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カテゴリ:ポートフォリオ分析
ポートフォリオ分析、自分の頭の整理として行っております。
配当成長株として長期保有が目的。フィリップモリス・インターナショナル、アルトリアグループも同じ目的で保有。たばこセクターは全投資資産のうち、約20%を占めるトップセクター。 地理的にロシア、中東欧地域をカバーする銘柄としても保有。BRICs投資の一角。
したがって、中長期的な安定インカムゲインが主目的。仮に株価が2~3倍にでもなったら売るしかない。減配発表の場合も売るしかない。
過去の業績推移
過去10年間の平均成長率こそ5.5%ですが、レイノルズタバコの国際事業部の買収(99年)やガラハー買収(07年)と言ったM&A戦略に依存しています。国内の喫煙率の低下を海外で補完する形で成長しています。また、国内ではタバコの値上げは許認可制ですが、海外では市場原理に基づく自由制ですので、巧妙な価格戦略により、国内減・海外増でイーブンにしている側面もあります。 医薬や食品も経営していますが、大きく利益貢献しているというわけでもなく、足を引っ張っているだけで正直気になります(ギョーザ事件等叩かれる)。
売上高以上に年率9.6%で成長しています。EBITDAで経営を評価するのは国際標準です。また、当社は買収した暖簾の償却が年間約1000億円もあるため、少しでも利益を多く見せたいというインセンティブもあるかと思います。
明らかに海外たばこ事業が利益成長をけん引していることがわかります。 現在議論されている、段階的なタバコ税引き上げは、たばこの同時値上げをもたらすはずですので、国内たばこの営業利益の落ち込みに歯止めをかけることができます。そうなれば順調な海外たばこ事業の利益増加が連結ベースの利益増加につながると私は考えています。 ちなみに医薬品事業は過去10年間で6年赤字で、10年間における通算の営業損益の合計は、▲927億円と言う膨大な赤字を残しています。一応そこそこのパイプラインがあるのですが、めぼしいものはロシュやメルクと言ったグローバルメガファーマに導出済み。
日本株式市場の残念なところはEPSがあまり重視されない点です。「2ケタ成長を目指す」と英米企業が言う場合、おおむねEPSを指します。もっとも米国企業の場合のEPSの定義や計算方法に問題点があったりしますが・・・。 EPS重視の経営をした場合、自社株買いのインセンティブが大きく作用します。利益は変わらずとも分母の発行済み株式総数の減少によりEPSが増加するからです。いくら営業利益が増えたと言っても、その株価へのインパクトが漠然としてしまいます。
DPSの成長は年率14.5%に達しております。これは米国企業の一般的な配当株と比較しても高い水準だと思います。今後も配当額の2ケタ成長を期待しています(注:今期は4%程度の増配)。
JTの株価は、おそらく、政治的にタバコ税が議論されやすい、流動性がやや少ない(財務大臣の保有率50.1%!!)のもあり、本質的にタバコ・食品銘柄に期待される安定性とは裏腹にボラティリティが大きい結果となっています(だから投資チャンスがあるのですが)。
ライバイルである英国のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(ケント、ラッキーストライク)を見習ってほしい(あっちはポンド安ですが)。JTはBATと比較してもM&A戦略や個別タバコのシェアなどは決して引けを取らない。 ちなみにJTで一番売れているブランドはウィンストン(私はまずいと思う)。
世界タバコ会社のシェア(CNTCは中国の国営企業でかつての専売公社のような存在)。PMI:フィリップモリスインターナショナル(米)、BTA:ブリティッシュアメリカンタバコ(英)、IMT:インペリアルタバコ(英)の略
世界タバコブランドトップ15
