念が払拭できません。

今の簿価で買い取ってしまおう、というのはさすがに、年収が「わずか 50万ドル」とボヤく米銀経営者には生ぬるい気がします(買い取った後に銀行が「正常化」されるのであればなおさら)。

日本の不良債権問題と違って、証券化されているだけにさらにややこしい問題を含んでいそうです。日本の場合、良くも悪くも融資は不動産担保ありきだったので、「債権額-担保不動産」の差額にいくら引当金を充当するか、という問題だけでした(この差額をDCFでやろう、という意見がありましたが、竹中氏への拒絶を促す保守勢力のためにうやむやかされたような)。

 

もともと債権の時価評価にDCFを活用するというのは、米国会計基準から来た発想だった記憶がありますが今回のような証券化したものをどうやって評価するのか、CFを生み出す対象が特定できるのか)。

 

これも竹中氏が推奨するようにわかりやすく、ざっくりとしたもので一旦評価すれば、あとはいくらで最終取引がされるのかを市場にゆだねるというシステムがわかりやすいと思う。

ちなみに、RCCが破綻した金融機関からの債権買取の際には一般的に破綻懸念先(再生の見込みがないと判断される債務者)、といわれている債権は先ほどの「債権簿価-不動産担保時価」の差額の25%+不動産担保の時価、程度で買取をしていたようです。「要注意先」はそれの50%。

 

前回の米国RTCのようなすんなり行くスキームの開発にかかっていると思います。民間資金の活用というのは聞こえはよいが、これ以上財政出動できない、とう裏返しのように思われないようにするなどかなり厳しいハードルのように感じます。

 

しかしながら、あの日本のRCCですら、債権の取立てで問題を引き起こし、中坊さんは社長を辞任し、弁護士資格を返上するような目にあってしまいました。したがって、「社会にやさしい債権回収」というものはかなりコンセンサスを得るのが難しそうです。

米国では時効になったクレッジット債権を買い取って、取立てを行うような業者がいるので、回収作業も波乱含みとなりそうです(ノンリコース債権だとそんなことはないが、これはビジネスウィーク誌で読んだ。債務者は破産し、免責後も道徳的な罪悪感に付け込むのだそうです。恐ろしい商売)。

 

個人的にバッドバンクと官民ファンド同じ発想だと思うので、単に言い方を変えたような感じ。オバマ政権は実際にこの問題に本格介入するにつれ、迷路に入り込んでいないか、それがワーストシナリオです。とにかく何とかしないと日本のようになってしまう、というその意気込みは買いなのですが、小出しに中途半端なままで政策を打ち出すと狼少年化してしまいかねない。

これまでオバマ政権は「鳴り物」入りだったが、中国為替操作発言や、一連の民主党らしい「バイアメリカン条項」などやや路線が内向きになりすぎるような気がする(一方でGMがチャプターイレブンを検討しているという意外な方向性も見られる)。

 

ヒラリークリントン国務長官が拉致被害者家族と面談するといういかにも人権重視の民主党という路線はよい側面だと思うが、経済はどうだろう? 当初の期待感が薄れないうちに早く決めてしまいたい不良債権対策、といったところでしょうか? 市場もその辺を懐疑的に見つつあるのかもしれません。






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Last updated  2009/02/16 01:29:17 AM
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