アメリカで興味深い議論がなされています。
結論を先に申し上げますと、こんな感じです。
日本が高齢化に向かい、貯蓄を取り崩すと、アメリカが高インフレに陥る。
「日本からの新手の脅威」と題するこのビデオ
(楽天はビデオの貼り付けも出来ず不憫ですが・・・こんな感じです)
アメリカ国債の最大債権者はいまや中国です。しかし、そのわずかすぐ後に日本がいます。
MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES
日本はアメリカ合衆国の第二の債権者です。しかし、アメリカ国債の発行総額はGDP約70%です、まだ現状では。
一方、日本自身はというと、国債の発行残高はGDPの170%(Debt to GDP)に達しており、国家はアメリカ以上の膨大な借金を抱えていることになります。
しかしながら、日本の「お偉い」経済評論家の先生方は、日本の国債は約90%が国内の投資家に保有されており、米国のように外国人が買い支えることはない。日本の国債が国内で消化されているうちはそれほど騒ぎ立てることでもない。
つまり、これまで貯蓄が美徳とされ、投資は邪悪という価値観があった日本では、郵便貯金、銀行預金などに大半の人々は余剰資金を運用しています。その行き場のない現金が国債で運用されていることになり、国家の富が国内で循環しているというものです(CNBCのビデオでも同様の解説あり)。
しかし、高齢化が進むと、日本人の貯蓄率が減少に向かい(老齢者の生活資金の取り崩し)、国債の消化が容易ではなくなる局面が起こりうる。その場合、日本国家は国債金利の切り上げ、即ち利上げに踏み切るかもしれない。なぜなら、国債の買い意欲がなくなってくるから。その場合、対抗上米国も金利を引き上げる必要性が出てくる。さらに日本も不足資金を米国債から取り崩さねばならないかもしれない。そうすると米国金利は・・・。
という議論です。今回米政府は、70兆円にも上る景気刺激策を国債で賄うとき、ガイトナー財務長官は北京とメッカ(サウジ)に行きました。日本は為替介入に否定的です(為替介入で買ったドルで米国債を買うということはなさそうだ)。また、ここ数年は日本の米国債の購入スピードが明らかに鈍化しているようにも思えます。
米国は将来をにらんで調達の多様化を図っているのでしょうか。日本に頼っていると危ないと。
将来、日本経済復興のために日本の移民政策が外圧で導入されるのでしょうかね(個人的には肯定的)。ドル安も貿易赤字解消の一政策でしょうね。3Q決算からドル安効果は出てくるでしょうか?
翻って日本人として。
仮に、貯蓄率低下のせいで国債金利を引き上げなければならない局面がきた場合、中国や米国が日本国債を買ってくれる可能性はこれまでのその 「へたくそな」 外資招聘政策から考えると非常に低いのかなあと(米国人は自分の国債に害が及ぶとなると、日本にも何か手を打ってくるかなあ。やはり移民開放政策の圧力をかけるのでしょうか)。
高齢化が米国経済の敵となるならば、それは日本経済に跳ね返ってきますね。子供手当てだと遅すぎないか? 少子高齢化を危ぶんでいるのは日本人だけではないというのも、日本が国際経済の責任を全うしていない、なーんてマスコミは言い出すのでしょうね。
最期に、このビデオに出ている、ビタリー・カツエネルソンはパンローリングから出ている「
バリュー株トレーディングレンジ相場で勝つ」の著者です。彼の「レンジ相場論」はなかなか説得力があって、この本は参考になりました。やっぱりPERは大事だなあと。
彼によると、まだこの先10年近くはレンジ相場でアップダウンをS&P500は繰り返すと説いています。その事例をウォルマートの株価の推移を使ってわかりやすく例示しています。
しかし、今回のサブプライムバブル崩壊でウォルマート、コカコーラ、マイクロソフト、インテル、ゼネラルエレクトリックといったダウ工業30種銘柄で、EPSの成長はしっかりしていたものの、PERの下落が原因で相対的に(ITバブル崩壊以降は)株価がぱっとしなかった超一流企業も自らのEPSの成長率並みに今は評価されているようにも思えます。ということは新たなブルマーケットが到来するのかなあ、と甘い期待を抱いてみたりもします。