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元・経営コンサルタントの投資日記

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2010/01/12
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カテゴリ:投資一般
インフレ予想派の人々は商品投資を勧めますね。ジム・ロジャーズが筆頭でしょうか。

かれは需給の原則から発言していますが、私はそれ以外にも、ドル相場(ドルが安くなると相対的にドル建ての商品価格が釣り上がる)にも影響があると思います。ジムは米ドルをこきおろしていますね(注:私は彼の著作「商品の時代」を立ち読みした程度ですが)。

穀物編の状況を調べようと思ったきっかけは、モンサントカンパニー(米:遺伝子組み換え種子の開発生産)への投資準備のためと、ユニチャームペットケアのリスク要因だからです。

過去約40年はこんな感じ(農林水産省のデータより)

 

穀物需給40年.gif

 

過去約40年間、生産量は1079百万トンから2197百万トンへと103.6%増加、需要量も1108百万トンから2184百万トンへと97%増加と生産が需要を上回っています。生産、需要とも年率約1.7~1.8%の増加率で推移しています。

一方、期末在庫率の安全水準が17~18%と言われ、1970年代と2000年代初めにその水準に抵触していることがわかります。ただし、その時期以外の在庫率は比較的良好な水準に保たれています。

最近の穀物騒動は中国の需要増加に加え、農業国における干ばつなどが原因だったと思われます。

 

これでは穀物危機なのか何なのかさっぱりわかりませんので、穀物の価格の推移を見てみることにしました。

 

 

穀物相場.gif

 

農林水産省のデータをグラフ化してみました。左軸はトン当たり相場(ドル)で、右軸が主要穀物の在庫率となります。

このグラフからは、在庫率が下落すると穀物価格が相対的に上昇し、在庫率が高くなると相場に一服感が出ることがわかります。前年の在庫率が低水準だと、翌年の相場が上昇しやすくなります。さらに、これに気候変動が加わると相場かく乱要因で、2008年は米国の利下げに伴ったドル安に乗じた投機資金などで相場が沸騰しましたが、2009年12月中旬ごろまでの価格はそれでも過去比較高めになっています。

3つの商品の過去40年間のトン当たり価格上昇率は年率平均でトウモロコシが2.6%で大豆が3.4%、小麦は3.1%という計算になりました(1970年代中盤から2006年ごろまではほとんど変動差がなかったと思うが・・・。価格の変動のもっとも大きな部分は2000年代から)。

参考までに長期で見た株式相場で得られる期待リターンはおおむね国債10年物金利+5~6%でしたよね。

ちなみに、日本と米国の長期金利の金利差は過去20年程度だと3%で、ドル=円相場もその程度毎年円高になっているということのようです(国際通貨研究所等の書物によると)。

米国の過去のインフレ平均率も、ざっくりですが、2%後半から3%台といわれていますので、穀物の価値は変化がなかったということでしょう(よく考えると、需要増加分だけ供給が行われていたのだから、当たり前のような気がする)。

 

過去のことを語っても未来はわかりません。未来はどうなるのでしょうか? 農林水産政策研究所の「2018年における世界の食料需給見見通し」で、世界食料需給モデルによる試算を行っていますので、それを参考にしましょう。

ずばり、こんな感じ

 

商品相場予想.gif

 

基礎前提条件はこんな感じ

 

前提.gif

 

期末在庫率が少なくなるので、やはり需給はひっ迫する印象が強いのですが、名目価格でみた場合、なんとなくなだらかな増加に見えます。ちなみに、2006年の価格と2018年の価格を比較した年率増加率は小麦2.2%、コメ2.8%、トウモロコシ2.5%の名目上昇率となっているようで、過去の推移と大きく代わり映えしません(もちろん12年後には名目で30%以上のアップとなっていますが)。

ちなみに、1970年からバブル発生前の2006年までの穀物の名目価格の上昇率は小麦2.5%、トウモロコシ1.7%、大豆2.1%でしたので、小麦で0.3%、トウモロコシで0.8%の年率アップは確実に高めに感じるでしょうね

 

ただし、農林水産省では、これらの将来予想は、供給サイドでは単収(面積等単位当たり生産量のこと)の増加が今後も緩やかに増加することを見込んでいるのに対し(まさに、遺伝子組み換え種子等の技術普及を前提としており、モンサントへの投資を考える前提になっています)、リスク面として地球温暖化等に端を発する気候変動や土壌劣化などの環境面の影響はそれほど織り込まれていないようです。

また、生産は予想全年で平年作を予想しています。したがって異常気象時等が発生すると穀物相場の変動要因といえそうです。

したがって農林水産省では、この予測を過信しないよう記載していますので、悪しからず。

 

事実をまとめると、2018年までは

  1. 需要と供給は、平時を想定すればややひっ迫するものの、なんとか平衡を保持している。
  2. 今後10年の年率の価格上昇率は、これまでよりも高めで推移しそうである、しかし、3%以内である。
  3. 気候変動等よほどのことがない限り、過去実績よりもやや高めで推移するが、仮に将来も円高が継続すれば、実質的に円ベースの価格の影響はさほど大きくはない模様。

 

これらから得られる投資のインプリケーションは

  1. 穀物への長期投資は株式リターンを大いに下回る予想となりそうである(金利も配当もない)。アメリカの(平時の)インフレ並みの価格予想となっている
  2. アメリカで大インフレが来れば当たり。来なければはずれ。インフレが来て価格がたとえ暴騰しても、需給の関係をみればバブルの可能性が高い(と思う。70年代の相場を見た場合)。
  3. あくまで分散投資の一つとしてのリスクヘッジにはなりうる程度かなあ?

 

ということは穀物に限れば、商品の時代は来ない??? 来るとすればバブル期待?

農家の生産も、売れそうなら増産し、売れなさそうなら減産するという姿勢で過去40年間は推移していました。 

ただし、ジム・ロジャーズが著書で示唆している商品投資は鉱物資源や石油および砂糖、コーヒーで主要穀物は大豆程度しか触れていなかった気がします。彼のような投資実績のある投資家が分析調査したことと、私のような新米投資家の分析では説得力が全く違ってきますね(私は彼の得意な現地調査なんてやってませんし)。

 

少なくとも、投資リスクとして、無防備はよくないかもしれませんが、過敏になる必要性もなさそうです。アメリカの景気や金利、ドル相場の変動をウオッチしていくことで乗り切れそうな気がしたので、トウモロコシ相場の上昇に弱いといわれていた、ユニチャームペットケアを安心して買った次第です。

 

気象予報が得意な人はやってみる価値があるのかも?

応援よろしくお願いします。


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Last updated  2010/01/12 12:14:18 AM
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