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テーマ:株式投資日記(20515)
カテゴリ:投資一般
個人的には円安になると、盆と正月がいっぺんに来たような感じになってハッピーだ(ドル資産の円換算ベースの上昇と日本株の上昇で資産運用利回りが大幅改善するから)。
しかしながら、それでも尚、円売りドル買い介入はやめた方がいいと思う。 仮に介入するとすれば、その本質的な意義や目的をもつべきだと思う。たとえば95円ぐらいまで押し戻して、その間企業には再編を促して、輸出ドライブと事業再編で税金をたくさん払ってもらえる企業を作り、歳入を増やすなど。貿易黒字が増えても企業黒字が増えなければ国家財政には意味がないはず。テレビを作るメーカーは国内で3からせいぜい4社で十分だ。 現在の為替介入議論は、地方が不況に陥ったら(無駄な)公共工事をやれと言っているレベルとさほど変わらないと思う。株式市場で苦しんでいるブローカーたちが「公共工事」を催促している。 いや、公共工事は建築物という立派なコンクリートが残るが為替介入は何も残らないのではないか?借金以外。 竹中正治氏他国際通貨研究所の方々の購買力平価を前提にすると今後とも緩やかな円高は不可避の流れであると考えられるからである。それと前回の介入時点と外部環境が違っている。米国経済は「治療中」でモノを買ってくれる体力が乏しい。それよりも、米国消費に依存しない世界経済の成長をこの前G7だったか20で話し合ったはずだと思う。 なぜ為替介入がよくないのか?1年以上前のこんな記事がある。 以下引用 2008年10月29日[東京 29日 ロイター] 財務省は29日、外国為替資金特別会計の評価損が急速な円高進行で23.9兆円に上ったことを明らかにした。1ドル95円で算出したという。円高が進行すると外為特会が保有している外貨資産の評価損が増えるため。これに対して、外為特会の剰余金の積立金については19.6兆円とした。 中川昭一財務・金融担当相は、為替市場の動向について「ここ数日の間に急激に円高になった。大きな変化は実体経済に影響を与える」とした。含み損を抱える外為特会のリスク管理については「細心の注意を払う」と述べた。衆院財務金融委員会で民主党の階猛(しな・たけし)議員の質問に答えた。 引用終わり
日本の外貨準備金は中国に次いで世界2位の水準にあると言われていますが、それは総資産だけを語る企業財務の様なものでして、調達原資のことを考えなければならないと思います。かつて邦銀の強さを総資産や預金だけで比べて、世界トップ水準だと喜んでいたのと同じレベルの話。 これは財務省の外国為替特別会計に関する概念図を引用しています。 PLだけを考えると、外貨の運用(米国債の金利と考えていいと思う)から政府短期証券等の利払いを差し引きしたものですが、良く考えると、為替介入する際には政府短期証券という借金をしているのです。為券を発行し、円を調達し、その円でドルを買って円を売る。 上記ロイターの記事はBSサイドの側面を当時の国会答弁で言っており、95円で24兆円の評価損だとすれば85円だとどうなるのだろう??? 火曜日のワールドビジネスサテライトでは1円の円高で1兆円の評価損が発生すると堀古氏は言っていた。 膨大な評価損と言わねばならない。今、事業仕分けや八ツ場ダム等で1000億円、1兆円単位の予算切り詰め議論がなされている中、国家予算の数分の1の金額が、あれよあれよで飛んでいくのである。事業仕分け(特にその方法論)など枝葉末節の議論に聞こえる。
再び財務省から17年度末の外貨準備金特別会計のPL、BSを抜粋しました。このBSを見て財務分析のイロハがわかる人は、え? と思うに違いありません。平成21年度末は為替換算差損益がどうなるのか怖くて見られません。資産サイドは平成16年度か17年度以降、為替介入がないので、円ベースでは大きく資産が増加する要因がないはずです。たぶん評価差損の金額が劇的に変わっていると思います。日本総研が2007年に試算したところによると、外貨準備金で運用する外貨の「損益分岐点為替レート」は1ドル122円とのこと。 為替差損分の為券は永久に(ひも付きの)返済原資を喪失することになります。 したがって為替介入を仮に肯定する場合、その目的をはっきりしないとだらだら公共工事と同じ効果を生みかねません。為替介入により、輸出企業が潤い、税収が増えるというシナリオを描く場合、今のドングリの背比べの様な企業をもっと効率化して強くて利益がいっぱい稼げる企業に集約しないと費用対効果が乏しい結果になりかねません。電器メーカーを例にとった場合、上場大手数社全部合わせてもサムソン1社の営業利益に届かない現状の方が問題だと思います(あちらはウオン安という追い風があるが)。
理論的には (輸出企業の)中期的な税収+米国債金利収入>利払い+予想評価損 でなければペイしません。電機・自動車の産業はすでにエコカー・エコポイント減税の恩恵に国家から授かっています。さらに帰ってこない「補助金?」(自動車メーカーからは返ってくる可能性あり)のような為替介入は現在の前提条件では大義名分が立たないのではないでしょうか? 米ドルに対しては円高かもしれませんが他通貨には決して米ドルほど円高に振れているわけでもありません。今、米国消費に依存しないで経済成長を遂げることが課題とされています。
中国がドル高にしろと言っているのは結局この為替差損を国家財政の損失と言っており、その記事を大々的に報じながら、こっちの記事はひっそりして為替介入をあおるマスコミにも問題があるような気がします(そりゃ、為替介入は広告主寄りの意見だから広告主には喜ばれると思うけど)。ただし、火曜日のワールドビジネスサテライトに出演した堀古氏は見事に為替介入が難しい理由をこれと同様に指摘されていました。
政府も為替介入ができない本当の理由をはっきり言うべきだと思います。藤井財務大臣は確か主計局出身でしたので、この問題をしっかり認識していると思います(答弁がバカ正直ですが)。
外貨準備金は(元金ゼロの)究極のレバレッジ投資なのです。さらに、円に換えるとさらに円高が進むというジレンマがあり、為替介入は将来の蟻地獄化を悪化させる可能性があります。
短期的な企業業績や雇用問題という面と中長期的な産業構造改革と言う側面、非常に難しい問題ですが、日本人が本当に長期志向型の頭の持ち主であれば(長期的な経営をすることが日本企業の特徴じゃなかったんですかね)、個人的には供給過剰な今の状況を集約し、キリン-サントリー型の経営統合があっちこっちの業界で起こって、もっと利益率の良い企業が残ることが、結局税収にもよいと考えます。その時点で法人税率を引き下げも視野に入るでしょう。すなわち中長期的な日本経済の成長シナリオを描くなどの期待感がないといけない。 デフレ脱却には需要に応じた供給という側面が非常に大きい。 どこかで痛みを伴わないと産業の構造改革はできないので、こういう時でないと進まないのかなあと思います。景気が良い時は、ブルドックソースの敵対的TOB事件の判例の様な厚顔無恥なことを裁判所・政府・国会議員・経済界・識者までも言う始末で何も進まないと思います。 が、日本郵政を見ていると民主党に多くを期待しても、やっぱり無駄かもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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