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元・経営コンサルタントの投資日記

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2009/03/13
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カテゴリ:敵対的買収防衛

すでにたくさん報道されていますが、米国のバイオベンチャー、ギリアドサイエンシズがCVセラピューティクスに対し、1株20ドルでTOBを表明し、CVセラピューティクス取締役会は、賛成を表明した、とのこと。  

これは、ギリアド社が ホワイト・ナイト として登場したということに他なりません。アステラス製薬は完全に 「振られ」 ました。この逆転TOBに対し、アステラス側は現状は沈黙を守っていますが、アナリストの間では、価格を引き上げて対抗する可能性を分析しています。

仮にギリアド社に対抗してTOBに発展すれば、買収合戦にヒートアップします。  

 アステラス側の読みがどうだったのかは全く不明です。対抗者の登場を予想していたのか?16ドルで表明してそのあと特に値上げせずに、プロキシーファイトに持ち込もうとしていたようなので、予想外のことなのかな?  

インベブとアンハイザーブッシュや、カールスバーグ・ハイネケン連合とスコティッシュアンドニューカッスルなどでも、被買収者側は「価格が低い」と言った結果、買収者側も段階的な値上げを実施しています。被買収者がTOBに反対する理由は 「常に」 価格でした。  

不成立だったものの、BHPビリトンとリオ・ティントも一度価格を引き上げています。最初から引き上げることを見越したスタートプライスだったと思います。

なおかつ、これらの事例では、いきなりTOBに入らず、提案段階で終わっています。TOBに入ったときにはすでに被買収者側は賛成を表明しています。  

しかし、アステラスでは、すでにTOBに突入し、プロキシーファイトを表明してしまったので切るべきカードを切り損ねた感もあります。今更価格を引き上げたとなれば、CV社側の株主を甘く見ていたといわれかねません(けど、現在のCVの株主の多くは値ざや稼ぎの人だから、価格を引き上げることは常に歓迎される)。  

アステラス側はまずは既存株主に対し、買収の正当性に対する十分な説明を行い、次いで、価格根拠を説明し、そして、CV社側の株主にも自分たちの提案のよさをアピールをもっとすべきです。買収したらアステラスの企業価値または株主価値にどれだけ貢献するのかという点は、外国人株主保有比率が45.1%(08年9末現在)もあるので重要な気がしましたが・・・。  

徐々に泥沼化していませんでしょうか?日経新聞には、製品さえあれば人は関係ない、という趣旨がありましたが、これは少し考えさせられます。  

一方、結局もう一方の敵対的買収だった ロシュとジェネンテックは 「友好的買収」 に落ち着きました。1株95ドルでジェネンテックは音をあげました。(112ドルの正当性はどうなったんだろう)

ロシュ側は如何に、経営幹部と研究者の引きとめが出来るのかが課題とロイターでは言及しています。バイオベンチャー企業はコア経営陣やコア研究者はストックオプションを行使できるので、売却により金銭的には目的を遂げてしまうようです。  

こちらはジェネンテックより4月になると有力な新薬の研究開発のフェーズ3の途中経過が発表されるということなので、研究者が買収後も研究し続けてくれることが必須です。局面の違いがあるものの、ロシュとアステラス製薬の対応を比較してしまいますね。

 

3/15 9:00 追記

フィナンシャルタイムズで、アステラスは 「対抗Bitに応じないかもしれない」 といった、との記載がありました。

Health care sector provides Wall St tonic

フジサンケイビジネスアイでも、第一三共-ランバクシーのような巨額ののれん減損を警戒しているとの記事もあり、総じてこれ以上の突っ込みがないかのような記載です。

 

第一三共は確かにこけちゃったけど、友好的なM&Aだったし、今回の買収金額から1000億円をさらに数百億円増額しても、のれんの償却の際は結局大して変わりはない、かつ、ランバクシーのような中途半端な上場維持ではなく、100%買収を意図しているんでしょうし、プロキシーファイトまで覚悟したという経営陣の決意が中途半端に感じられ、結局投資家としては、頼りない経営陣と言う風に映ります。

少なくとも、ランバクシーのマネージをやりぬく決意を表明した第一三共の経営陣の方がアステラスよりも投資家として投資したくなります。製薬会社も立ち止まっていては何も得られないのでしょう。

マイクロソフトも刀を引っ込めましたが、あれとは全く状況が違いますね。






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Last updated  2009/03/15 08:59:51 AM
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