JTは販売本数ベースで世界第3位上場タバコメーカーで、個別ブランドでもトップ15ブランドの中で4ブランドを保有し、マールボロという巨人を除けば、十分世界で戦っていける戦力を保有していると思います(ただし、マイルドセブンの中にはセブンスターが入っている可能性あり。将来的にタバコに「マイルド」とか「ライト」というネーミングは、ニコチン・タールの含有量を正確に反映していないというイチャモンが付き、使用不可能になるリスクがある)。 各国の法人税制、集計期間内の円高など諸事情があるとはいえ、以下の表はJTの事業ポートフォリオマネジメントに対する私の疑問を正当化させるに十分だと思います。
(資料はフィリップモリスインターナショナル社のIR資料から)
タバコ事業に専念してほしい。上記の業界内の競争力とそれから得られるキャッシュフローの大きなGapをキャッチアップさせるために、まずは、タバコ事業への経営資源の集中が必須だと思います。 海外たばこはロシアおよび旧ソ連国家でのシェアアップに続き、中近東、東南アジア、中南米等への進出が考えられます。これが成長ドライバーであることは衆目の一致するところです。 国内たばこは、議論されている段階的なタバコ税の引き上げが実現化されると、たばこ価格も同様に値上げが期待できること、実現性は定かでありませんが、たばこ事業法の改定が行われるのなら、葉タバコのコスト削減の期待が持てるため、EBITDAは維持されると想定されます。 多角化は正直うまくいっているとは思えません。食品事業は清涼飲料等でなんとか社名を日本の社会に認知してもらうだけのために存在しているようなものです。冷食事業は逆効果になっていますね。 医薬品はたとえうまくいっても、将来の特許切れ問題などを考えますと、「長期的に」事業として継続するに向いていないと考えます。武田薬品、アステラス製薬、イーライ・リリーそしてファイザー等を見ても、大型薬品の特許切れを補うために、継続的なヒット商品を上市することは専門メーカーでも困難なのです。 さらに研究開発費が売上高の10%強必要な事業で、コンスタントに新薬を上市し、世界での戦いに生き残るには毎年2000億円という巨額の開発コストを負担し続ける必要性があるというのが業界の常識です。 いつまで赤字を継続するのか?(現在の中期計画では引き続きパイプラインの充実が目標に留まっている。黒字化とは言い切っていない)
バックミラーだけを見て車を運転してもいけませんが、期待値としては、今後ともDPSの成長率が年平均10%程度増配はノルマでしょう。選択や集中などが実行され、キャッシュフローが増大されると、更なるリターンも見込めるため、バリュー銘柄だというのが現時点での私のJTに対する見方です。
当社は為替に敏感な特性を持っていますが、輸出することは少ないので、現地通貨ベースだと業績はもっと拡大していることを見逃してはいけません。国外タバコの多くは、海外生産・海外販売で現地化されています(買収したので当然ですが、この辺は自動車や電器と違うところ)。こういった現地化の進むグローバル企業は単なる会計数値だけで判断すると、その企業価値を見余ってしまう可能性があります。 上記はJTのタバコの販売本数の推移ですが、当然ながらM&Aをテコに成長をしております。企業の本質的価値を何で測定するのか難しいところですが、販売数量は重要なファクターだと思います。 JTのもつ事業ポテンシャルはタバコ業界でも有数で、日本という正直マイナス市場を持ちながらも、経営努力でEBITDAを維持させることが可能で、あとはロシアや旧ソ連国家およびトルコ等の有望市場でのシェアも高いし、ブランドも戦力になります。 正直、FAで有望選手をかっさらって戦力的には十分に優勝を狙うことができながらもBクラスに沈むプロ野球球団を見ているようです(日本株式市場全体の低迷も影響を受けている)。 だからこそ、上昇余地を残しているとも思います。ぜひ頑張ってください。ライバル(のはず)のブリティッシュアメリカンタバコと株価でもぜひ対抗意識を燃やしてほしいものです。 ちなみに私はタバコを吸いません。10年以上前に辞めました。やめるまではマルボロライトが愛用でした。マルボロは日本でもシェア10%もあるそうです。JT銘柄ではやっぱりマイルドセブンライトでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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