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カテゴリ:ポートフォリオ分析
私の投資している外国企業は、大半は日本で根付いて商売をしている企業でして、商品名等を言えば「ああ、あれか」という企業が多いはずです。実はこういった企業は業績が今でもいい。決算発表を聞いていると、日本がデフレ不況で云々というのがうそのように感じました。
たとえば
フィリップモリス・インターナショナル...マールボロ(タバコ) ジョンソン・エンド・ジョンソン・・・・・・・・バンドエイド、ワンデイアキュビュー、ベビーパウダー アフラック・・・がん保険、医療保険の「EVER」(まねき猫ダック、宮崎葵さんや松坂慶子さんのCMで有名)。当社は実に総収入額の70%以上が日本というS&P500企業。 アボットラボラトリーズ・・・ヒュミラ(下記のエーザイとの共同HPご参照;リウマチ治療用のバイオ薬)、ザイエンスX(薬剤溶出ステント) プロクターアンドギャンブル・・・・ブラウン、パンパース、プリングルスなど HSBC・・・・・プレミア(預入1000万円以上で英語が達者な人にだけサービスする総合金融口座) シティバンク・・・・・・・・・・いわゆる銀行ですね。
以下は日本にあまり注力していない フォード・・・社名は知られていますが、日本では嫌われている?ので、あちらも最近では日本に力を入れていないようです(いまさら日本市場でもないだろう)。 ダウケミカル...日本で合弁会社はあっても、最近は中国や韓国に拠点をいっぱい作っています(電子素材に注力していますが、もっぱら台湾・韓国にぞっこん)。
まだ決算が終わっていないのもありますが、決算では
マールボロの日本シェアが上がっている、特にマルボロブラックメンソールがよく売れている(JTがセブンスターアラスカメンソールを対抗で出していますね)。 最近政府のたばこ税増税方針を歓迎している(一緒に値上げが出来る)。10月値上げ前の仮需要を6月に一気に取り込んでいる。今後、EUのように段階的な値上げができることを歓迎している。 (もっとも長期的には喫煙率の低迷で数量が落ちていますが、価格や為替でカバーしている)
アフラックは日本法人の新規保険契約の年率換算ベースの収入額が対前年比+12%!! ホンマかいな? 絶好調です。総収入ベースでもコンスタントに年率3~5%の円ベースで成長を継続しています(ドル換算すると円高効果が加わる)。 売れているのは、まねき猫ダックのTVCMで有名な「新EVER」という医療保険と、そして学資保険です。学資保険は着々と子供手当資金を取り込んでいるようです。 また30~40代の比較的若い女性にターゲットを絞ったがん保険「フォルテコサージュ」に今後注力すると。がんに対する意識は男性より女性に高く、特に乳がん等は有名女優を活用したりして早期治療のキャンペーンが多い(海外でも同じ)。
アボットラボラトリーズは薬剤溶出ステント「ザイエンスX」の日本シェアが60%を超えていると発表しました。 ステントとは、簡単な例で恐縮ですが、たとえば心筋梗塞になったとします。詰まった血管のコレステロール等を取り除くために、冠動脈にカテーテルというモノを差し込みます。それでいったん血管を開かせます。いったん開いた血管は再度塞がる可能性が大きいので、「つっかえ」のようなものを血管に埋める必要性が出てきます。 その「つっかえ」にステントと言われる、ステンレスでできたメッシュ状の筒を血管に差し込みます。そのステントに、(金属物を差し込むのですから)副作用や、再度目詰まりを防ぐための薬を塗っておくのが薬剤溶出ステントと言われている医療器具です。ビルクリントン元大統領も2月に冠動脈の狭窄(きょうさく)部を広げる手術を受けた際、ザイエンスXを使用したといわれている。
従来こういった病気の治療は、バイパス手術(体を切開して、詰まった血管をあきらめて、人工血管などでつぎはぎをする)がメインでしたが、今ではご存知の通り、社会保険費用の削減が至上命題ですので、バイパス手術をすると1週間前後入院が必要なところ、ステントを活用したPCI治療では、1日入院する程度で済むケースもあるようで、医療コストが安上がりになるというメリットがあります(もちろん症状に応じた治療法が優先される)。
したがって高齢化日本は、アボットのような企業から見れば「成長市場」に映ります(ただし、2年に1回の薬価改定で単価が下がる)。 日本でもテルモがステントを販売していますが、どうなってんでしょうか?
医薬品・医療機器等では日本は世界第2位の市場規模で、ステントだけでも、ざっくり500億円ぐらいあるようです。アボット社は昨年12月に「ザイエンスX」を日本に導入し、今や日本のシェアは60%を超えています。こういった医療機器は多分粗利率が70~80%に達しますので、ぼろ儲けですな(それにこの円高)。
(なお、そのアボットにガイドワイヤー(カテーテルやステントを患部に運ぶワイヤー)を提供しているのが、私の日本企業PFの朝日インテックです)
同社の2009年のアニュアルレポートのトップに登場するのは、「ヒュミラ」でリウマチ治療を行う日本人女性です(今やリウマチなら温泉治療のイメージからほど遠い)。それだけ日本に力を入れている証左だと思います。
J&Jやシティバンク等は言うまでもないでしょう。
私は持っていませんが、スターバックスジャパン、日本オラクル、日本マクドナルド、日本IBM【非上場】など米系の日本企業も業績は良いようですので、やり方次第でまだまだできる、と言う点を外資から学ばねばならないかもしれません。
ちなみにこれらの企業は日本だけが特に重要というわけでもありませんが、CEO等がテレカンで発言しているのを聞くと、「計算できる」マーケットとして国単位の市場としては位置づけが高いように感じます。
「外国人は日本人のきめ細かなニーズを理解していない」 というのは古い話で(かつ電機・機械・自動車等に限定される)、あっちは確実に進歩を遂げていると言う点も見逃してはなりません。J&Jのワンデイアキュビュー・トゥルーアイも「日本とEUで成功をおさめたので、きっとアメリカでも成功する」と言っていました。
皮肉にもこういった企業は(母国決算では)円高の恩恵を今はフルに受けています。
日本にいても理解できる外資系企業は、実は、何と言ってもわがままな日本市場?を攻略出来ている?ので、その実力も申し分なく、業績も景気に関係なくいい、そんなとらえ方もできるかもしれません(あくまで私の見た例に過ぎませんが)。
忘れてはならないことは、こういった企業の第一線で頑張っているのは、実は同じ日本人なのです。アフラックでは日本法人社長がテレカンで登場し、アナリストと議論しています(子供手当は来年も増額があるのかとかそういう質問がある)。頑張る日本人を応援するなら、経営者が誰でも同じじゃん。
アフラックやアボットの決算を聞いていて、本当に日本が不況なのか耳を疑います(もっともアフラックでは、日本人には先行き不安感が強いので、社会保険でカバーされない当社の保険が受け入れられていると分析していましたが…)。
外国株投資の入門にはもってこいだと思います。
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