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カテゴリ:ポートフォリオ分析
「ドバイショック」に逆張りでHSBCのADRを追加購入しました。
HSBCはUAE全体に$1.7B の融資があるといわれています(FT.com)。ドバイワールドそのものには約1,000億円程度の債権があるとWSJでは推測しており、この程度なら体力の範囲内で十分償却が可能でしょう(1,000億円全部が債務不履行になることはありえない。ロイターによるとGSはHSBCのドバイワールド向け損失額が6億ドルと試算したそう)。 ただし、新興国向けの与信管理が問われる可能性や他の湾岸諸国向け与信の連鎖反応など様々な「副作用」も考えられるため、当面株価は軟調になる可能性があります。
HSBCに投資する理由
スタンダード・チャータード、HSBCともロンドンに本社を置く英国企業です。英国の金融業界はかつて「ウインブルドン現象」と揶揄され、米銀に市場を席巻されてしまいました。 しかし、それは証券、投資銀行分野で商業銀行業務はM&Aを繰り返し、バークレイズ、HSBC、スタンダード・チャータード、RBS、ロイズなどが(政府支援も含めて)生き残りました。 特徴はなんと言っても、旧大英帝国植民地を基盤に持つこと、その地は今をときめく「新興国」や「資源国」がたくさんあること、そうした旧植民地と英国は親密であることや人材の行き来が頻繁で相互理解が進んでいることなどでしょう(旧英連邦諸国)。
中国(香港・上海)、インド、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、カナダ、南アフリカ・・・。ロシア・ブラジル以外は強い(ロシアはかつてブレア首相とプーチンが急接近していたし、最近でもHSBCは大きくロシアに投資している)。
今話題の敵対的買収、クラフトフーズ(米国) 対 キャドバリー(英国)もキャドバリーの持つインド・中国マーケットがクラフトの狙いだったりします。
HSBCはその名の通り香港(H)、上海(S)およびシンガポールに大きな基盤があり、上海証券取引所の外国企業上場の第一弾を狙って元建て社債の発行やCEOがロンドンから香港に常駐するようになるなど、中国重視の姿勢を鮮明にしています。この辺は日産のゴーンさんやソニーのストリンガーさん同様一番重要なマーケットに経営者を置くグローバル企業の姿勢に好感を持ってしまいます。 さらに大株主にはナイトビンケ&カルパースが健在で、睨みを利かせているのでガバナンスもしっかりしています。 (参照)英銀HSBC英国史上最大の増資策 と「物言う株主」ナイトビンケ09/3/3
ひょっとしてもう一段の下げがあるかもしれませんが、その場合でも追加購入を検討してしまいます。
投資期間や投資目的は「半永久」といいたいところですが、さすがに2倍以上になったら考えますが適正な値段が付く限り、ホールドでいいと思っています。
銀行業は「適正な」インフレを前提にしたビジネスモデルである(借金する方もインフレの方が返済負担が緩い)ため、デフレを前提とした国ではとても投資に踏み切れません(現在の借入金の価値が将来、益々重みを増すことを意味する。担保価値も下落する。将来のCFの価値が下落するのに今、中小企業に借金させろといっている国策は無茶苦茶。民主党はアホだ)。 さらに、デフレが十分見込まれるのに、国内の証券会社を買収して喜んでいるような経営陣が経営するのでは、認識を疑います。なぜ今この時期に、弱っている欧州系銀行のアジア基盤(RBS、INGとか)を買収しないのか理解に苦しみます。
また、「格上」のHSBCが株主割当で1.7兆円の増資をしたときにロンドン証取では史上最高といわれて騒がれましたが、「格下」のメガバンク御一行が(2回あわせると)HSBCと同じレベルの増資を行ってしまう割りに全く成長戦略を示せないというのは邦銀の衰弱を示しているかもしれません。 時価総額の比較(1ポンド142円で試算。今の円高局面でこの差!)
今回の増資を制度に責任転嫁してしまっている。くだらない持ち合いなどしなければ、増資額はもっと少なくともよかったか、場合によっては不要だったのではないか??? 尚、スタンダード・チャータード銀行は貿易金融を中心としたホールセールが得意といわれており、HSBCはむしろ個人金融が得意で、「世界最大の地銀」とも言われています。 また、前者はM&Aではなく内部成長を重視し、HSBCはM&Aを繰り返しています(最近、内部成長重視を公言している)。 両行に共通するのはバンカメやシティ等の米銀と違い、証券業務は最小限に留めている点でしょうか? それと、営業範囲が歴史的にもグローバルな点でしょう。
(日本では、失業率が3ヶ月連続で下落するなど好材料があったのに日経平均が3%の下落というのは悲しいのと同時に、いい感じになってきたかもしれませんね。ただし、持合の解消売りや上記の募金のような増資が相次ぐなど買いのタイミングが難しい) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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