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元・経営コンサルタントの投資日記

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2010/09/19
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カテゴリ:投資一般
日本でもアメリカでも配当株(配当利回りが高い株という意味だと推測)に人気があるそうです。

日本の長期国債金利が1%ちょっと、アメリカでも2.6~2.8%の歴史的な低水準となっていていること、アメリカ経済の2番底の可能性が遠のいたことなどから見れば、配当利回りに注目した投資もうなずくものもあります。

 

  • 日経平均の予想配当利回り、1.80%
  • 国債10年もの 利回り、  1.05%

 

  • ダウ平均の予想配当利回り、2.66%
  • 米国債10年物     、 2.75%

 

私も保有する米国のジョンソン・エンド・ジョンソン(相次ぐ製品リコールで最近元気ないですが)は数少ないAAAの長期債格付けを持っています。同社が先月、無担保長期債(10年)を発行しました。金利は2.95%でした。さすがAAAだけあって、米国債金利とのスプレッドも小さかった。

しかし、J&Jの配当利回りはここ数カ月間3.5~3.7%で推移しています。発行体の信用力は同じなのでしょうが、この差で社債を買うという投資判断が理解できませんでした(債券ファンドでソブリン並みの信用力のある社債を買う人向けかもしれない)。

 

とまあ、そんな投資環境だったのですが、9月上旬の米雇用統計から2番底リスクが遠のいたということで、株式市場は少しずつ、下値を切り上げつつあります。そういった中での配当株人気というのが背景にあるのでしょう。

 

投資対象物として一時的に配当利回りが高い銘柄に身を寄せて、景気回復が確実になった場合、もっと利益レバレッジの高い景気敏感銘柄(電機とか素材とか)に乗り換えようというセクターローテーションをする投資家向けのものではないでしょうか?

 

私は長期的にホールドできる銘柄は結局、「将来の」DPSが確実に成長できる銘柄だ、という観点で配当株を好んでおります。したがって、ローテーションをする気はありません。

 

配当利回りとは、予想DPS÷株価 で算出されますが、DPSは企業業績や企業の資本政策(CFを投資に回すか、株主還元するのか、還元するとしても配当か自社株買いかなど)によって左右されます。

 

今配当利回りが良い銘柄は、業績の安定性にも留意しなければならないでしょう。東証1部の高配当利回り株の常連に大手製薬メーカー(武田とかエーザイ)が名を連ねていますが、こういった企業は処方薬の特許切れ問題を抱えており、業績の向上は短中期的に見込みにくいと個人的に思っています。

両社ともDPSを維持しながら、業績のソフトランディングを見込んでおりますが、果たしてどうなるのか(私にはわかりません。いざとなればDPSをカットしなければならない場面も出てくる心配は残る。米国でもイーライ・リリーなどはホワイトカラーの1/3の人員カットなどものすごいリストラを行っている)。

 

また、たまたま、株価の急落と、企業の本質的な企業価値が株価に反映されていないと思われるため、配当利回りが高くなっている銘柄もあります(キヤノンとか)。こういった銘柄は短中期的なDPSの維持は見込めますし、長期的にはDPSの成長も見込めるので、チャンスかもしれません。

 

つまり、なぜ今、配当利回りが高いのかに注意しながら銘柄選択を行っていく必要性があると思います。

 

日本の新聞等では、投資せずに配当にお金を回すのは、成長力が衰えたからだ、とする論調をよく目にします。一方では無鉄砲に投資する企業が歓迎される論調も目立ちます(「攻めの経営」とかで、経営者をチヤホヤしがち)。

しかし、明らかに投資コストとリターンがチグハグな会社が散見され、かつ、無駄な投資(持ち合い等)で、勝手に株主資本を傷つけている例が沢山あります。もっとも、この過剰投資体質は何も日本企業に限定されませんが。

 

したがって、CFを投資(設備投資やM&A)している企業に成長性があるという勘違いを起こさないように気をつけなければなりません。儲かっている事業に適正金額を投資しているのなら問題ないように思いますが、「利益なき繁忙」に投資する企業に気をつけたいものです。

 

DPSの持続的成長性が見込めるか? この一点で考えると、バランスの良い銘柄に出くわす可能性が高まります。

 

DPSを持続的に成長させるためには、配当性向(DPS÷一株あたり利益)は一定水準を保つ必要性があります。今回のリーマンショックの様なときに、配当を削れないからといって、一時的に配当性向が高くなる(減益になるので)は仕方ありませんが、一般的に30~45%程度の配当性向が欲しいもの。日本企業では25%が平均的で30%を超えると、「株主還元に積極的」と言われている。米国では感覚的に40~50%程度の配当性向が「配当株」と言われるには必要かもしれません。

 

一方で、一株利益(EPS)の成長も重要です。一株利益を成長させるためには、当たり前ですが業績の成長が必要です。次に自社株買い等を行い、株数を減らすことです。個人的には自社株買いはある程度はいいと思いますが、やり過ぎはよくないと思っています(配当に回せ!)。したがって、業績の成長性。

また売上高の成長が一番良いのですが、コスト削減も重要でしょう。

 

過去数年間のFCF(営業CF-投資CF)の水準の高さ当たりも注目すべきところでしょう。FCFがあるからこそ、配当も自社株買いもできると言うわけです。

 

つまり、DPSを持続的に成長させるには、市場競争力の確立(投資が効率的になる)、コスト削減等の効率性(これも省力化投資の効率性に繋がる)、盤石のCF(現金がないと配当出来ない)、と、事業競争力(PL)、バランスシート、CFにそれぞれしっかりしていないと、達成できないと思います。資本集約的な工業系の株はビジネスモデル的に合わない可能性もありますが、アメリカでは3Mとかユナイテッドテクノロジー(オーチスエレベータなどが傘下にある)といった工業系企業もコツコツDPSを毎期増額しています。

 

DPSの成長性にこだわる理由は、その、投資リターンの確実性にあります。10~20年間同じ銘柄に長期的に投資していると、配当だけで投資元本の回収が出来る場合があります。投資リターンを、「値上がり益+配当」で考えると、配当の占める割合が高く、この部分の確実性は値上がり益よりも高いと考えられます。

配当利回りが3%の企業は年間トータルリターンの3%は確実に配当で稼げます。

これを配当金再投資制度で再投資を行うと、株価PERが一定であれば、株価の上昇はEPSの上昇に比例するため、株数は配当利回りと同数増加(正確には税金控除後)しますので、配当利回りにも複利効果が働きます。

 

もし、配当をキャッシュで受け取った場合、次の投資先を自分で選択すればいいだけです。

 

学術的研究(シーゲル教授)では、増配を繰り返す企業の株式投資のリターンが平均的に高いことが証明されています。

 

DPSを持続的に成長させる企業は、世界的優良企業が多いので、こういった悲観相場でないとなかなか仕入にくい、というのもあります。

配当株投資は、株式投資の中では、比較的安定的なリターンを生む可能性が高いと期待しているところです。

 

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Last updated  2010/09/19 08:07:51 PM
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